モバイル業界のアドフラウドを徹底議論!Adjust Mobile Insightsセミナーレポート

Tomoko Goto

2019年3月11日

Adjustは1月30日、東京クオーツギャラリーで「Mobile Insights」 セミナーを開催しました。このイベントの焦点となったのは、デジタル業界で最も注目されている課題の1つ「アドフラウド」。セミナーへの参加希望者数も予想をはるかに上回り、モバイルマーケターのアドフラウド対策への認識と取り組みへの関心がますます高まっているようです。

今回は、満員御礼の会場で盛り上がった「Mobile Insights」セミナーの中から、Adjustスタッフによる「アドフラウド防止策」のプレゼンと、現在ご活躍のトップアプリマーケターによるパネルセッション「各社のアドフラウドへの取り組みと事例」の一部をご紹介します。

Adjustのアドフラウド防止策

Adjustの今村は、弊社のアドフラウド防止機能が検出するグローバルの不正被害額は1日で約2.2億円にも及び、計測されている約20%のインストールは不正で、2年前の4%と比較すると約5倍も悪化していると述べました。アドフラウドがもたらす影響は広告予算だけではなく、キャンペーンの施策分析にも歪みを発生させることから、マーケティング全体に及ぼす被害が懸念されています。

現在主流となっているアドフラウドは4タイプあります。

  1. フェイクインストール  本物の端末でボットを利用し、インストールを発生させます。
  2. クリックスパム  大量に不正のクリック情報を振り込み、オーガニックユーザーのインストールを成果として奪い取ります。
  3. クリックインジェクション  Androidのみで起こり、Googleのブロードキャストと呼ばれる仕様によって発生させます。ユーザーが新しいアプリをインストールするタイミングに不正クリックを送りつけ、成果を奪いとります。
  4. SDKスプーフィング  現在Adjustが検出しているアドフラウドの約4割を占める不正で、計測会社へのデータ通信を傍受し、盗んだ端末IDを利用してなりすましのインストールを発生させます。グローバルではEコマースやソーシャル、日本ではゲームやマッチングアプリがターゲットとなる傾向があります。

今村は、Adjustがアドフラウドをどう定義し、また防止機能がこれらの不正をどのように検知・排除しているかを解説するとともに、モバイル業界の透明性と健全な環境作りのためにAdjustが結束した「アドフラウド防止連合 (CAAF) 」について解説しました。

*Adjustのアドフラウド防止機能にご興味のある方は、こちらをご覧ください。

パネルセッション「各社のアドフラウドへの取り組みと事例」

セミナーのメインとなるパネルセッションでは、Gunosyの石渡氏とサムザップの窪田氏にご登壇いただき、アドフラウドについての自社対策と事例について詳しくお話を伺いました。

ご登壇者

石渡貴大氏 (株式会社Gunosy)

窪田和順氏(株式会社サムザップ)

MC 佐々直紀(Adjust)

フラウド対策前の状況と対策しようとしたきっかけ

佐々:実際、アドフラウドというのはありますか?

窪田:あります。かなりあると思っていて、みなさんは海外系のCPIのメニューが多いというイメージを持たれていると思うんですけど、実は国内の普通のアドネットワークでも結構あるなというところが自分の所感としてはあります。

佐々:そうですね。Adjustの対策ツールを入れて頂いて、アドフラウド率が大体20%で、中には30~40%というのもあります。フラウド対策前の状況や対策しようとしたきっかけを、石渡さんからお話いただけますでしょうか?

石渡:はい、弊社ですと2017年5月ごろから対策を始めてます。きっかけとしては、キャンペーン拡大の際に、SNSなど大きな媒体をことごとくやっていたので、次にCPIネットワークを増やしていきました。

それと同じ頃にですね、Adjustから自社のサーバーにコールバックするデータを増やして、可視化に取り組みました。実際にいろんなデータを取ってみると「あれ、これおかしくない?」というのが結構出てきて、それで気づいて取り組み始めたのがきっかけですね。

窪田:自社タイトルでいうと、サムザップの「戦国炎舞 -KIZNA-」なんですけど、そこまで「アドフラウド、撲滅させるぞ」みたいな雰囲気はなかったです。ただ、SGEグループの中のあるタイトルで結構CPIのメニューを使っていて、40%ぐらいアドフラウドで結構な出稿額だったこともあり、全体的に取り組むようになりました。

ログやBIツールで不正を確認

佐々:やはり皆さんデータをご覧になって異常に気付かれたのだと思いますが、ログデータをいろいろ調査していったのでしょうか?

