ブログ コロナ禍におけるLudiaの成長戦略: ユーザーのエンゲージメントと広告収益化

コロナ禍におけるLudiaの成長戦略: ユーザーのエンゲージメントと広告収益化

以下の記事は、Adjustが発行した『LTV Magazine』(Issue 03 / 2020) の掲載記事 「Jurassic Park(ED)」の日本語版です。LTV Magazine第3号(英語のみ)はこちらからご確認いただけます。

新型コロナウイルスによるロックダウンのため自宅で過ごす時間が増えた結果、ゲームアプリは大幅に成長しました。ユーザーベースの急増により、より高い価値をもたらす「Whaleユーザー(高額課金ユーザー)」獲得のための戦略に焦点が当てられています。CPI(インストール単価)が下がったとしても、課金しないユーザーに働きかけなければ優れた戦略とは言えません。実際に、モバイルアプリのパブリッシャーの多くは広告ベースの収益化やアプリ内購入などの戦略をとっているため、現在Google Play ストアのアプリの96.4%は無料でダウンロードできます。

ローズ・アゴッツィーノ (Rose Agozzino)氏

シニア・マーケティングスペシャリスト,

Ludia

バランスのとれた収益化モデルなら、ユーザー獲得コストが比較的低いため、Whaleを吊り上げるために全力を尽くすメリットはほとんどありません。過去3年間で、ゲームあたりの課金ユーザーの割合は北米で1/3増加 (4.02%) し、ヨーロッパでは1/5増加 (2.43%) しました。これは市場のユーザー数が増えたことを意味します。データを使ってパフォーマンスの高いユーザーを検出し、大きな価値をもたらすユーザーへと育成するのが有効ですが、そのためには、ユーザーが繰り返し利用したくなるような魅力的なアプリを提供しなければなりません。

Adjustは、「Jurassic World™: ザ·ゲーム」のパブリッシャー、Ludiaシニア・マーケティングスペシャリスト、ローズ・アゴッツィーノ氏へインタビューを行い、より高い価値をもたらすユーザーを獲得するための収益化戦略、さらに、コロナ禍でユーザーを維持するための機能の開発についてお話を伺いました。

「ニワトリが先か卵が先か」の状況

Ludiaのゲーム「Jurassic World」は、映画のフランチャイズ権だけでも約50億ドルの興行収入を上げている大規模な知的財産です。映画や本、関連グッズなどが30年間にわたって人気を博したこのコンテンツをパーク構築型ゲームにするには、知的財産の慎重な取り扱いが求められました。コロナ禍において、同社はユーザーに機会を逃したと感じさせることなく、製品開発のタイムラインを「ニュー・ノーマル」に合わせる必要があったとアゴッツィーノ氏は話します。

「実は、7月中旬に発表予定のアップデートがあったんです。それは当初、複数のプレイヤーが集まってプレイする機能に関するものでした。しかしコロナの影響で、ソーシャルディスタンスを守りつつ新しい機能を追加するよう対応せざるを得ませんでした」。

ゲーム本来の特徴を損なわない、自然な形での対応が求められました。

「(この対応が成功したのは)今まで遠い場所にいた人々が、自分たちの声がゲームに反映されていると感じているからです」とアゴッツィーノ氏は説明します。「リモートの生活様式に合わせたイベントや製品が出てくるのは当然の流れでしょう」。

Ludiaは、自社のゲーム一つひとつのユニークな特徴に合わせてソーシャルディスタンスに対応した機能を搭載しました。位置情報/ARゲームの「Jurassic World アライブ!」は、以前はプレイヤーが家の外に出て遊ぶものでした。

アゴッツィーノ氏は次のように話します。「我々がプレイヤーに対して明確にしなければならなかったのは、多くのメカニクスを一時的に変更したということです。これに対するプレイヤーの反応は前向きでした」。

「Jurassic World」には、ユーザーが卵を孵化させて恐竜を集める機能があります。ソーシャルディスタンスバージョンでは、家の外に行かなくても自宅で孵化器が使えるようになりました。さらにLudiaは、Jurassic Worldのゲームプレイをより楽しめるものにするため、落としたところにたくさんの恐竜が集まってくる「香りカプセル」機能を追加しました。これにより、プレイヤーは外を歩きまわって恐竜を探さなくても家の近くでプレイを楽しめます。

「外に出て歩き回る必要のあるメカニクスを削除した代わりに、プレイヤーに毎週アイテムをプレゼントすることにしました。安全面の理由で機能を削除しなければならない場合はゲーム内ギフトや特典をプレゼントするなど、ユーザーのゲームへの関心を損なうことなく、もっとプレイしてもらえるように心がけました」とアゴッツィーノ氏は語ります。

ユーザーのゲームスタイルから学ぶ

新型コロナウイルスの影響がなかったとしても、ユーザージャーニーを理解してユーザーがゲームをどうプレイするかを考えることは重要です。プレイヤーの新たな行動パターンに気付き始めた時が重要であるとアゴッツィーノ氏は話します。「ユーザーは、意図したとおりにゲームをプレイしないこともあります。彼らは自分たちで新しいプレイを見つけるんです」。

これを活用すると、ユーザーとゲームの双方に利益をもたらす広告を作ることができます。

「‎『Jurassic World™: ザ·ゲーム』では、プレイヤーがメリットを感じる非常に優れた広告配置がされています。恐竜は戦闘後クールダウンが必要なため、一定時間その恐竜が使えなくなります」。

しかしLudiaは、収益化戦略の一環として、ユーザーが広告を視聴するとクールダウン時間を省略できるようにしました。「賢いユーザーはそこにメリットを見出したんです」。重要なのはユーザーが自ら選択できるということです。

