ブログ 顧客生涯価値(LTV):アプリマーケティングで広告費用を無駄にしないためのツール

顧客生涯価値(LTV):アプリマーケティングで広告費用を無駄にしないためのツール

顧客生涯価値(LTV)は、判断を誤ると大きな損失を招きかねない指標です。簡潔に説明すると、LTVはユーザーがアプリにどれだけの利益をもたらすかを表すものです。データポイントとして様々な目的に活用でき、アプリが商業的な成功を(長期的に)収めるかを判断、ビジネスの成長を予測するのにも役立ちます。さらに、LTVはユーザーのロイヤリティを示すテストとしても利用でき、ターゲットオーディエンスのアプリへの関心が低下すると、それを警告し、その原因を教えてくれます。LTVには、このほかにもさまざまな役割がありますが、本質的には、マーケティング予算に関する情報を提供することがその主な役割と言えるでしょう。

しかし、LTVを割り出すうえでひとつ問題があります。それは、どんな状況にも当てはまる万能な数式は存在しないということです。LTVの計算方法は多種多様で、アプリのカテゴリーや目的に応じて使い分けることができます。しかし、予測可能で確率や可能性に基づく指標であるLTVの計算は数学的に複雑で、変化に柔軟に対応できる予測モデルを構築するには、相応の知識と専門性が必要となります。LTVを正しく把握することは、広告費用を無駄にせず、確実に収益をあげるうえで欠かせません。正しいLTVを理解することで、ユーザーがもたらす価値に合わせて予算を割り当て、広告費用を支払うことができます。これによりキャンペーンの投資利益率 (ROI) が健全になり、収益があげられます。

LTVの重要性

LTVと顧客獲得コスト(CAC)の比率からは、規模が拡大する上でのビジネスの「健全性に関するすべて」を読みとることができるため(CACは支出、LTVは収益)、LTV > CACとなることが重要です。LTVは恐らくベンチマークの指標のなかで最も重要なものであり、「最も簡単に計算できる」指標のひとつとして知られていますが、実は簡単に計算できない場合もあります。LTVやその計算方法について説明した記事はネットに山ほどあるものの、正確な数字を「得られない要因」について触れているものは、残念ながらほぼ皆無なのもまた事実です。

LTVの計算が難しい理由

これはよく知られていることですが、LTVを計算するのは想像よりもはるかに困難です。確かに基本の方程式は存在しますが(LTV = ARPU [ユーザー1人当たりの平均収益] x 1/離脱率)、これは万能な方程式というより、簡略化されすぎたものです。LTVを計算する方法はたくさんあり、それはアプリ内で発生する重要なイベントによって異なります。アプリ収益化の方法がユーザーに由来するものでないとすれば、LTVを計測する方法は、サブスクリプションベースのアプリとは異なるものになるはずです。また、LTVは変動する動的な指標です。離脱率が増加または低下するとLTVも上下するため、予測は難しくなります。個々のユーザーに価値を割り当てることも難題です。マーケターは、特定の行動タイプを正確に反映できるコホートにユーザーをグルーピングして、その結果を将来の広告キャンペーンに活かせるようにする必要があります。しかし、実際のLTVの計算が難しい理由はこれだけではありません。

Adjustの管理画面を開くと、「インストール数」や「リアトリビューション数」を確認できます。インストールとは、アプリをインストール済みではあるものの、リアトリビューション済みではないユーザーの数です。新しいエンゲージメントにリアトリビュートされたユーザーは、「リアトリビューション数」に集計されます。つまり、ユーザーがリターゲティングキャンペーンの対象で、そのユーザーに広告が配信されて新しいソースにリアトリビュートされる場合、ユーザーはすべてのアプリ内アクティビティとともにリアトリビューション数に集計されます。ユーザーがどれだけ多くのソースにエンゲージしていたとしても、第一流入元(ファーストソース)がLTVに与えた影響を把握することはできません。ユーザーがリアトリビュートされた場合、過去のソースを特定するにはレポートを確認してユーザーIDを取り出すか、コールバックを設定してオリジナルのソースのLTVをその後のリアトリビューションのソースと組み合わせるしかありません。

これは、どのソースから獲得できたクライアントがリエンゲージメントし、オリジナルのソースから別なソースへリアトリビュートされていくかを突き止めるのは困難であることを意味します。さらにリアトリビューション済みのユーザーについては、第一流入元であるオリジナルソースのLTVがどれほどの値だったのか知るすべはありません。アプリマーケターにとって本当に必要なのは、ユーザーのエンゲージメントとリエンゲージメントレベル、そしてユーザーの実際のライフタイム全体にわたる第一流入元のLTVを把握できるツールなのです。

