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日本のモバイルヒーローが語るアプリマーケティング 「Mobile Heroes セミナー」レポート

Adjustは2018年10月9日、モバイルアプリマーケティングとリターゲティングのプラットフォームを提供するLiftoffと、モバイルマーケティングセミナー「Mobile Heroes」を東京Spaces Otemachiで開催しました。

Liftoffが展開する「Mobile Heroes」は、モバイルマーケティングを発展させるための知識や情報を交換するグローバルコミュニティです。今回のイベントにはAdjustが共催し、日本で現在注目を集めているモバイルアプリのトップマーケターに、マーケティングを行う上での日々のチャレンジや施策、具体的な事例について語っていただきました。

それでは、セミナーで議論された注目ポイントをご紹介します。

目次

  1. 最新アプリマーケティングレポート発表

  2. Liftoff 「日本のモバイル市場における課題」

  3. ネットマーケティング「非ゲームアプリのマーケティング戦略」

  4. Adjust 「アンインストール・再インストールデータから見るユーザー動向」

  5. パネルセッション:モバイルヒーローのアプリマーケティング (JapanTaxi、メルカリ、リクルート)

1.最新アプリマーケティングレポート発表

はじめに、Liftoffカントリーマネージャー天野耕太氏が、LiftoffとAdjustが共同作成した「日本市場モバイルアプリエンゲージメント」レポートについての調査結果を発表しました。このレポートは、両社が集積した一年間のデータを元に、アプリエンゲージメントの傾向と指標を男女別、OS別、時期など様々な角度から分析したものです。天野氏は、この調査結果を参考資料として、社内のマーケター活動に有効活用してほしいとコメントしました。

本イベントで発表された「日本市場モバイルアプリエンゲージメントレポート」にご興味のある方は、[こちら]でダウンロードしてください。

2.Liftoff 「日本のモバイル市場における課題」

Liftoffの最新情報に関するプレゼンの後、鶏田薫氏は、日本のモバイル市場における課題についてお話いただきました。1. 新規獲得だけではなく既存ユーザーへアプローチする大切さ、2. 市場が飽和する中、最適なユーザを獲得するための施策、3. 配信面もクリエイティブ別成果も解析できる透明性、4. 徹底したアドフラウド対策、5.アドフラウド検出、などを挙げ、これらの課題に取り組むために、Liftoffが提供しているサービスについて説明いただきました。

3.ネットマーケティング「非ゲームアプリのマーケティング戦略」

次に登壇されたマッチングアプリ「Omiai」の株式会社ネットマーケティング有江佳子氏は、非ゲームアプリのマーケティング戦略についてのインサイトを語ってくださいました。

ネット上での出会いと言えば「出会い系」のイメージを持つ人が多い日本市場ですが、Omiaiは、恋愛を目的とするユーザー同士が安心安全に出会うことを主軸に置くマッチングアプリです。出会いの場を求める状況は日常生活で起こることから、ニーズが生まれたタイミングでOmiaiを選択してくれるようにマスに訴える認知戦略をとることが大切だと述べました。広告展開においては、マッチングアプリの掲載制限があるテレビや雑誌ではなく、アドネットワークとDSPを認知媒体として有効利用すること、そして、人ベースのターゲティングができるサービスを選んで、良質なユーザーの獲得を行なっていると解説いただきました。

4.Adjust 「アンインストール・再インストールデータから見るユーザー動向」

Adjustの菊田は、今年4月にAdjustがリリースしたアンインストール・再インストール機能のデータから見るユーザー動向と、SDKスプーフィングの実態と対策についてプレゼンをしました。アプリインストール翌日の非アクティブユーザーの割合が80%にも達することから、いつ・なぜアプリがアンインストールされるのかなどのユーザー動向の詳細をアプリ別で把握し、リエンゲージメント施策を最適化していくことが重要と述べました。

SDKとそのバックエンドサーバー間の通信を偽装し、架空のインストールやイベントを不正に発生させるSDKスプーフィングに関しては、新規インストール数を上回る不正数があった某非ゲームアプリなどを例にあげ、弊社が提供するスプーフィングの対策方法「SDKシグネチャー」についての有効性について紹介しました。

5.パネルセッション:モバイルヒーローのアプリマーケティング

パネルディスカッションでは、JapanTaxi株式会社の中川祥一氏、株式会社メルカリの坂田博昭氏、株式会社リクルートの横溝卓氏が登壇し、「モバイルヒーローのアプリマーケティング」をテーマに熱い議論を展開しました。ここでは、特に印象的だった質問と回答をご紹介します。

  • アプリマーケティングのインハウス化について

天野: アプリマーケティングをインハウスと代理店とに切り分けるかどうか、というのが昨年位からかなりホットトピックだと思いますが、皆さんはどのようにお考えですか?

