ブログ グローバル拡大を続ける人気フードデリバリーアプリ「Delivery Hero」の秘密

グローバル拡大を続ける人気フードデリバリーアプリ「Delivery Hero」の秘密

以下の記事は、Adjustが発行した『LTV Magazine』(Issue 02 / 2020) の掲載記事 “The Magic Delivery App” の日本語版です。無料で公開していますので、ご興味のある方はお気軽にダウンロードしてご一読ください。

スイスの投資銀行UBSは、フードデリバリー市場が今後12年間で10倍成長し、市場規模は2030年までに3,650億ドルに達すると予測しています。競争の激しいこの市場で優位に立つのは決して容易ではありませんが、グローバルにビジネスを展開するフードデリバリー大手のDelivery Heroは、便利なデリバリーサービスを提供し、顧客の文化的背景や嗜好に合わせたアプローチを取り入れて業績を伸ばしてきました。

ベルリンに本社を置く同社の企業価値は50億ドルを超え、40以上の国々で26のブランドを展開し、5大陸で20万軒以上のレストランと提携しています。2019年11月、Delivery Heroはアジアでの事業拡大に動き、韓国で最も人気のあるフードデリバリーアプリを提供するWoowa Brothersを買収しました。

WoowaのCEO兼創業者のボンジン・キム氏は、あるプレスにこう語りました。「Delivery Heroと連携し、同社のプラットフォームとグローバルに培われた経験を活かしてアジアでの事業拡大を推し進めるとともに、大きな可能性を秘めた韓国市場により注力していきたいと考えています」

Delivery Heroは現地チームと知識を活かして、世界中の顧客により優れた顧客体験を提供することに努めています。彼らにとって、アジアでの事業拡大は十分に達成できる目標です。実際に、2020年1月には23億ユーロの資金を調達し、Woowa Brothersの買収を行っています。

Delivery Heroが経費を削減しつつ新規ユーザーの獲得数を2倍に増やした秘訣は、「毎月計測される200億のデータポイントを基に強化された、テクノロジーと製品のイノベーション」です。Delivery HeroのCTO、クリスチャン・ハルデンベルグ (Christian Hardenberg)は同社のブログで次のように述べています。「我々はテクノロジーを活用して効率的なマーケティングを実施し、優れたカスタマーサポートを提供しています。テクノロジーにより収集したデータを理解し、それを活かしてモバイルアプリとWebサイトでの顧客体験を常に最適化できます。Delivery Heroは1日あたり最大100万件のオーダーを配達しており、これは過去3年間、当社のサービスとテクノロジーを非常に優れたものへと強化してきたからこそ実現できるのです」

今回、我々はDelivery Heroのマーケティング専門家であるマーカス・レッチ (Marcus Letsch) 氏(ディスプレイチャネル責任者)とハザル・デミラル・ゴルゲ (Hazal Demiral Gölge) 氏(モバイルテック責任者)の2名と対談の場を設け、顧客体験における実験、テスト、改善に対してDelivery Heroが採用するデータ主導の大胆なアプローチについて議論しました。

Delivery Heroは「新規顧客を獲得するとともに、既存顧客のサービスの利用状況を慎重に改善することに焦点を当てた」戦略を展開しているとお聞きしました。これを達成するには、データに基づいた戦略とデータ主導のチームが求められます。日々どのようなデータ処理作業を行っていますか?また、会社の目標を達成するためにどのような取り組みをしていますか?

ゴルゲ:マーカスが率いるディスプレイチームに所属するモバイルテック部門の責任者として、チームが正確なキャンペーンデータを収集できるようにするのが私の仕事です。このデータを基に、上層部は世界中の全アプリに対する意思決定を行います。つまり、データを適切に計測し、正確なレポートを行うことが重要です。これに加えて、アプリストア最適化も担当しています。

レッチ:私の役職にある「ディスプレイ」とは、私がWebとアプリの全てのビジュアルマーケティングを担当していることを意味します。興味深いのは、我々のメディアバイイングの手法が大きく変化していることです。現在は、全てのメディアバイイングをプログラマティックで取引(自動買い付け)しているため、従来のアドネットワークではなくDSP(デマンドサイドプラットフォーム)を使用しています。プログラマティックメディアバイイングへ移行したのは昨年のことです。このお陰でより多くのデータが得られ、データの透明性が向上しました。

マーカス・レッチ (Marcus Letsch)氏

ディスプレイチャネル 責任者,

Delivery Hero

今仰ったように、データに基づいて広告取引を実施することにより、様々な利点が得られます。しかしある調査によると、ブランドセーフティやアドフラウドに関する課題も懸念されています。これにはどう対処していますか?