LTVを予測する方法

LTVを予測する方法は主に2つあります。特定のイベントのモデリングに基づくもの(データセットが限られている場合に最適)か、ある時点で取得した予備データに基づいて予測するものです。どちらの方法にするにせよ、どのマーケティングチャネルが最高の結果を出しているのかを特定して、そのチャネルに時間と費用をかけることでLTVを高めることができます。

ここで、あなたは無料でプレイできるゲームアプリの開発者であると仮定します。フリーミアムアプリやプレミアムアプリとは違い、無料ゲームアプリのLTVは一定の値に固定されることなく変動します。そのため、あなたにとってLTVはコアメトリックの1つで、アップセルを行うことで既存ユーザーのLTVを高めたり、コンテンツにエンゲージする可能性が最も高いユーザーを獲得することを目標として掲げているとします。

この場合、最も簡単かつ直感的な方法でこれらの目標を達成するには、長期間にわたってユーザーの平均LTVを計算し、その指標だけを唯一のKPIと見なせば良いのです。指標が上昇すれば良し、下降すれば悪いということになります。

YouTubeはこのビデオの視聴者に対し、 マーケティング向けCookie の利用許可を求めています。.

3ステップでLTVをカスタマイズする

AdjustのWeb動画シリーズ「The Lowdown」のエピソード2では、Adjustのマイケル・パックスマンが、LTV計測を3つのステップでカスタマイズし、全てのユーザーから収益につながる価値を得る方法を説明しています。動画でマイクが指摘するように、一部のユーザーは「財布の紐が堅く、収益をもたらさないかもしれません」が、それは問題ではありません。ユーザーがどのように「アプリと関わり合い、エンゲージメントを行うか」を基に、マーケターがユーザーから大きな価値を引き出せる方法は他にもあります。

1. 設定の仕方が肝心

まず、設定を正しく行う必要があります。マイクが言うように、「価値があると思われるアプリ内のユーザー行動をすべて」計測するのは賢い選択です。セッション、インストール、購入など、デフォルトのアプリ内イベントを計測するだけでなく、管理画面のカスタムイベント機能を利用してユーザー行動を幅広く把握することを視野に入れてください。

計測すべきカスタムイベントは、アプリや業界によってさまざまです。例えば、ショッピングアプリなら、カートへのアイテムの追加、精算、支払いなどの標準イベントを計測できます。ディスカウントコードを利用する、アイテムをお気に入りリストに保存する、友人をアプリに招待するなどのカスタムアプリ内イベントを計測すれば、ユーザーのLTVを把握するうえで重要なエンゲージメントである「実際に収益が発生しないインタラクション」を考慮に入れることができます。

2. 非金銭的なユーザー行動にも価値を割り当てる

管理画面の設定が完了し、アプリ内の様々なエンゲージメントを計測する準備ができました。ここでマイクがおすすめするのが、実際に収益が発生しないインタラクションに価値を割り当てることです。ゲームアプリを例にとると、ユーザーが友人を招待するアクションに対して5ポイントを割り当てる、といった具合にです。アプリにとって重要だと判断したインタラクションにポイント値を付与したら、これらのポイントをカスタマイズしたLTVアルゴリズムに追加できます。

3. データを活用する

ここまでで、アプリ内におけるすべての重要なユーザー行動を計測する準備を整え、ユーザーのLTVを計算しました。では、このデータを実際に活用していきましょう。計測したデータを上手に利用することで、今後のアプリマーケティング戦略に関して、十分な情報に基づいた意思決定ができます。どのチャネルやクリエイティブが価値のある、LTVの高いユーザーをアプリにもたらしているのかをはっきりと理解することで、マーケティング戦略の質をさらに向上させることができます。適切なマーケティング戦略を構築することは、全体的なビジネスゴールを達成するのに役立ちます。

ユーザー行動にともなって変化するLTVのような予測型アルゴリズムの複雑な性質を考慮すると、良好なROIを維持するためには、LTVを継続的に再検討することが大切だと言えます。

LTVについての詳細と、Adjust管理画面を最適化してカスタムイベントを計測する方法については、Adjustの営業およびサポートチームにお問い合わせください

Adjustニュースレターに登録して、最新情報をいち早くご確認ください!