横溝:ホットペッパービューティーでは、一部の媒体に関してインハウス化しています。ウェブだとかなり進んでいて、社内の複数の領域で完全にインハウス化しています。

アプリマーケティングをインハウス化する難しさは2点あって、1点目はクリエイティブを中で作らなければならないことと、2点目はやはりデータですよね。外部ツールで計測する数字と、追わなければならない社内のKPIの数字が違ったりするケースが結構あると思います。ローデータから実際にデータを加工してとか、そういったところも求められると、要求されるスキルレベルがかなり高いのではないか、というのがアプリのインハウスの実情かなと個人的には思っています。

坂田:人が少ない状況もあるのですが、来年にはインハウス化をより進めようと頑張っているところです。僕も正直、アプリのインハウス化に関しては、クリエイティブだとかスキルの部分で大変だと思っているんですが、ただ実際にやってみると結構できちゃったりもしますし、GoogleやFacebook、Twitterにおいても自動最適化がすごく進んでいるところもあるので、インハウスをやらない理由はないのかなとも思っています。

中川: 私たちもインハウス化をしようと思っていて、まさに切り替えをし始めているところです。理由としては、配車アプリ業界が今年に入ってからいろんなプレイヤーさんが出てきていて、スピードを追求したいなと思っています。弊社Adjustさんで計測したデータをGoogleさんのBigQueryにためてそこからデータを引っ張り出すんですけど、やはりSQLをマーケターが使えないと、なかなか深い分析ができなくなってきているので、よく使うクエリはマーケの中で作ってしまって、共有して何とかスキル面を底上げする試みをやっております。

  • データをどこまで共有するか

佐々: Adjustのレポートはいろんな人と共有していただいていて、代理店さんとかも巻き込んで次に活かすような、そういう環境が我々は望ましいなと思っています。皆さんはどれくらいトラッキングのデータを共有されていますか?

横溝:我々もJapanTaxiさんと同じでAdjustさんのデータはBigQueryに全部ためていて、代理店さんに渡すべきデータだけを分割して、いまのところは配信媒体だけお渡しできるように、キャンペーンの命名規則とかも全部整備した上で、お渡しするようにしています。オーガニックのデータは渡していませんが、そこは我々マーケターが主として数値を見て施策を考えなければいけないと思っているので、まだ全部のデータを解放することはしてません。

坂田:依頼している媒体のデータを細かく共有しています。媒体ごとの情報を簡単に共有できるのもAdjustの良い機能だなと思います。

中川:全部共有していました。弊社アプリのビジネスモデルが、ユーザーさんが注文してタクシーを呼ぶことによりタクシー会社さんから手数料が入ってくるので、CPI ベースの運用とかだと認識がずれてしまうんですね。僕らとすれば注文完了や配車完了を重視して、各メディアをジャッジさせていただきたいなと思っているので、啓蒙とかも含めてデータを解放して、オーガニックを比べてとか、切り口として分析していただいて活用するためだったので、全部共有してました。

  • 各社のKPI指標について

天野: 広告出稿の具体的なことを質問します。ずばりKPIの指標ですが、Adjustさんをどう使うか、そしてどうやって共有するかというところにもつながると思いますが、みなさんのKPIは?

横溝:ホットペッパービューティーでは美容室予約を重点KPIに置いています。それだけではなくて、そのユーザーがはじめて予約したのか、2回目以降の予約なのかもトラッキングできるようにしています。最終的な予約だけだと母数が少ない媒体もあるので、その手前の「マイクロコンバージョン」として、店舗詳細を閲覧したとか、アプリ側に実装を加えて見れるようにしています。

坂田:売り上げに紐つくKPIです。我々は自分たちの商品を持っているわけではないので、商品を出していただくための出品のお客様を増やす、などの点も大きくKPIにかかります。そして、やはりアプリがベースなので、Push通知が届かないお客様がマーケティングとして課題になってくるので再ダウンロードをどう促していくかなども、考えなければならないKPIとなってきます。こうしたことからメルカリを担当している代理店さんは大変だと思いますが、親身になってサポートしてくれているので感謝しています。うまく代理店とインハウスのバランスを取りながら最適化を進めたいです。

中川:戦略的に言うと、今タクシーを流しで止めるとか、乗り場で乗るとか、電話で乗るとかなどがメジャーだと思うんですけど、そこにアプリっていう手段もありますよ、というのをユーザーさんにご提案する段階だと思っています。オンラインの広告はもちろんですが、オフラインでタクシーの名刺のQRコードを読み取ってもらうようなこともしてもらっているんですけど、タクシーのユーザーにリーチするには、タクシー内でのコミュニケーションが一番早いんです。そういうのも、Adjustさんで計測して効果を測ったりします。乗ったかどうかを見ています。

