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ケーススタディ - DeNA

Adjustの各機能を用いて、各アプリに合った方法でSKAdNetworkとIDFAデータを補完的に活用していけば、問題なくインストール数とLTVをともに把握可能に

Twitterのブロード配信を活用することにより、CPIは79%、CPMは80%、そしてCVRは118%改善

広い配信を行い、そこから機械学習に任せるという取り組みが重要

DeNAについて

株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNA)はエンターテインメント領域と社会課題領域にまたがり、複数の事業を展開している企業です。今回は、同社のマーケティング統括部デジタルメディアプランニンググループの室谷侑太郎氏に話を聞きました。

室谷氏は2020年にDeNAへ入社。TwitterをはじめとしたSNS広告の担当として運用型広告を中心に取り組み、また直近はATTポリシーの施行を受けて、アプリの広告評価全体に関しての見直しも行っています。

課題

ATT施行で広告効果の正確な測定が困難に

DeNAはこれまで、IDFAデータを最大限に活用し、広告経由でインストールしたユーザーの数やLTVをできる限り正確に測定するために様々な取り組みを行ってきました。しかし、ATTポリシーの施行後はデータ欠損により測定の精度が低下していくという事態に陥っていました。

室谷侑太郎

株式会社ディー・エヌ・エー マーケティング統括部デジタルメディアプランニンググループ

ソリューション

SKAdNetworkとAdjustの管理画面を併用

そこで、DeNAはAdjustのデータをより積極的に活用することで、ATTポリシーの施行後における広告効果の評価方法を刷新しました。インストールしたユーザー数はSKAdNetworkを、LTVはAdjustの管理画面を利用するという方式です。

新規ユーザー数に関しては、SKAdNetworkと各媒体によってモデリングされたコンバージョン値を併用するなど、評価方法を柔軟に変更するようにしています。さらに、インストールより奥の地点をKPIに置いたキャンペーンに関してはより複合的に判断しています。具体的には、インストール数はSKAdNetworkを活用する、イベントに関してはAdjustで取得した顧客転換率をSKAdNetworkのインストール数に掛け合わせるなどの工夫を行っています。

また、広告経路ごとのユーザーのLTVに関しては、Adjustの管理画面のデータを通じて推測しています。そこでは、LTVと最も相関の高いイベントを見つけ出した上で、サンプルサイズの規模に応じて、オーガニックのイベント指標と照らし合わせながら広告媒体別のLTVを算出しています。サンプルが不足している場合はオーガニックのLTVをそのまま採用、十分にデータが取れている場合は広告媒体別に算出されたLTVを参考にするというように、データのサンプル数に合わせてより適切な算出方法を採用できる環境を整えています。

室谷侑太郎

株式会社ディー・エヌ・エー マーケティング統括部デジタルメディアプランニンググループ

広告施策の中心となるTwitterの評価と運用

Twitter広告の新規ユーザー数の評価については、基本的にはやはりSKAdNetworkを活用しています。また、ここではユーザーの再インストールを評価するかしないかで手法が変わってきます。再インストールを評価する場合には、媒体の管理画面と合わせて、Adjustのデータキャンバスなども適宜見ています。再インストールを評価しない場合は、Adjustのデータキャンバスを定期的に確認することで新しいインストール数を把握しています。さらに、SKAdNetworkによるインストール数と顧客転換率をかけ合わせることによって細かな検証を行っています。

Twitterでの新規ターゲティングに関しては、除外ターゲティングを行わず、社内のデータサイエンティストと連携して開発したキーワードを用いたターゲティングや、ブロード配信といった広いターゲティング設定をすることで改善が見られました。機械学習を最大限に活用するメディアやネットワークは、配信対象を絞りすぎてしまうとその範囲内でしか学習が進まないといった問題が発生します。そこでDeNAのように広い配信を行い、そこから機械学習に任せるという取り組みが重要になってきます。

結果

Twitterブロード配信を通じて各指標を改善

ターゲットを設定せずに配信するTwitterのブロード配信を活用することにより、顕著な効果が見られました。CPMが安くなる一方でCVRは上がり、それに伴いCPIが抑えられるという結果が出たのです。具体的にはCPIは79%、CPMは80%、そしてCVRは118%改善しました。室谷氏は、「もともとTwitter広告においては、手動でキーワード群を複数準備し、細かくターゲティングを切って配信する方法が主流でした。しかし今後はそういった既存の手法に加えて、オーディエンスを広くとって媒体の学習機能を最大限活用することの重要性がより高まってくるのかなと思います。」と機械学習による成果向上を体感していました。

ATTポリシー施行後も精緻な効果測定は可能

ポストATTにおいても計測や評価をあきらめることはありません。Adjustが提供する各機能を用いて、それぞれのアプリやサービスに合った方法でSKAdNetworkとIDFAデータを補完的に活用していけば、問題なくインストール数とLTVをともに把握できる、というのがDeNAの考えです。

また最適化やターゲティングに関しては、Twitterではブロード配信をするといったように、媒体の最適化に委ねることでIDFAの欠損した状況でも効率改善が見込めます。

一方、IDFAが活用できなくなることに伴い数値から得られる示唆が少なくなってしまうのはまぎれもない事実です。

「今後の運用型広告において、数値から得られる示唆が少なくなってしまうのは避けられません。こうした状況下では、数値分析とユーザー感覚のバランスが不可欠です。具体的には、定量化できる部分は出来る限り定量化する意識を持つ一方で、定量化が難しい領域に関しても自信を持って意思決定できるようなユーザー感覚を持ち続けることが重要になると思います。」と室谷氏は話していました。