レッチ:確かに、アドフラウドが全くないということはありません。Delivery Heroではルールベースのアプローチを採用しているので、そのためにAdjustのアドフラウド防止機能を使用しています。不正チェックを定期的に実施し、数値が我々の予想やベンチマークと異なる場合は広告パートナーにフラグを立てます。成長を続けるDelivery Heroのビジネスを支えていくためには、信頼できるデータが必要です。アドフラウドを防止するだけではなく、ビジネスにとって適切な決断を下すためのデータを収集することも重要なのです。

データは企業の生命線といっても過言ではありません。チームメンバーがデータにアクセスでき、それに基づいて行動できるようにするためのプロセスやワークフローにはどのようなものがありますか?

ゴルゲ:当社では、例えばオーダーデータなどに関して、Adjustの計測データと私たちが受信したオーダーで収益を生み出したものを比較しています。これは、Adjustが計測したデータの重要な部分を、世界中の全てのデータを格納する独自のデータウェアハウスに取り込むことで行います。そして、それらのデータを基に計算、レポーティング、独自の分布モデルを作成しています。

当社では、Adjustの「クリック後7日間」と定義されているアトリビューション期間の他に、当社独自のロジックを採用しています。マーケティング部門の全員がこのデータを使用してキャンペーンを最適化しています。私が気付いたのは、Adjustはローデータを無制限に提供し、機能が非常に堅牢であるという点において、他のMMPよりも高度に開発されているということです。当社はAdjustのサービスに全幅の信頼を置いています。CMOレベルでのマーケティングの意思決定は、Adjustのデータに基づいて行われます。

ハザル・デミラル・ゴルゲ(Hazal Demiral Gӧlge)氏

モバイルテック 責任者,

Delivery Hero

マーケティングといえば、貴社はWeb、アプリ、テレビなど幅広くキャンペーンを展開されています。このような複雑なカスタマージャーニーにおいて、マルチタッチ計測をどのように実施していますか?

レッチ:当社にとって、ユーザージャーニー全体を理解するためには、Web、アプリ、テレビなどの様々なタッチポイントが横断するポイントを紐付けることが重要です。一般的に、マルチタッチへのアプローチには様々な方法があり、プリインストールやイベントベースのマルチタッチなどが存在します。Web計測で得られるデータストリームを使用して、さまざまなアプローチを構築できます。しかしそこからWebとアプリのデータを合理化することになりますが、この点が大きな課題です。しかし、Adjustを使ってコールバックを使用するため、アプリのユーザージャーニーは比較的直線的です。モバイル計測は、クッキーがブラウザで削除されるWebの場合よりもはるかに簡単です。

コールバックについてと、より広範な戦略でデータを使用する利点についてお話がありました。これに関するアドバイスや効果的な活用方法を教えていただけますか?

レッチ:まず、ビジネスのニーズに合わせてデータをモデル化します。ニーズは会社やマーケティング部の目標や、提供するユーザージャーニーによって異なります。例えば、当社のようなマルチ プラットフォーム アプローチではなく顧客にアプリのみを提供している場合は、ユーザージャーニーが大きく異なるのは明らかです。この点を明確にしたら、自社のキャンペーンに合ったモデルを開発できます。その後は、しっかりしたBIツールとモデル化できるようにコールバックを使用することが要となります。簡単に言えば、目標を達成するには、まずは自分の目標を理解して、会社に合わせてデータをモデル化することが大切です。

そのような意思決定を行うには、マーケターはデータをしっかりと把握し、ユーザージャーニーを明確に理解し、必要とする計測データを判断するための専門知識が求められます。Delivery Heroにはそれを実行するシステムが構築されていますが、これは時にして大規模なプロジェクトになることがあります。中小企業はどう取り組んだらいいでしょうか?

