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Remergeにインタビュー:Googleプライバシーサンドボックスの実装に向けた共同テスト

デマンドサイドプラットフォーム(DSP)であるRemergeにてスタッフプロダクトマネージャーを務めるラッキー・ハープリー(Luckey Harpley)氏が、直近のゲストブログにて『プライバシーファーストの時代』がモバイルマーケティングに与える影響や、Googleプライバシーサンドボックスのリリースに向けて、マーケターを引き続きサポートしていくためにAdjustとRemergeがどのように準備を進めているのかなど、独自の見解を共有しました。

プログラマティック広告業界においてAndroid向けプライバシーサンドボックス(英語)が影響が現れるのは、早くとも2024年末頃だろうと言われています。一方で、Appleが2021年にAppTrackingTransparency (ATT)をリリースしたことにより、それ以降のiOSキャンペーンの計測に影響を与えていることを鑑みると、モバイルマーケターがGoogleによるプライバシーを重視した新たなフレームワークに対して懸念するのも無理はありません。

Googleのプライバシーを保護するイニシアチブには、ユーザーデータをサードパーティ間で共有することなく、デバイス上でアプリ内広告の売買やターゲティングを行うことを容易にする一連のAPIが含まれています。モバイル端末における個人情報を保護する上で画期的ともいえるソリューションとなるといえますが、同時に、アドテクノロジー業界の関係者はテックスタックを再構築して、まったく新しいインフラに適応しなくてはならないため、業界全体が協力し合うことが必要となります。

Adjustでは、マーケターがプライバシーサンドボックスのリリースに備えられるように、リターゲティングに特化したデマンドサイドプラットフォーム(DSP)であるRemergeなどのパートナーと密に連携し、今年初めにはAdjustのSDKを使ってリエンゲージメントキャンペーン用のカスタムオーディエンスを構築してGoogleのProtected Audience APIをテストするなど、最前線でこの移行に取り組んでいます。

この記事では、Remergeのスタッフプロダクトマネージャーであるラッキー・ハープリー(Luckey Harpley)氏が、リエンゲージメントが今後どのように機能するのかや、RemergeとAdjustが実施したカスタムオーディエンス委任のテストの重要性など、Android向けプライバシーサンドボックスに関する質問に答えます。

ハープリーさんに質問です。プライバシーファーストの未来へと移行していくことで、モバイル業界にどのような変化が起きるのでしょうか?

テック企業が個人情報を管理することに関して、ユーザーは自主性を持つという権利を求めています。広告業界はプライバシーを重視する未来に向けて急速に移行しており、マーケターは遅かれ早かれこの新たな環境に適応する以外に選択肢はなくなるでしょう。

2021年、Appleは、iOSユーザーがデバイスIDを広告主と共有する際にアプリ内トラッキングにオプトイン(承諾)することを義務付ける「AppTrackingTransparency(ATT)」というフレームワークをリリースしました。ATTによりモバイル市場の環境は一変し、業界において最初の大きなイニシアチブだったといえます。

これに対し、Googleは「Android向けプライバシーサンドボックス」を打ち出し、これによりAttribution Reporting APIによるトラッキングやレポート、TopicsやProtected Audiences APIによるターゲティング、SDKランタイムによるデータ収集と処理を提供します。

Remergeでは社内にサンドボックスに特化したチームを設け、以来、1年以上にわたりプロジェクトに集中して取り組んでいます。プライバシーサンドボックスのフレームワークへの移行にはアルゴリズムやデータベースの変更、アプリ内イベントの収集、サードパーティとの連携に至るまで、技術的なインフラの仕組みを大きく変える必要があり、非常に複雑なプロセスだからです。ATTが導入された際とは異なり、RemergeではGoogleなどのパートナー企業と直接連携し、Android端末でのモバイル広告キャンペーンにおいて今後必要となるであろうソリューションを構築し、試行を重ねています。

RemergeがAndroid向けプライバシーサンドボックスに注力するのはなぜですか?

プライバシーサンドボックスがリリースされた際に、クライアントがパフォーマンスの大幅な低下を経験することなく、Android端末でリエンゲージメントキャンペーンを実施できるようにすることが、現段階で私たちにとっての優先事項だからです。

Screenshots of the Google Privacy Sandbox on Android

プライバシーサンドボックスのリリース後は、クライアントのリターゲティングキャンペーンをどのように構築していく予定ですか?