新型コロナウイルスによる経済への影響が広範に及ぶ中、アゴッツィーノ氏は、Ludiaがどのように良好な財務状態を維持し、ゲームカテゴリーで大成長を遂げたかを次のように説明します。「広告による収益化は常に計画していました。しかし、コロナ禍で財布の紐は硬くなっています。これを念頭に置いた上で、より多くのユーザーを獲得してゲームで収益を上げ続けるための取り組みに力を入れています」。

Whaleユーザー(巨額を課金するユーザー)がゲームの収益を増加させるというのはよく聞く話ですが、「広告収益化においては、Whaleユーザーはそれほど重要ではありません」とアゴッツィーノ氏は話します。

Ludiaはしばらくの間、このデータ主導の哲学に則ったマーケティングをしていました。しかし、「コロナが流行し始めてから、違う考え方が急速に求められるようになったのです」。

「収益の80%は、たった2%のユーザーがもたらすという考え方があります。しかし、ゲームをプレイしているのは一部のユーザーだけではありません。大多数は課金ユーザーではないかもしれませんが、それでも収益化につなげることはできます。リワード広告にエンゲージするプレイヤーは、課金ユーザーになる可能性が高いという調査結果があります。これはユーザーが広告を視聴することのメリットを理解するからです」。

「我々は、無料ユーザーや課金額の少ないユーザー、小さいコホートに焦点を当てています。こうしたユーザーは、ゲームをより楽しむために課金する方法をまだ知らないゲーマーたちです」。

収益最大化への取り組み

ユーザーに有意義にゲームをプレイしてもらうためのオプションを提供することは、ユーザーの視点から見て正解なだけでなく、収益化にもつながります。

アゴッツィーノ氏はこう話します。「我々はすでに広告による収益化に注目していました。過去には、ユーザーが広告にオプトインすると特典やゲーム内通貨をプレゼントするなど、さまざまな戦略を実施したこともあります」。

過去の戦略では、プレイヤーへのリワードがなく、ゲームの重要なタイミングで動画が流れるインタースティシャル広告を使用していたとアゴッツィーノ氏は話します。その後、Ludiaは広範にわたって競合他社調査を行い、動画リワード広告に注目し始めました。

「過去18ヵ月間、我々は競合他社の評価を積極的に行いました。業界の他の人たちと話すことでさまざまな発見があり、どのくらいの収益を上げているかが分かりました。予想に対して実際はどうだったかって?『動画リワード広告のeCPMは25ドルだよ』と聞くと嬉しいですね」。

しかし、このような分析が実を結んで収益化につながったのは、Ludiaの所有する知的財産がこの戦略に合っていたからです。

「必要なビューを生成するためのインプレッション数やプレイヤーベースがなければ意味がありません。Ludiaの場合、計算してデータを出し、プレイヤーベースの収益と彼らが使っているプラットフォームを確認しました。正確なデータを集めることで、最も効果的な方法でマーケティングを進めることができたのです」。

アゴッツィーノ氏によると、これにはゲームの設計が重要になります。「特に動画リワード広告を始める時に鍵となるのが、ゲームの設計です。広告にエンゲージしたユーザーに最後まで動画を視聴して欲しい場合、適切な場所に広告を配置しなければなりません。また、実際の収益化戦略にも悪い影響を与えないように気を付けることも大切です。データを分析した上で上手にバランスをとることが求められます」。

適切に広告を配置する

自社にとって適切な収益化戦略が把握できたら「次のステップは、ゲームの中でプレイヤーのインタラクションが多く発生する箇所を見つけることです」。

一部のゲームの例を挙げると、次のレベルに到達した時、あるいはプレイヤーのライフポイントが失くなりそうな時などがこれにあたります。重要なのはユーザーに選択肢を与えることです。Ludiaは何度もテストを繰り返し、動画リワード広告の適切な配置場所を見つけました。アゴッツィーノ氏は、そのプロセスは「ここに動画を追加したらどうなるか?」と繰り返し問うことだと話します。

ここで特筆したいのは、Ludiaが実施した新しい収益化戦略では、順調に機能している購入戦略とのユーザーの奪い合いが起こらなかった点です。適切に使えば広告は強力なツールになり得るということです。米国のゲーマーの67%が、ゲーム内のリワードをもらうためなら喜んで広告を視聴すると回答した調査結果もあります。

「新たに実施した収益化戦略が、実際の購入戦略に悪い影響を与えないように最新の注意を払いました。それがないことがデータによって証明されてから初めて、新たな施策の実施を開始しました」。

広告配置のテストには6ヵ月を要したものの、無事結果につながり、多くの実用的なインサイトが得られました。アゴッツィーノ氏はこう振り返ります。「プレイヤーが広告を視聴すると、エンゲージメントにつながる可能性は高まるのか? 継続率は向上するのか? 広告視聴後の方が課金する可能性が高いのか? 我々はこういった点に注目してデータを収集しました」。

実際、広告はエンゲージメントと継続率を増加させることがあります。Facebookがアンケートを行った開発者の約60%が、広告はゲームエクスペリエンスを損なうことなくプレイヤーの継続率を高められると回答しました。

「プレイヤーの多くは、課金してプレイを続けるかどうかに悩みます。そのタイミングで広告を出したら、彼らの決断はどう変わるでしょうか?この点を考える必要があります。我々は分析データから、収益化につながるきっかけとなる場面を特定しました。課金プレイヤーだけではなく、課金を行っていないプレイヤー全てのデータを収集しました」。

ユーザーが夢中になれるゲームを提供することへの強いコミットメントの元に、ユーザージャーニーの適切な場所に広告を配置し、収益をアップさせることで、Ludiaはモバイルゲーム業界の大恐竜へと成長を遂げたのです。

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