ブログ Adjustがお答えする疑問Q&A:デジタル市場法とデジタルサービス法

Adjustがお答えする疑問Q&A:デジタル市場法とデジタルサービス法

「デジタル市場法(Digital Markets Act:DMA)」と「デジタルサービス法(Digital Services Act:DSA)」の適用が、一年間の猶予期間を経て、DSAは2024年2月17日から、DMAは2024年3月7日から全面的に開始されました。欧州連合(EU)で事業を運営するB2B企業であるAdjustにとって、この規制に準拠することは不可欠であり、アプリの広告エコシステムやモバイルマーケティングに与える影響(英語)について調査を行いました。Adjustはコンプライアンスを遵守するとともに、クライアントやパートナーが、プライバシーを重視する業界の変化においてもスムーズに対応していけるようにサポートします。

今回のブログでは、Adjust コネクテッドTV部門・新規チャネル部門のディレクター、ハイスベルト・ポルス(Gijsbert Pols)がよくある質問にお答えし、業界全体において非常に重要となるポイントを紹介します。

法律の主な目的は何ですか?

何よりもまず、オンラインという環境にいるユーザーや消費者の権利を保護すると同時に、市場の独占と不公正な商慣行を制限することを目的としています。 DSA(デジタルサービス法)は、違法コンテンツの配信のより厳しい管理、児童のプライバシー保護の強化、人種や性別、民族などの要素に基づく広告からの保護や規制の強化、さらにはデータプライバシーに関するユーザーの権利などに及びます。一方、DMA(デジタル市場法)は、他社の参入を防ぐ行為を禁止する規則を作成し、ゲートキーパーとして指定された企業に焦点が置かれています。

デジタル市場法とデジタルサービス法はいつ施行されますか?

DMAは実際には2023年5月2日に施行され、一年近くの猶予期間を経た2024年3月6日に、ゲートキーパーは完全な準拠に移行しました。DSAについても、2024年2月17日に一年間の猶予期間が終了しました。

各オンラインプラットフォームは、法律の施行日であった2023年2月17日より、アクティブユーザー数を公開することが義務づけられています。EU域内のアクティブユーザーが4500万人(EU域内の人口の10%)以上いるプラットフォームと検索エンジンは、欧州委員会によってゲートキーパーに指定されています。DMAにより指定された企業は、初回の年次リスク評価を実施して委員会に提出するなどの特定の義務を遵守しなくてはならなかったため、4ヶ月の猶予が与えられました。その後、2024年2月にDSAは完全に施行されました。

Adjustは、DMAとDSAが指定する定義に該当しますか?

Adjustはデータプロセッサーに分類されるため、ゲートキーパー、プロバイダー、サービス、ホスティングサービス、オンラインプラットフォームのいずれにも該当しません。

新たな法律はゲートキーパーによるターゲティングを禁止することに特化していますが、プロバイダーやAdjust製品であるオーディエンスビルダーのコールバック機能についてはどうでしょうか?

DSAは、「EU一般データ保護規則(GDPR)」に準拠して、プロバイダーやオンラインプラットフォームが人種、政治的意見、宗教的信念、性的指向、健康や遺伝に関する情報などの個人データである「特別カテゴリー」に分類されるターゲティングプロファイルに基づいてユーザーに広告を表示することを禁止する2つの条項を基に、特定の種類のターゲティングを禁止しています。もっとも、該当する種類のターゲティングはGDPRにおいて非合法であるため、すでに違法行為です。

また、プロバイダーが、ユーザーが未成年であることを合理的確実性をもって認識しているにも関わらず、パーソナライズされた広告によってユーザーをターゲットにすることも禁止されています。 上述の特別カテゴリーと同じく、未成年へのターゲティングはGDPRに基づきEU領域内では違法です。新たに定められた法律は、すでに遵守しているべき内容ながらも、正当といえど単純にさらなる負担や圧力を生み出します。

DSA は、機密データに基づいて未成年者やあらゆるユーザーをターゲティングすることに対して具体的かつ重要な制限を設ける一方で、広告ターゲティングの『技術そのもの』を禁止しているわけではありません。つまり、Adjustのオーディエンスビルダーやその機能に影響はなく、引き続き安心して使用していただけます。

法律施行によりGoogleやApple、そして業界全体にどのような影響があるのでしょうか?

