ブログ ユーザーの信頼とオプトインを獲得するために:ABテストの効果的な活用方法と分析

ユーザーの信頼とオプトインを獲得するために:ABテストの効果的な活用方法と分析

Katie Madding

2020年10月16日

AppleのiOS 14リリースを受け、今後適用される変更に備えて業界全体が対策を講じています。2021年初旬より、アプリはトラッキングの許可をユーザーにリクエストすることが求められます。Adjustでは、ユーザーをオプトインに誘導するプロンプトの設計方法と、クライアントが変更点にスムーズに対応するのをサポートする方法について研究を続けてきました。

iOS 14の新しいプライバシーポリシーを再度ご確認したい方は、変更点についてまとめたヘルプセンターガイドをご覧ください。さらに、ユーザーをオプトインに導くUX設定に焦点を当てた、本ブログシリーズの第1回目の記事も併せてご覧ください。

この記事では、ABテストの効果的な活用方法についてまとめました。テストで何を評価し、分析で何を確認する必要があるかについて説明しています。まず初めに、データプライバシーに関するユーザーの視点、さらにそれを活用したオプトイン戦略について見ていきましょう。

データプライバシーに関するユーザーの視点

ある研究によると、パーソナル化された広告に対して、多くの消費者が思ったより抵抗がないと感じています。2018年にOxford Economicsが行った調査では、自分の興味や関心に合わせた広告エクスペリエンスに対して、消費者の約70%がオプトインすることが分かりました。本調査のデータは、パーソナル化されてターゲットを絞った広告に抵抗を感じているのは、ごく少数であることを示しています。

  • 回答者のわずか17%が、パーソナル化されたオファーに 抵抗を感じている
  • 回答者のわずか15%が、パーソナル化された製品やサービスに 抵抗を感じている

ユーザーが抵抗なくオプトインできるかどうかについては、信頼が大きな要因となります。Salesforceは、8,000人以上の消費者を対象とした自社のアンケートで、信頼とは何を意味するかを尋ねました。回答者の75%は「プライバシー」、70%は「透明性」と回答したことから、信頼とプライバシーがどの程度関連しており、プライバシーポリシーが明確に示されることで信頼にどう影響するかを示しています。

プライバシー通知の効果的な活用方法

プライバシーに関する通知は、通常、組織が個人データをどう処理しているかと、GDPRなどのデータ保護規制に準拠しているかを説明する際に使用します。

モバイルでのプライバシー通知の表示方法をより深く理解するために、Adjustは実際に採用されている方法を調査しました。その結果、以下3つの傾向が明らかになりました。

  1. 一部のアプリは詳細なオプトインオプションを提供し、ユーザーが自分のデータを自由にコントロールできるようになっている
  2. 一部のアプリは連携しているパートナーをすべて表示しないことで、コントロールできる範囲を制限している
  3. アプリの1/3は「すべて許可」または「すべて拒否」のアプローチをとっており、ユーザーはすべての当事者とのデータ共有を許可するか、まったく許可しないかのどちらかを選択できる

Adjustは、1つ目のアプローチを推奨します。できる限りの透明性を提供し、ユーザーが自分のデータを自由にコントロールできるようにしましょう。このアプローチにより伝わりやすい文章やイラストを用いてオプトインすることのメリットを表示し、データを収集する理由を説明できます。

グルーピング

多くの企業は、Appleのポップアップリクエストを他のプライバシー通知と一緒にグループ化していいかどうか疑問に思っています。プライバシー通知をグループ化すると、スクリーンの下部に「許可」と「拒否」のオプション付きの通知を配置することで、オプトイン率が向上する可能性があります。しかし、GDPRにおいては、オプトインのチェックボックスにあらかじめチェックを入れたり、オプトインのCTAをより目立つボタンにしたりしてユーザーを特定の応答に誘導することが禁止されています。

ある調査によると、同意を求めるメッセージを適切に表示することで、オプトイン率が向上することが分かりました。データのトラッキングの許可または拒否を選択する際にポジティブなメッセージが表示されると、ユーザーがオプトインする確立が高まります。以下の例をご覧ください。

Adjustの一部のクライアントからは、Appleのポップアップのみを表示した場合のオプトイン率は30〜60%との報告がありますが、残りの準備期間中にプライバシー通知をグループ化するなど、さまざまなオプトイン戦略を徹底的にテストすることを推奨します。

ABテストでオプトイン戦略を評価

ABテストでは、2つのオプトイン戦略を比較し、結果を評価することでソリューションの効果を確認できます。

まずは、GDPRのプライバシー通知と一緒にオプトインメッセージを表示すパターンと、メッセージを単独に表示するパターンでABテストを実施してみましょう。ユーザーがオプトインメッセージを許可した場合は、AppleのATTポップアップのシミュレーションも忘れずに行ってください。

