ブログ フィンテックアプリが主要ターゲットのZ世代ユーザーを獲得する方法

フィンテックアプリが主要ターゲットのZ世代ユーザーを獲得する方法

史上初のデジタルネイティブであるZ世代(1997〜2012年の間に生まれた世代)は、世界中に20億人います。この世代の特徴は、若く、テクノロジーに精通しており、他の世代に比べてファイナンス、決済、バンキングなどの日常的なタスクをアプリでこなすことに慣れていることです。Z世代が成長して大人になり、経済的自立のためにフィンテックアプリを使用するようになる中、Z世代消費者の51%が最も信頼できる金融機関としてフィンテック企業を挙げています。

そのため、フィンテックアプリの開発者とマーケターは、Z世代に魅力的なオファーやクリエイティブを提供するために奔走しています。しかし、この世代は「画一的なアプローチ」を嫌う傾向があるため、Z世代の注目を引くには、フィンテックアプリはユーザーに具体的かつ独自の価値を示さなければなりません。この記事では、フィンテックアプリがZ世代を獲得するために投資可能な分野を紹介します。

Z世代がフィンテックアプリに高い価値をもたらす理由

Z世代は、下はまだ10歳と若いユーザー層ですが、平均して収入の約1/3を貯蓄に回しており、その可処分所得は米国だけでもすでに3,600億米ドルに上ります。また、10人中6人がモバイルデバイスを使用してデジタル決済を行っていることからも、フィンテックアプリがこの可処分所得の大部分を獲得できるポジションにいることは明白です。

さらに、Z世代が労働人口に加わるにつれ、多くの人が投資や家計管理に関心を持っています。調査によると、現在18~24歳の世代の62%が投資をしており、57%がすでにアプリを使用して投資をしています。実際のところ、コロナ禍において、Z世代がファイナンスアプリや投資アプリに費やす時間は2倍になり、自分の経済状態に対して高い関心を持っていることが明らかになりました。この世代の投資・貯蓄に対する健全な欲求と、ますます高まりを見せる消費力を考えると、Z世代はフィンテックアプリが積極的に獲得すべき重要なターゲット層だと言えるでしょう。

Z世代向けの6つのマーケティングアプローチ

自社のフィンテックアプリが、サービスに関する顧客のニーズにスムーズに応えられればそれは何よりですが、それでもZ世代を振り向かせるには十分でない可能性があります。物心ついたときからテクノロジーに囲まれた環境で育ったZ世代は、無数にあるアプリをふるいにかけ、自分らしさや価値観に合ったものを選びます。アプリの使いやすさ、サクサクした動作、充実した機能などは、ユーザーが当たり前に求めるものだということを念頭に置いておきましょう。

以下に、Z世代にとって魅力的なフィンテックアプリを提供するためのヒントをまとめました。

1. 高度にパーソナル化されたサービスを提供する

90年代がその独特のファッショントレンドに象徴されるように、Z世代のスマホに入っているアプリからこのユーザー層の特徴が見てとれます。近頃、若い世代は自分の価値観に合ったアプリを選ぶ傾向にあります。例えば、Quirkは性格診断ベースの資産管理アプリです。Z世代に特化した同社のマーケティング戦略は、「退屈な資産管理に自分らしさをプラスしよう」というキャッチコピーで潜在的なユーザーにアプリの魅力をアピールしています。Quirkの特徴は、性格診断の結果とお金に関する行動傾向を示すことで、潜在的なユーザーが「自分とお金の真の関係性」を知れるようにすることです。ユーザーは、診断結果に基づいたインサイトと、より効果的に資産管理をするためのアドバイスが得られます。

App store screenshots of Quirk showing personalized portfolios for Gen Z

2.ファイナンスに関する教育資料やアドバイスを提供する

最近の調査によると、Z世代の74%が、自分自身のお金の問題によって精神的ストレスが増したことがあると答えています。解決策としては「家族に相談する」が最も多い中、Z世代の38.8%がYouTubeやTikTokを始め、他のソーシャルメディアでパーソナルファイナンスについて情報を得ています。例えば、TikTokのハッシュタグ「#PersonalFinance」は再生回数44億回、「#StockTok」は14億回にも達しています。この数字からも、Z世代がファイナンスに関するアドバイスやリソースを求めていることは明らかです。

フィンテックアプリは、家計管理、投資、仮想通貨などのトピックに関する教育コンテンツをソーシャルメディアに投稿することで、役立つアドバイスの発信源としてZ世代の信頼を得ることができます。また、アプリ内でアドバイスサービスを提供することも可能です。例えば、家計管理アプリのMintには、ユーザーが自分の支出習慣に基づいてアドバイスを受けられる機能があります。通知を活用してユーザーに合わせた投資プランを提案することを検討してみましょう。

モバイルバンキングアプリのMoneyLionは、ソーシャルメディアやプッシュ通知だけでなく、アプリ内でファイナンスコースを提供しています。MoneyLionは最近、Z世代をターゲットにしたファイナンスリテラシー企業のZogoと提携しました。これにより、MoneyLionのユーザーはMoneyLionアプリのフィードコンテンツ内でZogoの手軽に見られるファイナンスコースにシームレスにアクセスして、「資産管理の目標を達成し…(略)高度にパーソナル化されたアプリ内のフィードを活用して自分の金銭状況を改善する」ことができます。