ゴルゲ:もちろん中小企業やスタートアップの中には、こうした大きなプロジェクトを開始するための規模やリソースがないこともあるでしょう。しかし、だからといってそれが障壁となるわけではありません。現時点では、Googleなどの様々なクラウドプロバイダーを介してデータを取得し、そのデータに基づいて実際の顧客レポートを簡単に作成できます。そのため、プロジェクトを開始するのにシステムの構築は必要ありません。しかし、計測する対象とデータを使用して、何をするかを特定する必要があります。全てを計測したいと言うのは簡単ですが、レポートにただデータを追加するだけで何もアクションを起こさないのであれば、計測する意味がありません。

Delivery Heroのような成熟した企業では、カスタマージャーニーの全ステップを計測し、ユーザーを完全に理解する必要があります。しかし小規模な企業の場合、マーケターにとって最も大切なのは、どのKPIが最も重要かを見つけ出し、KPIを達成できているかどうかを把握することです。その後、レポートに基づいて意思決定プロセスの構築を開始し、ビジネスを拡大してオーディエンスを増やすための取り組みを行います。

貴社には「実験とテストを重視する文化」がありますが、これにより何が達成できましたか?お二人がマーケティングを行う上で最も驚いたこと、または大きく改善できたことは何ですか?

ゴルゲ:当社ではたくさんのテストを実施して、パラメーターまたはイベントを追加することがキャンペーンの結果そのもに違いをもたらすかどうかを確認しています。この価値を見極めるためにテストキャンペーンを実行したのですが、そこで使用したのがAdjustのアンインストール計測機能です。

当社が実施するテストから得た大きな発見は、新機能や新しいイベントを実装する際は、常に小規模でテストを行って、さらに実際のキャンペーンでテストをするべきであるということです。この目的は、対象となるものが費用やリソースの節約など、実際に違いを生んでいるかどうかを理解することです。当社では、現地の製品チームおよびマーケティングチームの意思決定者向けのビジネスケースを構築し、変更を行うためにより多くのリソースを投入すべき理由を示し、長期的に見てこのデータがどう役立つかを示すことが重要だと考えています。

データを活用することで、どのようにユーザーに関わり、エンゲージメントをしていくかの認識と理解が広がりますね。しかし、ユーザー体験を見直してより優れたものにするには、アートサイエンスが求められます。現在、そして将来にわたって、マーケティングオートメーションはどのような影響をもたらすとお考えですか?

レッチ:現在、マーケティングの自動化により、繰り返しの作業を行う時間を節約できます。マーケターやマネージャーは、その時間を有効に使って他の仕事をするだけでなく、クリエイティブな作業に集中できるというメリットもあります。私自身はチームを管理していますが、メンバーが自分の仕事を心から楽しんでいるだけではなく、他に何ができるかを考えているのが分かります。

オートメーションは、より革新的なアイディアを思いつく環境をもたらします。これは企業にとって有益です。スポーツと同じように、自分自身が優れたマーケターになれば、チームにも良い影響を与えられます。チームが新しいアイディアを生み出すことができれば、チーム、そして最終的には会社の成長へとつながります。私は自動化を推進することで戦略的なチームを構築し、マーケティングの大きな課題に取り組み、ビジョンを掲げることができると考えています。この課題とは、ブランドとパフォーマンスを組み合わせる方法、または全てのタッチポイントを組み合わせてインクリメンタリティを理解し計測する方法を見つけることなどです。

今後、デジタルマーケティングの「従来の方法」が新たなアプローチに取って代わることでしょう。オートメーションにより、マーケターはテクノロジーを理解し、データを分析し、コードを書き、プロダクトチームと密に連携し、BIチームと協力し、そして利害関係者や代理店、パートナーと有益なコミュニケーションを図る余裕が生まれます。その結果、会社の発展と自分自身の成長を目指して考え、行動できるようになります。

Adjustの最新情報をお届けします