ブログ 2020年以降のフィンテック業界のトレンド

2020年以降のフィンテック業界のトレンド

私たちがファイナンスを管理する方法が過去10年で劇的に変化しました。この1ヵ月間で、スマートフォンユーザーの73%がアプリを使って財務・金融関連の管理を行い、モバイルユーザーの60%が、モバイルのブラウザーベースではなく、アプリでその情報にアクセスまたは管理することを望んでいます。アプリの開発企業が革新的なモバイルファイナンスサービスを提供し続ける中、この市場はますます大きく成長し、個人向けバンキングのあり方と企業と顧客の関わり方を変えています。この記事では、世界のモバイルファイナンスアプリの市場展開と最新トレンドに焦点を当てます。

フィンテックの新興市場と業界リーダー

モバイルバンキングアプリは、世界規模でファイナンスに対する考え方と管理方法を変えています。今年、モバイルユーザーの90%がスマートフォンを使って決済を行い、モバイルによる決済総額は2022年までに121%増加すると見込まれています。

さらに、バンキングアプリは銀行の窓口を利用することが難しかった人々にもバンキングの機会を提供しています。例えば、ソーシャルに重点を置くモバイル決済プラットフォーム「Netzme」は、インドネシアのモバイルファイナンスに革命を巻き起こしています。Netzmeはモバイルファイナンスにソーシャルなアプローチをとり、特に銀行の窓口を利用することが難しかった地方のユーザーにリーチしています。同社の共同創業者兼CEO、ヴィッキー・サプトラ氏は次のように述べています。「(インドネシアの)特に小都市や地方において、これまでバンキングにアクセスできなかった層を取り込み、金融リテラシーを身に付けるためのサポートをすることが非常に重要だと気付き、この会社を立ち上げました。我々の知る限りでは、インドネシアではこうした人々が多数派であり、モバイルファイナンスサービスが社会に良い影響を与えることを期待しています」。

こうした社会的にも高い目標を掲げるスタートアップ企業がバンキング業界に変化をもたらし、従来型の銀行を牽引しています。例えば、英国の多国籍銀行のStandard Charteredは、このデジタル革命に対応する形でバーチャルバンク「Mox Bank」をローンチしました。AdjustのLTVマガジンにおいて、Mox BankのCEO、デニズ・ギューヴェン氏は次のように説明しています。「このような市場においては、新たなモバイルバンキングアプリを発表するだけでは差別化は図れません。顧客に自分の銀行に乗り換える理由を与えなければならず、難易度がとても高いのです。バンキングを利用する可能性のあるユーザー人口が100%だとすると、モバイル展開ができなければ、このマーケットシェアを見逃してしまうことになります」。

フィンテックの未来

AdjustとApptopiaの共同調査による「モバイルファイナンスレポート 2020」は、インストール数、継続率およびセッション率の増加に焦点を当て、フィンテックの現状に関するインサイトを提供します。Adjustの共同創業者兼CTOのポール・H・ミュラーは、本最新レポートについて次のように話しています。「新型コロナウイルスが金融業界とモバイルデジタルサービスに与えた影響を侮ってはなりません。この分野がここ数年でデジタル化する中、コロナがこの変革を加速させ、銀行口座を持たない世界中の数百万人ものユーザーにまでサービスを提供しています」。今回の主要な調査結果は以下のとおりです。

  • 新興市場が世界的な成長を促進

    トルコ、ウクライナ、ブラジルなどの新興市場では、既存のソリューションで市場が充足されておらず、銀行口座を持たないユーザーが多いことから、バンキングアプリが大幅な成長を見せています。多くの場合、これらのアプリは従来のバンキングの方法では満たせなかったニーズに対応しています。

  • 投資アプリの利用が急増

    Adjustのデータによると、投資アプリは世界で2番目に急成長を遂げているアプリカテゴリーであり、Apptopiaのデータも大幅な成長を示しています。2020年1月から6月にかけて、投資アプリの1日あたりの平均セッションは88%増加しました。Acornsなどの投資アプリは、投資初心者向けの機能を提供することでデイトレードを大幅に普及させています。アプリはユーザーのアカウントと同期でき、余剰金を自動的に投資することができます。

  • スマホ決済アプリのセッションが平均49%増加

    日本は特に大幅な伸びを見せ、75%の増加となりました。さらに、ドイツ (45%)、トルコ (39%)、米国 (33%)、英国 (29%) でもセッションが増加しました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響によりソーシャルディスタンスが実施され、ファイナンスを管理する上で、より衛生面で安全性が高く便利なモバイルファイナンスアプリが選ばれた結果と見られています。

必見、フィンテックの6つのトレンド

1. 機械学習機能

モバイルファイナンスアプリの開発者は、ビッグデータを活用してユーザーのセグメンテーションやパーソナライゼーションなどを行っています。市場リサーチ企業のForresterによると、デジタルビジネスの89%がパーソナライゼーションに投資しています。またSmarterHQの調査では、マーケターの51%がパーソナライゼーションを最優先事項としていることが分かりました。

さらにテック開発者にとっては、より優れたユーザーエクスペリエンスを作り出す機械学習も重要です。例えば、チャットボットはユーザーに迅速で効果的なカスタマーサービスを提供するために使われます。Gartnerの調査によると、2020年に銀行を含むあらゆるビジネスの顧客の85%が、チャットボットによるカスタマーサービスを提供されると予測しています。機械学習による技術開発でチャットボットはより便利になり、開発者チームの手作業も削減されます。カスタマーサービスは24時間提供され、ユーザーは担当者と話すまでに待たされることがなく、時間の節約にもなります。