DMAの目的の大部分は、GoogleやAppleなどのゲートキーパーによる不公正な商慣行を防ぐことです。特にAppleにとっての最大の変更点と潜在的な課題の一つとなるのは、サードパーティによるアプリストアが独自のプラットフォーム上で機能させられるように許可を求められる可能性があることです。 つまり、iOSユーザーがApp Store以外の場所からアプリをダウンロードできるようになるということで、Appleにはこれを許可する義務があるということです。

また、MetaやMicrosoftなどの大手企業が独自のモバイルアプリストアを提供するようになることも予測されます。また、ゲーム企業だけでなく、NIKEのような大手ブランドが同様の動きを取ることも考えられ、これによりユーザーとより直接的な関係を築いて新しいアプリへのコンバージョンに繋げることも可能となるでしょう。

GoogleとAppleにとっては、この変動によってセキュリティリスクを伴います。 なぜなら、モバイルアプリがストアに公開される前にAndroidやiOS特定の要件を満たしていることを確認することができなくなるからです。代わりに各社は、アプリを新たな方法で監視すると予想されます。また、多くのプライバシーポリシーは、Google Play ストアとApp StoreがそれぞれAndroidとiOSへの独占的なゲートウェイ(入り口)であるという考えに基づいて実施されているため、今後GoogleやAppleのプライバシーポリシーの実施方法にも変化が見られるでしょう。

モバイルマーケターやアプリ開発者にはどのような影響があると予想されますか?

プライバシー重視のモバイル広告エコシステムへの移行は以前より行われており、現在ヨーロッパがこの変化が最も顕著に見られる市場です。 GDPRをはじめ、AppleのiOS 14.5やApp Tracking Transparency(ATT)がもたらした大きな変化に見られるように、 Googleがリリースを控えるAndroid向けプライバシーサンドボックス(英語)もまた、計測やターゲティングにおいて、より同意ベースのプライバシーを重視したアプローへと業界を押し進め続ける役割を果たすでしょう。カリフォルニア州のCCPA(California Consumer Privacy Act:カリフォルニア州消費者プライバシー法)やインドのDPDPA(Digital Personal Data Protection Act, 2023:デジタル個人情報保護法)など、他の地域や国でもEUの後を追うように新たな法律を導入していることも注目に値します。

これらの法律によってプライバシーを重視する方向性がさらに強化され、Adjustでもこの動向を全面的に支持し、推進しています。アクセス可能なデータの種類における変更は、キャンペーンの分析やターゲティング能力に新たな複雑さをもたらす一方で、新しいテクノロジーを活用することで、より倫理的かつ持続的にユーザーを見つけ出すための役立つソリューションを提供できるチャンスでもあります。

関連性の高い潜在ユーザーをもたらし得る新たなチャネル(コネクテッドTV、PC、コンソールなど)の開拓から、メディアミックスモデリングやインクリメンタリティ、予測分析などの新しいテクノロジーや方法論への投資など、大きな可能性が広がっています。

参考となるポイントは次の通りです。

  • ユーザーが信頼できるデータ管理とユーザー許諾の仕組みを提供する必要があります。Adjustではこれをサポートしています。
  • キャンペーンの管理を多様化することを推奨します。今や本格的なパフォーマンスチャネルとなったコネクテッドTVをモバイルアプリのマーケティングに活用することは選択肢の一つであり、Adjustではそれを可能するためのインテグレーション機能を提供しています。 PCやコンソールも、現在ユーザーがモバイル端末とノートパソコンの両方でゲームやストリーミングなどをプレイし、アプリ内滞在時間が増加していることから、クロスデバイスによる使用にも繋げられる利点があるため、活用できるチャネルです。

2024年に法律が本格的に施行され、Adjustでは今後も継続してDMAとDSAに関連する動向を注視していきます。動向の変化をサポートするAdjustのソリューションに関する詳細は、ぜひ担当者にお問い合わせいただくか、デモをお申し込みください

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