以下は、1回目と2回目のABテストについて説明したものです。オプトイン戦略の構築に役立つ、さまざまな側面を評価しています。

1回目のテスト

さらに他の変数を導入することで、これらの結果をもとに発展させることができます。例えば、Appleのトラッキング許可リクエストを含むプライバシー通知へのオプトイン率がより高い場合、他のコピーやデザインがオプトイン率にどう影響するかが探れます。または、単独でリクエスト(例:プリ パーミッション プロンプトまたはAppleのポップアップ)を表示したらオプトイン率がより高くなった場合、そのリクエストを表示するタイミングを評価できます。

2回目のテスト

ユーザーベースが大きく十分なリソースがある場合は、対数線形モデルによる分析により、複数の変数がオプトイン率に与える影響について評価することもできます。また、最初にオプトインしなかったユーザーに対して、オプトインアプローチの表示頻度を再度評価することも推奨します。

さらに、ユーザーセグメントによって統計的に重要な影響が見られるかどうかを確認することもできます。例えば、新規ユーザーのオプトイン率が既存ユーザーよりも高い、または、ある地域のユーザーは別地域のユーザーよりもオプトインする確立が高い、などの結果が得られるかもしれません。この知識を得ることで、オプトイン率をさらに高めるよう戦略をダイナミックに適応させることができます。

ABテスト後は、データを解釈するための信頼区間(母集団の平均などを幅をもたせて推測する統計学の手法)を計算します。これは、一人ひとりのアプリユーザーに対してテストが行われた場合、真のオプトイン率がどの範囲に収まるかを見極めるのに役立ちます。

オプトインを予測する:予測型モデル

予測型モデルでは、特定のユーザー行動を予測する統計的テクニックを使用します。以下2つは、ABテストの分析に役立つテクニックです。

  • 回帰分析: 変数間の関係を調査します。予測変数に基づいて結果変数の値を予測するのに使用します。
  • ディシジョンツリー分析: インプット変数に基づいてターゲット変数の結果を予測するのに使用します。

これらの分析方法により、どの変数がユーザーのレスポンスを予測する上でもっとも大きな影響があるかを調べることができます。特定のコンテクスト情報を使うことで、ユーザーが2つのカテゴリーのうちどちらに属すかを予測することが可能です。以下は、学習用データとして使える予測変数の例です。

ロジスティック回帰分析とディシジョンツリー分析は、どちらも分類の問題を解決するのに役立つメソッドです。もし自社アプリのデータセットがオプトインする決断に関連する部分と、オプトインしない決断に関連する部分の2つに分割されると考える場合、一般的にロジスティック回帰分析の方が適したアプローチだといえます。回帰分析は、予測変数の値が連続している場合にも使えます。

データ分割に確信がない場合は、ディシジョンツリー分析の方が適しています。データセットに多くの異常値や欠損値がある場合や、データが歪んでいる場合もこの手法を採用することをおすすめします。

Adjustでは、まず両方のメソッドを試してから、どちらのモデルがより良い結果を出すかを決めることをおすすめします。次のステップとして、予測値の個々の貢献を評価してどの変数(インストールタイプ、地域、ユーザー層など)がユーザーの意思決定にもっとも大きく影響しているかを確認できます。

消費者のモチベーションを引き出す:ユーザーとの対話

ABテストと回帰分析により、どの要因がユーザーのオプトイン率を高めるのかが把握できます。しかしこれらのメソッドは、どのアプローチが効果的で、なぜ特定の変数が他よりも重要なのかは明らかにしてくれません。この答えは、ユーザーと対話し詳細なインタビューを実施することで、定量的な調査結果から明確な意思決定を導くことができます。オプトインするユーザーとしないユーザーの両方から得られたインサイトを基に、オプトイン戦略をよりダイナミックに改善することが可能です。

まとめ

データプライバシーは、デジタル業界で今もっとも重要なトピックです。Adjustは、すべての企業がデータプライバシーに関する必要な対応を取るべきだと強く考えています。明確で透明性のあるアプローチをとることで、アプリユーザーの信頼を築き、IDFAの共有へのオプトイン率を高めることができます。

新しいプライバシーガイドラインの導入まであと数ヶ月となった今、オプトイン戦略を広範囲にテストし、許諾フローを最適化して準備を進めましょう。しっかり準備をすればするほど、ユーザーと良い関係を継続し、高いオプトイン率を維持できるようになります。Adjustは、複数の広告主と密に連携し、オプトインの最適化にデータ主導のアプローチを実装するための取り組みを行っています。それから得た知識を今後数ヶ月にわたってブログ記事などで共有していきますので、新着記事にご注目ください。

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