GoogleのProtected Audience APIは、複数のアプリを横断する広告IDに依存しないため、プライバシーを保護しながらクライアントのユーザーをターゲットにすることが可能です。ユーザーは代わりに、Googleが「カスタムオーディエンス」と呼ぶグループに追加されます。これは、広告主があらかじめ設定した興味や特定のアプリ内行動などの定義に呼応するユーザーのグループで、ユーザーがどのカスタムオーディエンスに所属しているのかは公開せずに、Android端末がグループに関する情報をユーザーのデバイスに保存します。

私たちは今後もクライアントの要望に寄り添って、「ショッピングカートへの商品追加」や「初回購入」といったリターゲティングキャンペーンにおける特定のアプリ内行動の定義付けに取り組んでいきます。ユーザーが定義付けされた特定の行動を完了するとカスタムオーディエンスに追加されるため、関連性の高い広告への入札を行ったりユーザーに表示できるように、カスタムグループによって取得する情報を活用していきます。

さらに、プライバシーサンドボックスがリリースされた際に広告主がスムーズに移行できるように、Android対象のプログラマティック広告の購入やセグメンテーションによるターゲティングの管理の向上や最適化を目指します。私たちが進歩するためには、AdjustのようなMMPパートナーが極めて重要な存在なのです。

カスタムオーディエンスのテストにより、どのような進歩がありましたか?

Protected Audience APIには「カスタムオーディエンス委任」という機能があり、MMPパートナーのSDKを使用してデバイス上でカスタムオーディエンスを作成し、ユーザーを追加することができます。

ちょうど、このプロセスの初回テストとして、Protected Audience APIのプラグインを使用してAdjustにてテスト用MMP SDKを実装したエミュレートされたテストアプリを作成しました。テストアプリを開くとテスト用SDKは「fetchAndJoinCustomAudience()」を呼び出し、それがURLを読み出すRemergeを呼び出して、テストは見事成功しました。

本質として、この呼び出しのプロセスは、ユーザーが広告主のキャンペーンに属しているのかどうかを確認するもので、今後の入札に向けてユーザーを参加させたいかどうかの決定をカスタムオーディエンスの定義によって行うことができるようになります。初回テストにて、「このユーザーをこのカスタムオーディエンスに追加します」と答えると、ユーザーは正常に追加され、ささやかな成功ながらも、Protected Audience APIとカスタムオーディエンスのメカニズムが設計通りに機能していることを示しており、RemergeとAdjustの両製品の機能を実証し、サンドボックスのテストにおいて非常に重要な第一歩となりました。

Adjust は2022年からGoogleプライバシーサンドボックスのテストに注力しています

Adjustは、Remergeと実施したカスタムオーディエンス委任のテストなど、パートナーと連携するテストを重要視しています。

GoogleがAndroid向けのプライバシーサンドボックス(GPS)を発表した2022年、Adjustは初期段階のテスターとしてGPSのベータ版に参加しました。GPSのリリース後もクライアントが引き続き成功できるように、新たに必要となるプロセスを精査することは非常に重要だからです。

技術的な機能を確認するための実践的なテストに加え、Adjustはプライバシーサンドボックスを最前線で開発するGoogleと密にコミュニケーションを取っています。各社は継続して今後の動向についてさらに理解を深めながら、あらゆる角度から把握するために手を取り合って協力していきます。

Adjustでは、プライバシーサンドボックスAndroid版プライバシーサンドボックスの2種類のレポート次世代ソリューションであるインクリメンタリティなど、モバイルマーケティング計測の新たな時代に対応するためのソリューションを提供しています。

Android向けリターゲティングのための新たなアプローチは、広告主にどのような利点があるのでしょうか?

アドテク業界の関係者たちは、Googleの新たなフレームワークへの移行を成功させるためにお互いに協力し合っており、これは広告主にとって大きな安心材料になるといえます。技術面で適切な設定を行うことは容易ではなく、ATTと比較しても、Android向けのプライバシーサンドボックスはやや複雑であることが分かっています。アドテク関係者たちの連携によって、広告主とってはこれまでの購入プロセスと大きく変わることはなく、現在使用しているツールともあまり変わることはないだろうと見られます。結果として、ユーザーのプライバシーを損なうことなく、スケーラブルなエンゲージメントキャンペーンを実施できるようになるでしょう。

Remergeでの今後の展開や、広告主へのアドバイスはありますか?

私たちは自社製品を改良させることだけにとどまらず、パートナーとともに「プライバシーファースト」なプログラマティック広告の未来を形作ることに努めています。

今後も、AdjustなどのMMPやGoogleと密に連携し、計測とアトリビューションのための最適なソリューションを構築していきます。私たちは、プライバシーサンドボックスというフレームワークに基づいた広告のオークションごとの自動入札を実行するために、サプライパートナーとも連携しています。サンドボックスに関して得られた情報や気づきを業界と共有したり、アドテク関係者と知識や見解を交換することなどを通して、継続してテストプロセスを改善していきます。

広告主の方々への現段階でのアドバイスは、Android向けプライバシーサンドボックスに関する情報をリサーチし、開発状況や進捗を常に把握しておくことです。もし連携しているパートナーがいるのであれば、現在この分野で何が起こっているのかや、今後マーケターにどのような影響があると考えられるのかといった質問を相談することをお勧めします。Remergeでも喜んでお答えします。

Remergeの企業情報こちらよりご覧いただけます。AdjustのCPO、ケイティ・マディング(Katie Madding)によるGoogleプライバシーサンドボックスのリリースに向けた準備についても合わせてご覧ください。

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