2. 革新的な決済方法

モバイルファイナンスアプリのアプリ開発者は革新的な支払い方法を次々と開発しており、ユーザーは現代のニーズにそぐわない従来の決済方法に縛られることがなくなりました。例えば、簡単に支払い手続きができるQRコードやモバイルウォレットの登場により、ユーザーは手元に財布がなくても決済ができるようになりました。

3. 柔軟なローンオプション

一部のモバイルファイナンスアプリは、入金される給料にユーザーがより便利にアクセスできるようオプションを提供しています。ユーザーの厳しい経済状況を利用するペイデイローン(米国で一般的な給料を担保とした融資サービス)との違いは、高い利子を払うことなく借入できる点です。この機能により、ユーザーは給料日前に緊急で入り用な際でも、より柔軟な方法で借入を工面できます。

4. デジタル専用のモバイルファーストバンク

「モバイルファースト」バンクが大きな成功を収めたことにより、銀行の店舗は必ずしも必要ではないと証明されました。ユーザーは最寄りの店舗を探して面倒な書類の記入をする必要がなくなり、銀行は店舗維持コストを削減できることから、両者にとってwin-winのシナリオです。

5. オートメーション

オートメーションは、モバイルファイナンスの発展に多大な影響を及ぼしています。オートメーションツールの目的は、あらゆる業務を手作業なしで完遂することです。フィンテック企業はオートメーションを活用してプロセスを迅速化、ルーティン作業を削減して、従業員がそれぞれの専門知識を活かした業務により多くの時間を割けるようにしています。さらに、オートメーションはユーザーエクスペリエンスの改善にも役立ちます。フィンテックアプリの開発にオートメーションを使用することで、アプリケーションの状態の情報や預金残高情報の送信、確認メールの送信などが自動的に行えます。

6. リアルタイムレポート

フィンテックアプリの開発者は、ユーザーが自身の金融と投資に関する最新情報を得られるようにするための革新的な方法を常に探しています。リアルタイムレポートにより、ユーザーは必要な時にいつでもすぐにファイナンス情報にアクセスできます。これは、ファイナンス管理や投資に対して敏感で、積極的に動くユーザーにとって特に重要です。リアルタイムレポートは急速に業界標準となりつつあり、モバイルユーザーのニーズでもあります。

バンキングアプリを開発するにあたって:e-バンキングの重要な要素

フィンテックアプリを開発するにあたり、数多くあるモバイルファイナンスアプリの中から頭一つリードするようなアプリにするための機能を考えることが重要です。アプリのUnique Selling Point(独自の強みや付加価値)を特定するために、以下の項目について検討しましょう。

カスタマーサポート機能

チャットボットなどの自動化サービス以外に、ユーザーが実際に担当者と話さなければならない場合があります。これは、他のアプリカテゴリーに比べて、カスタマーサポートが重視されるフィンテックアプリとって特に重要です。担当者がユーザーの問い合わせに対応することにより、ユーザーはそのブランドを信頼するようになります。また、担当者と話さなくてもユーザー自身が問題を解決できるようにFQAページを用意し、アプリ利用時に頻出する疑問にはチャットボットが対処できるようにしましょう。

バックログとユーザー履歴

取引履歴や取引明細などにアクセスできることは、ユーザーにとって重要です。これにより、ユーザーがアカウントに関連したすべてのイベントを確認できるだけでなく、Webや実際の店舗を利用することなくアプリでアカウントが管理できるようになります。

セキュリティ機能

フィンテックアプリのセキュリティの重要性は、どれだけ誇張してもし過ぎることはありません。セキュリティはユーザーにとって不可欠な要因です。ユーザーがアプリの安全性に不安を覚えたら、アプリをアンインストールして他のサービスに乗り換えてしまう恐れがあるためです。

モバイルファイナンスへの信頼を築く

アプリ開発者とマーケターにとっての課題のひとつは、新しいフィンテックアプリをローンチする際にユーザーの信頼を得ることです。以下は、ユーザーとの信頼関係の構築に貢献するオンボーディングの方法です。

  • ユーザーに個人情報の入力を求める時は、なぜその情報が必要なのかがすぐに理解できるようにする必要があります。理由を説明することでユーザーは安心でき、自身のメリットにならない理由のために個人情報を渡すのではないことを理解します。一般的なルールとして、フィンテックアプリの透明性が高ければ高いほど、信頼できるアプリを使っているという印象をユーザーに与えることができます。
  • アプリの料金形態やアプリ利用時にかかる費用について、ユーザーに明確に伝えることが重要です。サービスの利用料金を分かりやすく説明することは、ユーザーの信頼を得るために欠かせません。逆に、予期せぬ料金の請求があると、ユーザーがアプリをアンインストールする可能性が高まります。
  • すべてのチャネルにまたがってユーザーのオンボーディングを実施しましょう。ユーザーがサービスの利用登録に至った方法に関わらず、常に合理化されたエクスペリエンスを提供することが重要です。すべてのチャネルが同期されており、不要な手順を繰り返すことなく、ユーザーがどのデバイスでも同じ情報を閲覧できるようにする必要があります。

この記事が参考になったと思われた方は、2020年のフィンテックアプリの開発方法 (英語のみ)もぜひご覧ください。

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