石渡:そうですね。Adjustのデータと自社のログを突き合わせて、違和感のあるところはどんどん深掘りして、怪しい媒体からの1日の獲得が何千件あったとしても全部目で一通りざっと見ました。

佐々:目立って違和感があったところはどの辺だったんですかね。何か対策しないといけないと感じたきっかけのデータが、何かしらあったと思うんですが?

窪田:自分達はBIツールの方で確認するようにしているので、閾値の設定をしてクリックから少し長いものなどを自動判定したり、代理店を使っている子会社は、代理店の方でサポートを入れる形をとっています。

石渡:弊社の場合は、元々置いていたKPIより深いところが特にという感じでした。一次指標として7日後の継続率を見ていたのですが、8日目とか10日目とかにユーザーが突如いなくなることがあったりしました。CTITも勿論そうですし、普通に考えればそんな事あり得ないねというのが出てきたというとこですかね。

Adjustデータと照らし合わせて返金交渉

佐々:皆さんは具体的にどんな対策をされたか、お話しいただけますか。

石渡:弊社の被害がわかった後は、実際にAdjustさんのフラウド防止機能を入れるかどうかという検討と、あとは並行して過去に配信されてしまった分の返金交渉をやりました。どちらもそれなりに大変だったんですけど、Adjustさんの機能を入れることに関しては、社内でも「被害がこれくらい出ている可能性があります」という説明をしてたので、「それよりは安いよね」というので入れることになりました。

返金交渉はやはりめちゃくちゃ大変ですね。特に海外系の媒体さんだったりネットワークさんだったりとか、そこにしかも代理店さん経由で話しているとなってくると、解決までに時間がかなりかかってしまいました。できればそういう仕事はやりたくないんで、それが(導入後)かなり減らせたというのがポジティブかなと思ってます。

佐々:なるほど。窪田さんはいかがでしょうか?

窪田:基本的に、各社で「フラウドが発生してる媒体に関しては完全に蓋をする場合」と「そこの泥を取りながら真水を探していく場合」との2パターンに分かれます。日本のアドネットワークの会社さんの方でクリックスパムが発生して、1時間あたりにAndroidのレクタングルのバナー画像から20万円分ぐらい一気にクリックがバッと発生した事例があったりもして、そういう時はAdjustさんのデータと照らし合わせて返金交渉を行います。

フラウドともぐら叩きをするみたいな感じ

佐々:やっぱり返金交渉はかなり大変という事ですが、石渡さんからは導入後の効果で10倍から20倍くらいのコストの削減効果があったと伺いました。その後いかがですか?

石渡:そうですね、怪しい媒体をやらなくなっていくので、一概にずっと同金額が削減できているかはよく分からないと言うのが正直なところなんですが、多分やってなかったらもっと大変な事になってるんだろうなという気はします。

佐々:何かフィルターが入ったりすると、不正業者はターゲットを変えたりします。そうするとフィルターがかかってないところが狙われやすくなるので、対策が早ければ早いほど被害は少なくできますが、Gunosyさんのケースだと、フラウドが出たところの予算を少し絞るとか調整されると思うので、少し落ち着くのでしょうか。

石渡:そうですね。佐々さんのおっしゃる通りで、落ち着いたと思ったら他のところで出てくるので、もぐら叩きをするみたいな感じは正直あります。

佐々:どこから突然いっぱい出てくるか分からないと言うところがあるので、常に何かしら網の目を張っておくと言う必要があるかなと思います。何かその辺の数字的な変化とか、窪田さんはどう捉えられていますか?

窪田:弊社の場合はゲームなので、重要なKPIはROASになります。基本的な考え方として、このアプリはこのCPI目標という考え方ではなくて、各媒体のLTVを出して、そのLTVからその媒体に対する許容のCPIを決めています。そもそもROASが合わない媒体は絞ってるんですね。アドフラウドが多いと、ROASも合わなくなってくるのでそういう媒体の予算は絞ったり、停止したりしています。

アドフラウドが出たネットワークと社内の反応は?

