ブログ Perspectives モバイル不正を考える:不正検出と防止、効果的な不正フィルターの条件(パート2)

モバイル不正を考える:不正検出と防止、効果的な不正フィルターの条件(パート2)

アドフラウド防止は、不正そのものと同じくらい曖昧なトピックです。不正の「防止」、「検出」、「拒否」の3つが混同して認識されている場合が多く、キャンペーンを実施する広告主が被害を受けているケースが散見されます。

アドフラウドの新しい視点を紹介するシリーズのパート1では、様々なタイプの不正について取り上げましたが、今回は業界に存在する不正防止ソリューションにおける違いを確認し、より強力な不正防止システムを構築するためのAdjustの取り組みについてご紹介します。

(本シリーズのパート1をまだご覧になっていない方は、こちらからご覧下さい)

不正防止とは

パート1 ではアドフラウドの定義について確認しましたので、ここではまず不正防止の仕組みに着目しましょう。

Adjustでは、既知の不正メソッドによるアトリビューションを排除することを「不正防止」と定義付けています。Adjustのアプローチは、モバイル広告エコシステムにおける他のプレーヤーのそれとは根本的に異なるものです。

不正を的確に防止するには、新しいタイプの不正を検出する度に手口を詳しく調査し、その手口に対してロジカルなフィルターを構築する必要があると考えています。

Adjustのアプローチとは対照的に、モバイル業界では、不正の検出、防止、拒否の機能が混同して認識されていることがよくあります。そして、専門知識の欠如が不確実性につながり、市場を混乱させる不正行為によって、状況がさらに悪化しています。

Adjustの定義において、フィルターを効果的に適用できるのは、モバイル計測ツールのみであることが分かります。サードパーティのツールは、モバイル計測ツールが仲介してアトリビューションをしない限り、キャンペーンの後に不正検出があったことを示すデータを提供するだけにとどまります。

よってこのような企業は、不正防止を曖昧に定義していると言えます。

さらに、モバイル計測ツールを提供する企業によっては、Adjustのように不正防止を厳格に定義していない場合もあります。

当初業界では、アトリビューションをフィルターにかけようとする企業は存在しませんでした。その理由は、フィルタリングを行うことでネットワークパートナーの収益に影響を与え関係が悪くなり、新規のクライアントを紹介してもらえなくなる恐れがあったためです。しかしAdjustがフィルタリング機能を開拓し、拒否されたインストールをパートナーに通知するための基準を確立すると、一部の競合他社がこれに続きました。

そのような後追いの企業は確かに「不正防止」ツールにフィルタリング機能を追加していますが、Adjustの技術には依然として根本的な違いがあります。

Adjustの不正防止ツールの特徴は、基本的に次の2つがあげられます。

  1. 新しい不正手口を継続的に研究し、それらのユニークなマーカーを見つけるよう取り組んでいる
  2. 不正により拒否されたアトリビューションに責任を持ち、クライアントがネットワークとアトリビューションの正否について協議しなくてもいいようにする

次に、不正検出および不正フィルターについて解説しながら、競合他社の手法と異なるAdjustの技術をご紹介します。

Adjustの不正検出技術が他社と異なる点

見えないものと戦うことはできません。不正防止を行うには、まずは不正を検出することから始めます。「検出」は、広告のエンゲージメントやアプリアクティビティの統計分析のプロセスとして定義することが大切です。統計分析(statistical analysis)は論理分析(logical analysis)とは異なることに注意してください。論理分析については、以下のセクションで取り上げます。

不正検出は不正と同じように分類され、さらにその中で2つのタイプに分けられます。どちらの検出においても、探す対象となるのは、存在しないエンゲージメントと偽の(なりすまし)ユーザーです。

偽のユーザーによるアトリビューションの検出には、多くの場合、クリック元のIP、コンバージョン率、クリックからインストールまでの時間 (CTIT) の分布などのトラフィックマーカーの質に重点が置かれます。この検出ではユーザーのアプリ内行動を調べます。ユーザーは購入をしているのか、それともアプリを継続的に利用しているのか、そのユーザー行動が通常の(人間)ユーザーのパターンに則っているかといった点に注目します。

検出をすることで不正のタイプを特定し、その手口の調査を開始することができます。そもそも検出する際に「どのように」不正がデータに入り込んだかは関係ありません。

簡単な例をあげましょう。例えば、あるクライアントが管理画面でネットワークAのコンバージョン率が0.05%しかなかったと仮定します。その場合、どのエンゲージメントが正当かは不明ですが、その原因が不正である可能性が高いことは分かります。

もう1つの例として、社内のBIチームが異なるパブリッシャーからのユーザーの購入率を確認しているとします。この場合、具体的にどのユーザーが偽物かは分かりませんが、LTVが異常に低いパブリッシャーを明確に見つけ出すことができます。