3. 代替の決済方法を実装する

若い世代は決済方法に関してのハードルを上げており、クレジットカード以外の決済方法をアプリに求めています。店舗でクレジットカードを利用する人はZ世代のわずか27%しかおらず、デビットカード、ピアツーピア(P2P)、後払い決済(BNPL)などの決済方法を好んで利用する傾向にあります。米国では、PayPalが最大手のP2Pプラットフォームですが、Z世代の46%がCash App、44%がApple Pay、27%がApple Cashも利用しています。フィンテックアプリ開発者(特に仮想通貨や株式投資アプリ)は、Z世代のニーズに応えるために、アプリに組み込み可能な決済方法を調査しなければなりません。例えば、Cash Appは今年、開発者が1回の実装でSquareとCash App Payの全オプションを提供できるようにするCash App Pay for Developersを発表しました。

4. 資産管理を楽しめるアクティビティにする

多くの若者が成人するにつれ、ファイナンスに関するよりスマートな意思決定をサポートしてくれる企業やアプリを求めるようになっています。そのため、フィンテックアプリがパーソナル化サービス、ゲーミフィケーション、Z世代向けのブランディングに投資すれば、単に機能性に優れたアプリよりも多くのユーザーを獲得できるでしょう。

貯金アプリのLong Game Rewardsでは、提携銀行の貯蓄口座をアプリに連携させることができ、ユーザーはミニゲームで遊んだり、毎週最大1,000米ドルが当たる抽選に参加したりできます。さらに、ユーザーはアプリ内で貯蓄やゲームプレイに使える仮想通貨を無料で獲得することが可能です。

独特のコンセプトが特徴のCleoからアプリのアイデアを得るのもいいでしょう。「ウソのない」ファイナンスアプリを謳うCleoは、GIFやSASSを用いた遊び心のあるインターフェイスでユーザーの資産管理をサポートします。「hype」、「roast」モードは、直近の支出・貯蓄状況に基づいてAIによるボットがユーザーを褒めたり、反省を促したりするユニークなツールで、これまでにないアプリ体験を通してファイナンス目標達成を目指すことができます。

App screenshots of the budgeting app for Gen Z Cleo

5. 「フィンフルエンサー」をリストアップする

Z世代は、政府や大企業から受け取るメッセージを信用せず、代わりに友人や家族、人気のインフルエンサーのおすすめ情報により耳を傾ける傾向があります。実際この世代は、41歳以上の成人と比べて、ソーシャルメディアでファイナンスに関するアドバイスを得る確率が約5倍高いというデータがあります。今は「フィンフルエンサー」(お金について楽しく学べるコンテンツを発信するインフルエンサー)の時代なのです。

Mrs. Dow Jonesは、YouTubeでお役立ちマネーレッスンを提供しているフィンフルエンサーです。ポップカルチャー要素を多く取り入れたコンテンツを通して、個人資産を増やすための実践しやすいアドバイスを発信しています。同様に、元ファイナンシャルアドバイザーのHumphrey Yang(ハンフリー・ヤン)氏のYouTubeチャンネルも人気です。特にTikTokアカウント(humpreytalks)では住宅ローンの金利から株式投資にかかる税金までさまざまなトピックを網羅したショート動画が注目を集めており、フォロワー数は330万人以上に上ります。

ファイナンスアプリを成功させる鍵は、キャンペーンとターゲット層に合ったフィンフルエンサーを起用することにあるのです。

例えば、イギリス発のフィンテック企業Plumは、AIを活用してユーザーの貯蓄と投資をサポートするアプリを提供しています。同社は、@mrtradingrobotなどのフィンフルエンサーとコラボして「52週間貯蓄チャレンジ」キャンペーンを実施しました。内容は、アプリがユーザーが連携した銀行口座から1週目に1ポンド、2週目に2ポンドと、ユーザーが1年間で最終的に1,378ポンド貯蓄できるようお金を引いてくれるというものです。@mrtradingrobotはファイナンスに関する教育コンテンツを中心するTikTokチャンネルで、彼を信頼するフォロワーたちがPlumのおすすめ情報をきっかけにアプリを使用するようになったことから、このキャンペーンは大きな成功を収めました。

6. 自社のバリューを製品に取り入れる

Z世代の5人に4人以上が、環境・社会・企業統治(ESG)の3つの点を考慮して投資する企業を選んでいます。100以上の投資信託やETFがESGを重視する方針に転換していることからも、ファイナンス業界全体がESGに注目していることは明白です。

ファイナンスアプリもこの流れに素早く追随しています。バンキングアプリのBunqは、ユーザーが100ユーロ使うごとに木を1本植えるという取り組みを行っており、ユーザーは2年間で自分が排出する二酸化炭素量を相殺できることから、ヨーロッパのZ世代に支持されています。同じく、投資アプリのTrineは、太陽光発電や手軽に参加できる電力プロジェクトまで、環境に優しい未来を実現するための投資機会をユーザーに提供しています。

Z世代が注目するのは、フィンテックアプリがどのようなミッションを掲げ、コミュニティや環境にどのような影響を与えているのかという点です。よって、自社アプリが現在行っているESG関連の取り組みを正確に把握し、アプリのユーザーと潜在顧客に対してどのように価値を高められるかが重要なポイントとなります。

フィンテックアプリのESGアプローチに関して考えるべきポイント

  • アプリがどのように環境問題に貢献しているか?
  • 自社がどのような社会的価値を提供しているか?
  • データプライバシー、規制、コンプライアンスに関する透明性は確保できているか?

ESGの観点から自社のフィンテックアプリを見たとき、他社に負けない強みはあるでしょうか?独自の強みがある場合は、それをさらに伸ばして市場での立ち位置を強化しましょう。しかし同時に、Z世代が重視するのは企業がありのままの姿を見せ、信頼に値するかどうかという点で、ブランドを「グリーンウォッシュ」(実態を伴わず、環境に配慮しているかのように見せかけること)している企業には目を向けない傾向があります。つまり、自社のESGに積極的に投資することが重要なのです。

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