ブログ 2023年、サブスクリプション型アプリの収益化が重要視される理由

2023年、サブスクリプション型アプリの収益化が重要視される理由

はじめに

「サブスクリプション」というと、Netflixのような動画ストリーミングプラットフォームやSpotifyのような音楽ストリーミングサービスを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、この形態のアプリ収益化は、ヘルスアプリからゲームアプリまで、あらゆるカテゴリーで近年急速に普及しつつあります。2021年には、世界のトップ100のサブスクリプション型アプリで実に183億米ドルという収益を上げています。このように明らかな成功を収めているため、2023年もサブスクリプション型は増加し続けると予測されており、景気低迷による収益源のひとつとしてその必要性が高まっています。しかし、この収益モデルはなぜこれほど収益性が高いのでしょうか。また、長期的に持続可能なのでしょうか。

サブスクリプション型アプリとは

まず、基本的なことからご説明します。サブスクリプション型アプリは、ユーザーに定期的な会費を請求するアプリに分類されます。 この料金は月額制の場合が多いですが、アプリによっては週単位、四半期単位、年単位の場合もあります。このように継続的な支払いが発生するため、ほとんどの場合、サブスクリプション型のアプリ自体はApp Storeから無料でダウンロードできます。

アプリサブスクリプションの例

パート 1

サブスクリプション型アプリの例

サブスクリプション型アプリで通常使用されているコストモデルは3つあります。各モデルを採用したアプリの例を紹介しましょう。

アップグレード時に料金を支払う

フリーミアムモデルとも呼ばれ、アプリのコア機能を無料で利用できます。ユーザーは、追加機能へのアクセスや追加コンテンツのロック解除、アプリ開発者に収益をもたらす広告の削除など、エクスペリエンスのアップグレード時に料金を支払います。

アップグレード時に料金を支払う実例: Duolingo

教育アプリ Duolingo では、Super Duolingo に登録したユーザーに広告が表示されないエクスペリエンスが提供されます。また、登録ユーザーには、パーソナライズされた毎日の練習プランに加え、「ハート」と「ジェム」が無制限に提供されます。

サブスクリプション型アプリの「アップグレード時に料金を支払う」コストモデルの例

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サービスに対して料金を支払う

アプリは無料でダウンロードできても、アプリのコア機能を無料で利用することはできません。利用するには、サブスクリプションを購入する必要があります。

料金を支払ってサービスを利用する例: feel better

ヘルスアプリ「feel better」では、ユーザーはアプリ内で食事やワークアウト、履歴などを閲覧できます。ただし、ユーザーがコンテンツにアクセスするにはサブスクリプションを購入する必要があります。このモデルでは、ユーザーは申し込み前にどんな機能が利用できるかを正確に確認できます。アプリのユーザージャーニーには、各機能へのアクセス制限(ペイウォール)が設けられています。

サブスクリプション型アプリの「サービスの利用に対して料金を支払う」コストモデルの例

支払って追加割引を受ける

このアプリは無料で利用できますが、有料会員登録すると商品や配送などのサービス料金が割引されます。これはEコマースアプリによく見られます。開発者が同じ複数のアプリに会員登録できるバンドルサブスクリプションが設定されていることもあります。

有料会員登録で割引が受けられる例: Amazon

Eコマースアプリの Amazon の場合、商品、送料、ビデオストリーミングサービスの Amazon Prime、音楽ストリーミングサービスの Amazon Music がお得になるうえ、登録すると数千もの無料電子書籍を利用できます。

サブスクリプション型アプリの「有料会員登録で割引を受ける」コストモデルの例

パート 2

サブスクリプション型アプリとは

多くの企業がサブスクリプション型モデルを好むのは、予測可能な経常収益を得られるからです。しかし、サブスクリプション型アプリには、アプリ開発者にとってもアプリユーザーにとっても、一長一短な側面があります。それぞれをまとめると、以下のようになります。

サブスクリプション型モデルのメリット

  • Appleのインセンティブ: 年間収益が100万ドルを超えるアプリ開発者は、Apple Storeを通じて得た収益の70%を受け取り、残りの30%はAppleが受け取ります。ただし、このカット率は初年度以降に更新されるサブスクリプションについては85%を上限として引き上げられます。
  • 安定した高い収益: 収益の予測が簡単になるため、アプリ開発者はキャッシュフローを改善できます。そのうえ、サブスクリプションによってもたらされる収益は、一般的に他の収益モデルよりも高くなります。
  • 広告非表示プランの提供: ユーザーは、アプリ内広告の収益モデルを必要とせず、中断のないジャーニーを享受できます。
  • エンゲージメントの向上: ユーザーは料金に見合った価値を得たいと考えるため、より定期的にアプリを利用し続ける可能性が高くなります。
  • 自動更新: サブスクリプションが自動更新されるため、消費者が離脱する主な判断点が1つ減ります。これにより、アプリの継続率が向上します。