機械学習アルゴリズムを使用したデバイスのランク付けも不正検出の一種です。中立的な立場のネットワークは多くの属性によってユーザーをクラスター化できるため、通常は人間が簡単に拾えないパターンを検出できます。ユーザーをスコア付けすることで、特定のパートナーからの流入ユーザーが異常な行動を示しているかを知ることができます。ただし、計測したユーザーがそもそも実在しているかどうかをこの手法により判別することはできません。

上記の例から、検出は不正防止に必要な最初のステップであるものの、万能なソリューションではないことが分かります。検出機能を単独のソリューションとして提供することで、エコシステムに深刻な悪影響を及ぼしてしまうのではないかとAdjustは考えています。

不正検出データのみを提供するツール

クレジットカード会社から、地球の反対側にある国で現金の引き出し被害があったと連絡を受ける場面を想像してみて下さい。カード会社はその被害を阻止してくれず、不正として分類された履歴情報を送るだけです。あなたは自分でカードをブロックしなければなりません。

不正検出ツールを使用する広告主の状況は、これによく似ています。残念ながら、「キャンペーンの後に」不正があったことを通知するツールに慣れている方は、ある程度の不正が混在することを許容してしまっているのが現状です。

広告主は、毎月末に全てのネットワークパートナーとサブパブリッシャーのレポートを調べ、検出された不正で任意の閾値を超えたものにフラグを立てなければなりません。その後ネットワークと交渉して、今後のキャンペーンにおける払い戻しや割引について合意を得る必要があります。このプロセスは広告主とネットワーク双方にとって多くの手間と時間がかかります。広告主が取れる対策は、特定のサブパブリッシャーをブラックリスト登録するか、パートナーとの連携を完全に停止することしかありません。その恣意的な性質から、広告主はその対策を取る前に「数パーセント」の不正を許容し始めてしまいます。

言うまでもなく、唯一「許容できる」不正の数は0%でなければなりません。しかし現時点において、モバイル業界には標準を下回るレベルの不正対策ツールが蔓延しているため、多くの人が不正の数を0%にすることは不可能だと考えています。

ネットワーク側にとっても、料金交渉に対応するのは容易ではありません。不正があったアトリビューションについて広告主から問い合わせを受けるずっと前に、パブリッシャーへの支払いが済んでいる場合が多いためです。また、集計されたレポートは使いにくく、即時不正と判定できるデータではないため、ネットワークが悪意のあるパブリッシャーをプログラムで排除することもできません。

不正なパブリッシャーへの支払いを防ぐための唯一の対策は、拒否されたインストールをネットワークと広告主にリアルタイムで通知するアクティブなフィルターです。次のセクションで、詳しく見ていきましょう。

優れた不正フィルターの条件

不正なデータを除外しない限り、正当な流入元はアトリビューションを失い、クライアントのデータを歪ませて、指標の正確さを損なわせてしまう可能性があります。アトリビューションの不正を拒否するフィルターは、アドフラウドを防止する目的としてのみ機能しなければなりません。

しかし、全てのフィルターが同じように構築される訳ではありません。不正ツールが提供する多くのフィルタリングの基準は不完全で、不正の手口を十分に学習していません。中身がはっきりしないブラックボックスのような状況を打破するには、まずは不正フィルターがどう機能するべきかを見直す必要があります。

以下は、Adjustのフィルタリングシステムの基礎となる4つの柱です。

  • 誤検出率が低いこと
  • 検出漏れが少ないこと
  • 論理的であること
  • 透明性があること

Adjustでは、不正フィルターを誤検出や検出漏れを引き起こさない、または(少なくとも)その発生率が非常に低いことを一連の論理条件として定義しています。この論理的条件はわかりやすく、透明性がなければなりません。つまり、「このアトリビューションが拒否された具体的な理由は?」という問いに対して、明確で理解しやすく納得できる答えが求められます。優れたフィルターは論理的な事実に基づいており、不正業者がコントロールできない故に回避不能なメカニズムに頼る必要があります。

不正のフィルタリングに関するAdjustの見解

Adjustはアドフラウドを拒否するため、弊社のシステムによって止められた全てのアトリビューションに対する責任を負い、パートナーにその1つ1つを説明できなければなりません。

Adjustのアドフラウド防止機能は不正を自動的に拒否するため、その度ネットワークの担当者と協議する必要はありませんが、フィルタリングが毎回正しく行われることの責任は、常に意識しています。

不正防止は、マーケティング上の策略、または事態を混乱させる手段であってはなりません。不正防止が正しく行われれば、不正防止ソリューションはモバイル広告エコシステム全体を前進させるのに貢献します。しかし、細かい部分や必要な調査に適切な注意が払われない場合、不正防止は業界での信頼を得られなくなってしまいます。

これは、アドフラウドに関する新しい視点を紹介するブログシリーズのパート2です。パート1をご覧になりたい場合はこちらをクリックして下さい。次回のパート3では、機械学習は人間のフィルタリング論理に匹敵するものかどうかという全く新しいトピックを取り上げます。

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