ブログ SKAN 4をマーケティングに最大限活用する方法

SKAN 4をマーケティングに最大限活用する方法

AppleのSKAdNetwork(SKAN)4では、iOS戦略を構築する際に考慮すべき新機能や技術仕様が多くリリースされました。粒度の粗いconversion valueの活用、それが粒度の細かい値とどのように関連するか/しないか、lockWindowと3つの計測期間、3回のポストバックでいかに多くの情報を取得するかなど、掘り下げるトピックがたくさんあります。

この記事では、マーケターがこれらの機能をどう活用できるかについて詳しく解説します。SKAN 4でマーケティングパフォーマンスを計測する方法は、conversion valueのみとなります。Conversion valueにマッピングされていないイベントや条件は、Appleから受け取る最終的なポストバックには含まれません。また、重要なKPIをすべてマッピングしたとしても、Appleのプライバシーのしきい値を満たす必要があるため、最終的なポストバックにはキャンペーンの最適化に必要な情報がすべて含まれていない可能性があります。

では、SKAN 4について広告主が考えるべきこと、3つの計測期間における粒度の粗いconversion valueのマッピング、そしてlockWindowでできることを見ていきましょう。

SKAN 4について広告主が考えるべき2つの大きなポイント

広告主がSKAN 4について考え、実行に移すための最も重要なポイントは次の2つです。

  • 最も効果的な方法でconversion valueを設定・マッピングする
  • キャンペーンがプライバシーのしきい値を満たすようにする

2つ目のポイントを満たすには、キャンペーンを実施するアドネットワークの協力も必要です。なぜなら、Appleがクラウドの匿名性を維持するために使用するパラメーター(アプリのサイズ、広告の表示頻度、ソースIDあたりのインストール数)はわかるものの、テストによるトライアンドエラーを経たうえで、SKAN 4の各階層の上限がどこになるかはまだ結論付けられていないためです。各階層は以下のように可視化でき、階層3が最高レベルのクラウドの匿名性を表しています。

Conversion valueを取得するためのMetaが現在のしきい値は、CV=nullではなく、1件のキャンペーンあたり1日88インストールに設定されています。テストを進めるにつれて、SKAN 4の上限値やしきい値が明らかになり、粒度の細かい値、粗い値、CV=nullのどれを受け取るかを判断できるようになります。SKAN 4では、上限値はそれぞれのアプリによって異なります。小規模なアプリはより下の層に配置される可能性が高く、その分受け取れる情報が少なくなります。つまり、広告予算の大半をごく少数のキャンペーン(あるいは1件のキャンペーン)に費やすSKAN 3のやり方が、依然として適切である可能性が高いということです。

一方で、ユーザー数が多いアプリは、新しく増えたソースIDの桁数(SKAN 3ではキャンペーンIDが0~99に限定されていたのに対し、10,000桁まで使用可能)を使用してますます強力なターゲティングを行えるため、より有利な立場にあると言えます。キャンペーンレベルだけでなく、アドグループやクリエイティブレベル、さらに粒度の高いジオターゲティングが可能です。

3つの計測期間における粒度の粗い値のマッピング

SKAN 4では、3つの計測期間と3つのポストバックが導入されました。粒度の粗いconversion value(低・中・高)は各期間ごとに個別にマッピングでき、細かい値(63のconversion value/6ビット)も1つ目の期間でマッピングできるようになっています。SKAN 3では1セットのみだったconversion valueマッピングが、各アプリで合計4セット活用できるようになります。それでは、1つの計測期間でこの新機能を最大限に活用する方法を見ていきましょう。

計測期間1

最初の計測期間は、キャンペーンを一時停止するかスケールするかを決定する、成功か失敗かの分かれ道となるものです。ここで粒度の粗い値を賢く活用する方法として、ユーザーを3つの主なバケットに分けることができます。

  • 値の高いユーザー:大きなシェアは、キャンペーンをスケールしても問題ないという「青信号」を示します。
  • 中程度の価値のユーザー:大きなシェアは、キャンペーンを同じレベルで保つべきという「黄信号」を示します。
  • 価値の低いユーザー:大きなシェアは、キャンペーンを一時停止するべきという「赤信号」を示します。

このアプローチを活用するために、アプリマーケターと開発者はまず、アプリのユーザージャーニーにおいて、最初の0~2日間(計測期間1の日数)のどのイベントが長期的なユーザー行動の重要な指標となるかを特定する必要があります。これらのイベントは、アプリのカテゴリーと収益化モデルの両方に大きく左右されます。

主に広告収益で収益化しているアプリは、通常、63のconversion valueを使用して収益範囲をマッピングします。Conversion valueが大きいほど大きな範囲がマッピングされ、逆もまた同様です。この場合、粒度の粗い値の最も簡単な使い方は、粒度の細かい値に対するマッピングの粒度を粗くすることです。

