ブログ 動画広告を使ったモバイルゲームのマーケティング戦略

動画広告を使ったモバイルゲームのマーケティング戦略

すべてのアプリにおけるダウンロード数の33%、顧客支出額の74%、アプリ内合計滞在時間の10%をモバイルゲームが占める現在、モバイルゲームのマーケターにとってはこれ以上ない追い風が吹いています。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で世界中の人々が自宅待機を強いられた結果、モバイルゲームのインストール数は132%の伸びを見せています。しかし、インストール数がどれほど多いとしても、アプリの存続には収益が不可欠です。収益を生み出すための最も効果的な方法のひとつとして、ゲーム内の動画広告があります。この記事では、モバイル動画広告のフォーマットの種類と、マーケティング戦略について取り上げます。

モバイルゲームの広告フォーマット:フリーミアム vs 無料プレイ

さまざまな広告フォーマットとその実装方法を知ることは非常に重要です。また、それぞれのフォーマットにはマーケターが知っておくべき長所と短所があります。キャンペーンを始めるにあたり、フリーミアムモデルと無料モデルのゲームの違いを理解することが不可欠です。

  • フリーミアム:ポピュラーなこのモデルは、ユーザーにゲームを無料でプレイしてもらい、アップグレードをした場合に収益が発生します。このモデルを採用する際に大切なのは、アップグレードする可能性が高いユーザーを特定することです。モバイルゲームでは「広告を非表示にする」などもアップグレードのひとつに含まれます。
  • 無料プレイ:その名のとおりゲームを無料で提供するモデルで、アプリ内広告やゲーム内通貨により収益を得ます。しかし、ゲームが無料だからといって、広告を過剰に表示してユーザーエクスペリエンスを低下させないように注意することが重要です。 どのモデルが適しているかはモバイルゲームの性質によります。ゲームをグローバル規模で公開する前に、少数のユーザー対してABテストをするのが賢い方法と言えるでしょう。どちらのモデルを採用するかを決定したら、さまざまな広告フォーマットについて学び、最も多くの収益を生み出せる戦略を選びましょう。

適切な広告表示の頻度

モバイルゲームにおける適切な広告表示の頻度を知ることは、アプリを成功させる上で不可欠です。高い頻度をテストしつつも、十分な収益を生み出す最低の頻度はどのくらいかを知っておきましょう。マーケターは、ユーザーを苛立たせたり、ゲームの離脱率を上げたりすることなく、最も多い収益を生み出す割合を把握しなければなりません。テストするには時間がかかりますが、動画広告戦略にこのデータは欠かせません。また、広告の表示頻度が高いと、表示されるメッセージへのユーザーの反応が鈍くなることを念頭に置いておきましょう。

アドネットワークとの連携

多くのマーケターは、KPIを達成するために、複数のアドネットワークと連携しています。さまざまなユーザーグループをターゲティングするには、各ユーザーグループに対応できるネットワークと連携することが不可欠です。これは、メディエーションプラットフォームによって自動化することができます。これらのプラットフォームは、単一のSDK実装によりさまざまなアドネットワークへのアクセスを集約化できます。メディエーションプラットフォームと連携することで、どのネットワークが開発者のインベントリーにとって最も高いCPMをもたらすかを特定する最適化アルゴリズムを活用することができます。

単一のSDKで複数のネットワークへのアクセスを得ることは、広告メディエーションプラットフォームにとって欠かせないメリットです。これができない場合、SDK連携が多すぎてアプリのパフォーマンスに影響が出ることがあります。モバイルゲームはシームレスなゲーム体験を提供することが求められるため、この点が特にマイナスとなります。

動画広告戦略:知っておくべき3つのフォーマット

  1. バナー広告

    デスクトップでよく見られるバナー広告と同様に、モバイルゲームでもバナー広告を表示できます。このフォーマットは、一般的に他の形式よりもコストがかからず、比較的控えめな形でオーディエンスに広告を表示します。モバイルゲームでバナー広告をユーザーに表示する場合、広告スペースがスクリーンの重要なエリアを隠さないように気を配りましょう。

    バナー広告の使用を考えているモバイルマーケターは、「バナー・ブラインドネス」に注意する必要があります。これは、ユーザーがバナー広告を見ることに慣れ過ぎてしまい、バナーに気付かない状態になることです。しかし、バナー広告にはダイナミックな画像や動画などのリッチメディアを追加することも可能です。広告主がバナー広告でメッセージを伝えられるスペースは多くありませんが、リッチメディアによりバナー広告をより目立たせてエンゲージメントを促進できます。

  2. インタースティシャル広告

    インタースティシャル広告は、セッション中の適切なタイミングで表示されるフルスクリーン広告です。この広告フォーマットを実装する場合、ユーザーに広告を表示するベストなタイミングと避けたいタイミングを特定することが重要です。インタースティシャル広告はスクリーン一面に表示されるため、ゲームプレイが中断されることに注意しましょう。レベルアップするゲームの場合、レベルが上がるタイミングでインタースティシャル広告を表示するのも効果的です。

    動画やGPS検索などのリッチメディアをインタースティシャル広告に使用することで、エンゲージメントを促進できます。しかし、この広告フォーマットはフルスクリーンで表示されるため、適切な広告を適切なユーザーに閲覧してもらうことが不可欠です。ある調査によると、ユーザーはアプリ滞在時間の22%を、フルスクリーン広告を閉じる方法を探すのに費やしていることが明らかになりました。ユーザーにとって価値のある広告を表示することが重要なのです。