サブスクリプション型モデルのデメリット

  • 継続的に価値を提供することが必要: ユーザーに定期的に支払ってもらうなら、開発者側の継続的な付加価値の提供が必要になります。代り映えのしない機能やコンテンツに対して継続的に料金を支払うなら、無料または1回払いで済む、代わりのアプリを探す可能性が高くなります。
  • サブスクリプションモデルが普及: サブスクリプションモデルに移行するアプリが増えるにつれ、消費者は一度に多数のサブスクリプションを支払うようになりました。そのため、アプリのユーザーは、どこにお金を使うか、どれだけ使うかについて、より慎重に選択するようになります。
  • 否定的な口コミが増加する可能性が高い: サブスクリプション型アプリでは、否定的なレビューや口コミが発生する可能性が高くなります。ユーザーは、アプリのエクスペリエンスだけではなく、自分が得ていると感じる価値についてレビューすることが多いためです。以前は無料でダウンロードして使用できたアプリ、または使用時に永続型の1回払いだったアプリが、現在サブスクリプションモデルに移行している場合、既存ユーザーは当然不満を抱く可能性があります。また、自動更新されるまでサブスクリプションのことを忘れていたユーザーが、事後に銀行取引明細書で思い出し、反感を持つこともあり得ます。

パート 3

サブスクリプション型アプリの成功への道

サブスクリプション型アプリの作成を検討している方向けに、開発者に対する重要なヒントをまとめました。

  1. 魅力的なオンボーディングを提供しましょう。 サブスクリプション型アプリでは、アプリのオンボーディングが重要になることが多くあります。「サービスの利用に対して料金を支払う」モデルを使用している場合には特に当てはまります。ユーザーに有料会員登録を促す前に価値を示すことで、陥りやすい落とし穴を避けてください。「アップグレード時に料金を支払う」モデルを使用している場合は、ペイウォールからの明確な出口を提供し、ユーザージャーニーの初期段階で有料会員登録を押し付けないようにします。
  2. 提供内容を提示しましょう。「アップグレード時に料金を支払う」モデルを選択しない場合でも、無料トライアルを含めるか、有料会員登録すると利用できるようになるコンテンツを表示するようにしましょう。アプリサブスクリプションでは、1週間のトライアルが最も一般的です。
  3. 切り替えの際は慎重に行いましょう。 アプリが以前は無料で使用できた場合、または永続型の1回払いが必要だった場合は、サブスクリプション型への移行を明確に伝え、大切な顧客として以前のモデルを継続できるようにし、既存の顧客を尊重しましょう。
  4. コストモデルは慎重に選択しましょう。 サブスクリプションの料金はアプリの収益化を左右する可能性があります。料金プランはカテゴリーによって異なるため、まず競合他社を調査して、市場に出回っている他のアプリの料金を確認してください。次に、「アプリの利用頻度と料金の関係」を考慮します。最後に、アプリコンテンツを更新できる頻度を検討します。更新頻度が低いほど、料金帯は低くなります。
アプリの利用頻度と料金の関係
  1. ユーザーに節約効果を伝えましょう。「有料会員登録で割引を受ける」モデルを選択する場合は、ユーザーのために計算を行い、有料会員登録でどの程度節約できるかを正確に示します。EコマースアプリのASOSは、これを非常にうまく行っています。
「有料会員登録で割引を受ける」コストモデルにおけるコスト削減額の見積例
  1. さまざまな料金プランを検討しましょう。 誰もが同じ料金帯を購入できるわけではありません。この点を考慮した手軽な方法として、月間サブスクリプションと年間サブスクリプションのオプションを提供し、年間の場合に割引を行うことが挙げられます。この戦略を採用しているアプリの場合、年間サブスクリプションでは平均して49%の割引を行なっています。ヘルスアプリのDown Dogは、料金プランに関するユーザーとのコミュニケーションの手段を設けて、この戦略を次のレベルへと引き上げています。
さまざまな料金プランを提供するサブスクリプション型アプリの例
  1. サブスクリプションを計測しましょう。 推測は競合他社に任せておきましょう。何が効果的で、何が効果的でないのかを計測することで、自信を持って継続的に最適化を進め、最高のユーザーエクスペリエンスを生み出しながら、より多くの収益を上げることができます。

サブスクリプション型モデルは、あらゆるカテゴリーのアプリで大きな成功を収める可能性があることは明らかですが、独自の課題も抱えています。独自のサブスクリプション型アプリの作成に関心がある場合は、サブスクリプション型アプリの飛躍的な成功に向けてAdjustがどのようにお手伝いできるかをご覧ください。

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