アプリ内購入(IAP)で収益化するアプリも、同じようなアプローチをとることができます。IAPを通した初期段階の収益が必ずしも後段階のユーザー行動を示すとは限らないため、少し複雑ですが、収益に関係ない他のイベントは後段階のユーザー行動を示す可能性があります。重要なのは、本質的なことや、最も役立つことに焦点を当てることです。ユーザー行動に関する深いインサイトがすでにある場合、ここでは、複数のイベントを持つ条件を粒度の粗い1つの値に割り当てることもできます。

サブスクリプションアプリでは、通常、ユーザーがインストール後数日以内にコンバージョンに至ることはめったにありません。したがって、1つ目の計測期間では、利用可能な粒度の粗いconversion valueに非収益イベントをマッピングするのが最も簡単です。

アプリ外部での収益化がメインのアプリ(モバイルネットワークアプリなど)は、主な目標として継続率などの指標を重視しています。つまり、セッション数は価値の高いユーザー行動や、アプリ内の一般的なアクティビティを示す重要な指標だと言えます。

計測期間2

2つ目の期間(3~7日目)では、ユーザーはその時点でかなりの期間アプリを使用しています。そのため、「優れた」ユーザー行動としてマーケターが何を求めるかも変わってきているでしょう。例えば、ユーザーが商品をカートに追加したまま放置していたり、トライアル後にサブスクリプションを開始していなかったりした場合、商品を購入したりサブスクリプションに登録する可能性は、計測期間1のときよりも大幅に低くなります。計測期間1で価値の高いユーザー、中程度の価値のユーザー、価値の低いユーザーを示すと定義されたイベントは、計測2では、おそらく1つ下のバケットに下がるでしょう。実際の場合を考えると、計測期間1では「チュートリアルの完了」が中程度の価値のユーザーを示していたものの、コンバージョンに至らなかった場合、これは計測期間2ではおそらく価値の低いイベントとなります。ここで上のバケットに割り当てるものは、ユーザーがインストール後2日間に通常行わないこと(サブスクリプションの開始など)です。

アプリ開発者がユーザーの予測分析を行い、初期段階のイベント行動から長期的なユーザーの価値を算出している場合、この期間を使用して、分析が正しかったかどうかの確認や予測の軌道修正をすることができます。

計測期間3

この期間は、ユーザージャーニーがさらに進んだ8日目〜35日目です。ユーザーはアプリを削除しているか、セッションを記録していないか、あるいは間接的または直接的に高いLTVにつながる一連のイベントを実行しているでしょう。基本的には2つ目の期間と同じロジックに倣っているものの、ユーザーがアプリジャーニーのさらに深い部分にいるという点で異なります。この期間では、粒度の粗い値を、8日目以降に起こる主要なイベント(特定の収益を達成、またはユーザーの保持に成功)にマッピングする必要があります。

2つ目の期間と同様に、3つ目のポストバックで受け取った情報は、最初の数日間で行った予測分析の軌道修正に使用可能です。

SKAN 4のlockWindowを活用する

SKAN 4では、lockWindowという機能を使用して、各計測期間内の任意のタイミングでconversion valueをロック/確定できるようになりました。この機能はSKANマーケティングに新たな可能性をもたらす一方で、その使用が限定される場合のある注意点があります。下の例では、2つ目の期間(3~7日目)の5日目あたりでconversion valueがロックされ、この時点からは更新されなくなります。また、この時点からランダムなポストバックタイマーがトリガーされ、ポストバックまでの待ち時間が短くなります。

ここで注意すべき落とし穴は、ロックをトリガーするには、ユーザーがオンラインでなければならないということです。つまり、ユーザーがアクティブでない場合はロックが適用されず、データはイベントをトリガーしている、あるいはアプリ内でアクティブな状態にある、より価値の高いユーザーに偏って歪みが発生してしまいます。

しかし、lockWindowには効果的な使用例があり、その1つが、アプリに静的なlockWindowを設定できることです。つまり、ユーザーの多くが主要なイベントを実行するインストール後のタイミングがわかれば、スイートスポットを特定し、ポストバックをロックしてより早く受け取ることができます。また、動的なロック期間を実装し、特定のイベントが実行されたときにのみロックが適用されるようにすることも可能です。これにより、ユーザーのアクティビティレベルに応じて、各ユーザーに異なるロックを適用できます。

lockWindowの最も戦略的な活用方法は、成功か失敗かの分かれ道となる、最初の計測期間中に使用することです。他の期間では、キャンペーンで順調にコンバージョンが発生しているかどうかをすでに把握しつつ、計測期間の経過と共に、2回目、3回目のポストバックでできるだけ多くの情報を得るようにすることが理想的です。

SKAN 4の計測とconversion valueマッピングを活用し、iOSキャンペーンを成功に導く

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