  3. 動画リワード広告

    ゲームプレイが中断される最適なタイミングで15〜30秒程度の動画を表示する広告フォーマットです。動画広告を作成する際は、すべてのゲーマーが音声をオンにしているわけではないことを念頭に置きましょう。よって、音声がオンでもオフでもCTA(行動喚起)が伝わるようにしなければなりません

    ゲームに動画広告を配置する場所とタイミングは注意深く選択する必要があります。動画広告は静止広告に比べてよりユーザーを惹きつけることができますが、配置する場所とタイミングによってはユーザーを混乱させてしまう可能性があります。

    ユーザーを苛立たせることなく、ゲーム内に動画広告を表示させるのに有効な方策は、動画を見たユーザーに付与するリワードです。動画リワード広告は、広告主にとってはユーザーに動画を見てもらうことができ、ユーザーにとってはより優れたゲーム体験を楽しめる、win-winのシナリオです。eMarketerの調査によると、米国のモバイルゲームプレイヤーの76%はリワード付きのオプトイン広告を選択し、ゲーマーの親の67%はリワードをもらう代わりに動画広告を視聴する可能性があることが分かりました。ゲームの性質によっては、ゲーム内の通貨、ライフポイント、XP増加などもリワードになります。これにより、動画広告を全体的なゲーム体験へのアセットとすることで、ユーザーに広告を見てもらうことができます。

モバイル広告配置における戦略

高品質な広告は、ゲームプレイ中、適切なタイミングで適切な位置に配置されないと効果を発揮しません。これはすべての広告フォーマットとモバイルゲームに当てはまります。また、画面の切り替えが少ないゲームでは、動画広告配置の戦略はより難しくなります。

さらに、広告ブロックがモバイルゲームにどう影響するかにも注意する必要があります。AdAgeによると、モバイルで広告をブロックしているユーザーは世界中で5億2,700万人にものぼります。広告をブロックするユーザーには、バナー広告、インタースティシャル広告および同様の広告フォーマットが表示されないようになりますが、ゲーム内のコンテクストに埋め込まれている広告は非表示にできません。さらに、ゲーム画面が切り替わるさりげないタイミングで適切に広告を表示することにより、ユーザーが広告ブロックアプリをインストールするのを阻止できます。

モバイルゲームの動画広告は任意であるべきか

モバイルゲームに動画広告を実装する前に、広告の視聴を必須にするか任意にするかを決める必要があります。一部のマーケターは、広告の視聴をスキップする選択を設けることで収益増に成功しています。ユーザーが広告をスキップできるようにする場合、一部の広告主はユーザーが動画をどれだけ見たかによって収益を計算します。スキップできない広告のデメリットは、広告がユーザーの興味と一致しない場合、アプリエクスペリエンスが損なわれてしまうことです。

また、モバイルゲームで動画広告を任意にするかしないかを選択できます。動画広告が任意の場合、ユーザーはオプトインする必要があります。これは、リワード(報酬や特典)を得るために広告を見たがっているユーザーに動画広告を表示するのに最適な方法です。非任意の広告はすべてのユーザーに表示され、常にリワードが付与されるわけではありません。動画広告をスキップ可能にし、オプトインしたユーザーだけに表示するかどうかを決めることは、収益化モデルにとって重要です。この先も最適な結果を得るためには、ユーザーからのフィードバックを入手してさまざまな手法をテストするのがスマートでしょう。

広告を表示するタイミング

  1. ゲーム開始前: ユーザーがゲームを始める前に動画リワード広告を表示することで、ユーザーはゲームを有利にプレイするチャンスをすぐに得ることができます。プレイ前にゲーム内のリソースを提供することで、ユーザーエクスペリエンスが向上します。ゲームの開始前に広告を表示する場合、セッション時間の短いゲームでは広告が閲覧される可能性が高い傾向があります。
  2. 達成したタイミング: レベルアップなどでゲームが次のステージに移るタイミングに広告を表示すると効果的です。動画リワード広告を追加する場合は、ユーザーがゲームを進めるのに必要なリワードを適切なタイミングで表示させます。しかし、ゲームの途中で表示される広告は、ユーザーエクスペリエンスを損なわないものであることが重要です。
  3. ゲーム終了時: ユーザーがゲームを進めるのに失敗して、最初からやり直す際に広告を表示することもできます。この「ゲームオーバー」シナリオは、ゲーマーに追加のライフポイントを付与するのに最適なタイミングです。例えば、ユーザーのライフポイントが無くなった場合でも、15秒の広告を見てライフポイントを得ることで「ゲームオーバー」画面を回避できます。「ゲームオーバー」画面を使って、次ゲームでのリワードをユーザーに付与することもできます。

ユーザーにゲームをプレイし続けてもらうための他の方法

ユーザーに毎日リワードを付与してアプリに呼び戻すことで、ゲームをプレイし続けてもらう施策も考えられます。これによりLTVが向上し、ユーザーはより多くの広告を目にすることになります。例えば、1)ユーザーが4日間連続でゲームをプレイした場合、2倍のリワードを付与、2)ゲームを起動したら1日分のリワードを付与し、動画広告を視聴したら2倍のリワードを付与する、などが考えられます。

ゲームアプリのマーケティング施策に関するインサイトや活用方法についてはハイパーカジュアルゲームアプリを成功させる方法をご覧下さい。

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