ブログ iOS 14における広告トラッキングの変更の適用延期について

iOS 14における広告トラッキングの変更の適用延期について

概要

  • App Tracking Transparencyフレームワーク用のAppleポップアップを表示しユーザーから許諾を得なくても、以前と同様にIDFAを取得できる。
  • ユーザはアプリベースで個別にトラッキングを拒否できる。ユーザーが全てのアプリのトラッキングを拒否した場合、IDFAはリセットされる。
  • アプリのrequestTrackingAuthorizationコードにより、ユーザーはアプリ毎にオプトアウトができる。
  • requestTrackingAuthorizationのメソッドが呼び出され、ユーザーが同意のリクエストを拒否した場合、IDFAは取得できない。
  • 上記の変更点は2021年初旬まで有効となる。

9月3日、AppleはiOS 14の新たなプライバシーガイドラインの導入を延期することを発表しました。これに合わせて、「Appのプライバシーに関する詳細情報」とiOS 14の最新ベータ版がリリースされました。

今回マーケターにとって最も重要なのは、IDFAに関する新たなプライバシーガイドラインが来年の初めまで適用されないという点です。厳密に言うと、これはAppTrackingTransparencyフレームワークがiOS 14に盛り込まれる一方で、移行期間中のフレームワークの機能性が修正されたことを意味します。

この記事では、今回の延期がマーケターにどのような影響を与えるかを解説し、最新の動きに遅れを取らないために講じておきたい対策についてご説明します。

IDFAへのアクセス

今回の発表の焦点となるのはAppTracking Transparencyフレームワーク (ATT) とIDFAです。iOS 14ベータ版のバージョン7では、ユーザーのIDFAはデフォルトで取得可能となっており、ユーザーがトラッキングをオプトアウトする場合にのみIDFAを取得できなくなります。Appleによると、同機能はユーザーのプライバシーに対する仕様変更が完全に適用される来年初旬まで保留となります。

それまでは、ユーザーはアプリ内のATTポップアップ、あるいは設定メニューからオプトアウトができます。

以下のシナリオをご覧下さい。

では、デバイスに複数のアプリがある場合はどうなるでしょうか。また、iOS 14ベータ版のバージョン7では、ユーザーの同意トグルがIDFAにどう影響するでしょうか。

「Allow Apps to Request To Track (Appからのトラッキング要求を許可)」がOFFにされ、再びONにされた場合にのみIDFAがリセットされます。あるいは、デバイスの全てのアプリでオプトアウトされた場合も同様です。

Adjustが推奨すること

まず理解しておきたいのは、アプリパブリッシャーは自社のアプリにとって最適なユーザー同意フローをテストし調査してから、初めてATTフレームワークをProductionモードで実装するべきだということです。これは、現在の仕様ではATTがユーザーを早すぎるタイミングでオプトアウトする選択肢に誘導してしまう可能性があるからです。

今回延期が発表されたことにより、アプリ開発者はiOS 14のユーザープライバシー変更への準備を余裕を持って行うことができるようになりました。この期間を有意義に使い、同意フローとUXデザインの最適化を行いましょう。Apple社は、来年初旬にアプリレベルでの同意が導入されることを明らかにしました。アプリマーケターはこれに備えて同意フローを改善し、同意率が高まるような仕組みを取り入れることが重要となります。ユーザーがオプトアウトするとIDFAが取得できなくなるため、全てのユーザーに向けて同意ポップアップを配備する前に、フローを徹底的にテストする必要があります。効果的な同意フローの設計については、ブログ記事「iOS 14のユーザー同意を確保するためのオプトインの設計方法」を参考にして下さい。

また、Adjustはアプリ開発者の皆様にテスト環境においてアプリ内でのオプトインフローに取り組むことをおすすめします。ATTフレームワークは、オプトインフローがテスト環境で十分に準備できた後に実装するようにしましょう。来年の初めまでにできる限り多くのテストを社内で実施し、Appleがガイドラインを施行する少し前になったらATTを実装するのが賢明だと言えます。ATTが実装されたその瞬間から、ユーザーはアプリ毎にIDFAの共有をオプトアウトできるようになります。このような取り組みにより、アプリ開発者はユーザーがオプトアウトするリスクを負うことなく、同意フローを十分にテストできます。

Adjustでは、業界をリードするUX・UA専門家の協力の下に独自の研究を行い、クライアントの皆様が自社のアプリに合った最善の同意フローを実装するサポートをしています。研究の結果は随時ブログ等で公開していきますので、そちらもご確認ください。

SKAdNetwork

SKAdNetworkはiOS 14ベータ版のバージョン7では大きく変更されておらず、これまでと同様のデータを提供しています。しかし、9月3日のApple社による延期発表により、業界各社はSKAdNetworkをテストし、アナリティクスおよび最適化のためのconversion value(コンバージョン値)のロジックを開発する時間ができました。

業界各社がSKAdNetworkの機能性をテストするためのサポートとして、Appleはタイマーを5分間に短縮した新たなSKAdNetworkプロファイルをリリースしました。このプロファイルは、ローカルのテストデバイスで実装され、テスト目的のみに使用されるのを意図して設計されています。

上記ページはApple開発者アカウントにログインしてからご覧ください。

Adjustが推奨すること

現時点ではIDFAの取得は可能ですが、SKAdNetworkのテストを開始し、アプリ開発者や業界全体がどのようなインサイトを得られるかを調査しましょう。このテストを通してSKAdNetworkの制約を理解し、対応策を検討することができます。特にconversion valueに関しては、アプリ開発者がSKAdNetworkを活用するには、どのロジックを適用させ、どのイベントが各値と紐付くのかを理解することが重要です。

Adjust SDKは全てのconversion valueのロジックをサポートしていますので、アプリ開発者はニーズに合わせてこれらを動的に変更できます。Adjustは管理画面とサーバー側の完全連携に向けて引き続き取り組み、アプリ開発者に最高水準の適応性と粒度の細かいデータを提供します。

今後に向けて

Adjustは、クライアント様とパートナー様向けに業界最高水準のiOS 14対応ソリューションを構築するための取り組みを行ってきました。Appleが新たなプライバシーガイドライン導入の適用を延期した決断を歓迎し、Adjustはこの時間を有効活用して、クライアント様とパートナー様がAppleの新たなプライバシーガイドラインにスムーズに移行できるよう、サポートして参ります。

またAdjustでは、今後も引き続きブログやセミナーなどでiOS 14に関する最新情報を発信していきます。さらに、同意フローに関する研究を継続し、iOS 14のあらゆる可能性に備えて各プロダクトの最適化を集中的に進めます。iOS 14への対策に関するご意見や、モバイルエコシステムでの事例などがありましたらぜひお聞かせ下さい。また、iOS 14に備える上でご不明な点がある場合やサポートをご希望の場合は、Adjustの担当者または support@adjust.comまでお気軽にお問い合わせ下さい。

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