佐々:不正がでたネットワークへの対応についてお伺いできればと思います。発生した場合、どのような対処をされますか?

石渡:はい、基本的には請求対象外にできるかどうか交渉するんですけど、Adjustでいうところのキャンペーンだったりとか、アドグループの階層でメディアIDが返ってきてることが多いので、そのIDベースで怪しい履歴について話します。それでも結局はモグラ叩きになって、1個のIDが潰れたらまた次の新しいIDで不正が起きるというのが続く場合もあるので、改善しない場合はネットワーク全体を切ります。

佐々:なるほど。窪田さん、いかがでしょうか?

窪田:基本的に、自社のBIツールの結果とAdjustの結果を見せて返金交渉になります。

佐々:導入後の社内と社外の反応はどうでしたか?交渉に応じてくれましたか?

石渡:そうですね。導入初期の2017年5月ごろは、業界でもまだ「アドフラウドって言葉は聞きはするけど、具体的にどういうこと?」「意味は知ってるけど自分たちには関係ないでしょ?」という温度感の方も多く、自社やAdjustのログを使って根気強く交渉にあたりました。

一部の媒体ですと、ビューをクリックとして送ってくる場合があり、そういう媒体さんからは「フラウド防止機能がオンだったら配信できないんで、オフにして下さい」と言われたこともありましたね。その辺りは、要望を受け入れて配信をするか、あるいは配信しないで切るのかという判断が各社さんあると思うんですけど、うちは、フラウド防止はオンにすると決めていたので、その中でどう落とし所を見つけられるかというところの調整は必要でした。

佐々:不正の発生を社内で報告する時に懸念はありましたか。報告したら「昔からずっとこうだったのか」と突っ込まれることを心配されるお客様がいたりだとか、海外だとちょっと酷くて、「アドフラウド見つけました」と社内に意気揚々と報告したら、それを理由に失職した例もあるようです。代理店さんがそういった隠蔽に加担して、訴訟問題になったケースもあります。ちなみに返金というのは満額戻ってくるようなものなんでしょうか?

石渡:当時はかなりきつかったと思いますが、今だと媒体さんとネットワークさんのフラウドに対する知識と対策はすごく進んできていますし、代理店さんは、そもそも媒体社さんと契約を結ぶ時に、こういうのは払いませんという契約になっているのが多いとお聞きするので、最近は割とスムーズですね。Adjustさんのログもそうですし、自社のログを出した時も割とスムーズになったかなという印象はあります。

広告主1社1社が不正を意識することが大事

佐々:今後の対策についてお伺いできますでしょうか?

石渡:やっぱりなんか腹が立ちますよね、フラウドって。自分たちもですし、皆さんも頑張って凄い真摯に事業に取り組まれていて、それでも売上利益上げるって結構大変じゃないですか。なんか簡単に不正業者に取られるってやだなあと思っていて、やっぱり(不正業者に)払わないという人が増えれば増えるほど不正業者は生きにくくなっていくと思うので、広告主1社1社が意識するのが大事かなと僕は思っています。

なぜ不正防止のコストを自社で持たないといけないのかという話になることもあると思いますけど、「警察がいてもセコム入れますよね」みたいな話だと思っていて、自社は自社でちゃんと対策しなきゃいけないよねっていうのは僕は思ってます。

窪田:基本的にマーケターとかプロデューサー目線でいうと、アプリをどう伸ばしていくかが重要になってくるので、アドフラウドがどうこうと言うよりかは、獲得したユーザーの質(LTV/ROAS/継続率等)を追っていく中でアドフラウドを発見しました。個人としてはそのレベルなので、基本的にはAdjustさんの不正防止を導入して頂いて、そこは自動化するのが良いかと思います。

佐々:自動化は間違いなくできますので、そこは我々の専門チームにお任せ頂いて、それ以外のマーケティング施策を考えるなどの時間を費やして頂けると、すごく嬉しいなと思います。

みなさま、今回はありがとうございました。非常に参考になりました。

Adjustのアドフラウド防止機能に関するGunosyの導入事例も合わせてご覧ください。

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