  • 大手媒体の利用率は各社それぞれ

佐々:媒体軸でどこが良いとか悪いとか、可能な範囲で教えてください。

横溝:ホットペッパービューティーは幅広い年齢層のユーザーさんにご利用いただいていることもあり、TikTokなどのように新しいメディアが出た時も、とにかくやってみる。その上で予約を獲得しやすい面はどこだろうと探します。一概に大手の媒体だから配信効率が良い、とは限りませんし、固定観念を持たずに常に新規面を開拓するようにしています。

坂田:idfaデータとかを取り込める媒体とか、ダウンロードしている人を除外して運用できるところ、例えばGoogleとかTwitter、Facebookさんを中心に使わせてもらっています。

中川:配車アプリなので、利用に際して位置情報が必要になるんですけど、どこで注文されているかがわかるので、位置情報系プロダクトとは相性がいいかなと思ったんですけど、CPMベースなので、効率も見合わないですし、獲得件数自体も少なく、そこは何とかしていきたいなと思っています。

  • アドフラウド機能を導入して配信コストがガクッと減った

佐々:新規媒体をいろいろチャレンジする時に、気になるのはアドフラウドのところなんですけど、各社さんはどんな対策をされていますか。

横溝:弊社は幅広い媒体に配信していることもあり、不正は結構発生していたんじゃないかなと思っており、アドフラウドを勧められて、試した上で判断しようとなったんですけど、実際に導入して、一部媒体では配信量が前週比でガクッと減りました。アドフラウド対策を継続していくことで、媒体社さん側でもいい面に配信を寄せるよう調整が進みますし、お互いにとって良かったのではないかと考えています。

坂田:Adjustの機能を使って媒体さん側が調整していくので、いい傾向だと思っています。そして、昨今新しいアドフラウドの方法がどんどん出てくるので、日々ウオッチしています。その対策としてAdjustさんの追加機能の重要性をエンジニアに伝えて、新しいアドフラウドへの対策をしっかりしていかないといけないと常に思っています。また、クリック数がたくさんあるんだけど、コンバージョン率が低かったり、もしくはその逆とか、そういった怪しい媒体から来ている方のIPアドレスやデータを細かく見て、媒体に戻すようにはしています。

中川:はずかしながら、全然対策は追いついていないメガ媒体依存、ということもあるんですけど、Adjustさんにご指導いただきながら、できるところからやっていこうと思っています。インハウスと折り合いつけてやっていきたいです。

  • アンインストールに対しての施策はやっていきたい

佐々:いろんなアプリ内イベントを設計されていて、流入分析というところとセグメント設計にも活用されますか?

横溝:まだ成功には至ってないのですが、一度アプリをインストールしてくれた後で、離脱してしまったユーザーさんに対して我々はどう接したらいいかというのはあります。ユーザーに「こういうアプリをインストールしていますよ」と広告配信して伝えてあげるしかないので、そういったイベントデータを蓄積して、分析していく必要はあるかと思います。

坂田:おっしゃる通りで、先日アンインストール対策をAdjustさんからご提案をいただいていて、アンインストールユーザーに対しての施策はやっていきたいなと思います。ちなみにメルカリでお客さまを未ダウンロードのお客様、ダウンロードしたけど会員登録していないお客様、登録したけど買ってないお客様、買ったお客様と、4層にわけてマーケティングさせていただいています。

中川:起動を何日か連続してるか、もそうですし、登録している、注文している、などいろいろ配信に活かしながらやってます。

  • データベース言語の1つは書けるようにしておきたい。エンジニアの知識も

天野:最後に、マーケターに求めるスキルセット、人材像って何ですか?

横溝:リクルートIDなど豊富なデータを広告配信に活かすのは大事なことだと考えており、社内のデータベース言語の1つは書けるようにしておきたいなというのは、スキルセットとしてありますね。

坂田:データベースをしっかりと活用し、数字をちゃんと自分で語れるというのが重要なのかなと思います。最初はあえて手作業でデータを貼り付ける作業して、データを覚えていくようにしています。オフラインとオンラインで、いかにリーチをマーケターとして広げていけるかが大事かなと思っています。大手のFacebook、Twitter、Googleを越えて、ニッチな広告面にもチャレンジしたいなと思っています。

中川:私は前職が広告代理店だったんですけど、事業会社は保有するデータ量が非常に豊富だなと思いまして、SQLは使えた方が仮説を作る上ではいいなと感じています。それに加え、オンライン・オフライン問わず、メディアに関する知識はあったほうがいいですし、エンジニアさんと仕事をする機会が多いので、エンジニアリングにもざっくりとでも理解があるといいと思います。

天野、佐々:皆さま、貴重なお話をどうもありがとうございました。

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