ブログ iOS 14.5以降でのアプリ内課金と収益化戦略

iOS 14.5以降でのアプリ内課金と収益化戦略

Appleが今年4月にAppTrackingTransparency(ATT)の新ルールを導入したことで、モバイルマーケティングが大きく変化しました。

今までのように確定的データを利用した計測ができなくなるため、アプリ内課金から主な収益を得ているアプリにとっては、データ主導の意思決定がより難しくなりました。

しかし、収益の観点においては、iOS 14.5+のリリースがユーザーのアプリ内消費額に大きく影響することはありません。アプリ内課金は従来通りで、ユーザーは引き続き「ゴールドコイン」や「追加のライフ」などのアイテムをアプリ内で購入できます。しかし、オプトアウトしたユーザーを確定的にアトリビュートできない場合、アプリパブリッシャーは各キャンペーンが具体的にどのくらいの収益を生み出しているかを知ることが難しくなります。

同様に、アプリ内課金を初回インストールまたはリアトリビューションに紐付けることが難しくなったため、パフォーマンスの良いユーザー獲得チャネルを特定したり、ユーザーレベルでLTVを予測することの難易度も上がっています。

しかし、ポストIDFAの世界で取得できるデータを最大限に活用するための戦略は存在します。モデリングや予測に使用する確定的データのベースラインを維持するには、オプトインするユーザー数を最大限に増やすことが効果的です。また、最適化するための鍵となるシグナルを特定することで、AppleのSKAdNetworkシステムをうまく利用することができます。

アプリ内課金をSKAdNetworkで計測

Appleが2018年にSKAdNetworkを導入した当時は、はとんど採用されませんでした。SKAdNetworkの基となる考え方は、ユーザーレベルのデータが入手できないキャンペーン計測に対して新たなアプローチを取るというものです。iOS 14.5のリリースに伴い、Appleは拡張機能を含むSKAdNetwork frameworkを発表しました。これは、ユーザーが開発者によるIDFAの取得を制限する場合に、広告のパフォーマンスデータにアクセスするための唯一の方法です。

SKAdNetworkは、24時間のタイマーとともにダウンストリームメトリックの6ビットで構成されたスペースを提供します。これは0〜63の間の数字です(または2進数の000000〜111111の間)。この「conversion value(コンバージョン値)」には、2進法で表現されるあらゆる値を割り当てることができます。Conversion valueがアプリ内で定義された6ビットのコードに更新されるたびに、タイマーがさらに24時間延長される仕組みです。

このconversion value期間の24時間タイマーが切れると、アトリビューションのための次の24時間タイマーが開始されます。SKAdNetworkはこの24時間内に、アトリビューション情報をランダムなタイミングで返します。つまり、ユーザーがインストールした時間を不明瞭にすることで、イベントの発火が個別ユーザーに紐付けされないようにしているのです。SKAdNetworkではこのデータを集計後に共有するため、広告主は粒度が細かいユーザーレベルのデータを取得することができません。

アプリ内課金で収益化しているアプリにとって、ユーザー行動を計測する期間が短いことは大きな課題です。多くのゲームでは、ユーザーのオンボーディングとアプリ内課金の価値を伝えるのに24時間以上かかることがあります。課金してより多くの「追加ライフ」を獲得したいと考えるユーザーがいるとしても、ゲームがより難しいレベルに到達するまで課金をするきっかけがありません。そのため、インストール後のconversion value期間が24時間しかない場合は、このユーザー行動を計測するのが難しくなります。

ビットを使ってタイマーを延長し、コンバーション期間の更新(000001から000011など)を定期的にトリガーすることで、タイマーをさらに24時間伸ばすことは可能です。しかし、conversion valueのトリガーがアプリに動作するためには、ユーザーが毎日ログインをしていなければなりません。ユーザーがこの期間内にアプリを再起動しなかった場合conversion valueは更新されないため、延長されたタイマーで収集したかったデータを逃してしまうことになります。

アプリ内課金の計測にSKAdNetworkを使用する

SKAdNetworkでは、必要な精度のレベルに応じて主に2つの方法でアプリ内課金の(以下、IAP)行動を計測できます。

1つ目は「ビットマスキング」と呼ばれるアプローチです。6ビットの1つ1つをイベントに割り当て、対応するビットが0に設定されているか1に設定されているかによって、そのイベントが発生したかどうかを判別します。これはAdjustのconversion valueマッピングでサポートしています。

6つ以下のIAPイベントを計測する場合は、これらのコンバージョンを計測し、このテクニックを使ってビットを各イベントに紐付けることができます。「チュートリアル完了」や「レベル1到達」、「アイテム購入」などの主要なアクティビティを最適化したい場合は、ビットマスキングが最適です。

しかし、値の範囲やスケールに関する詳細なインサイトを得たいのであれば、「課金」もしくはその他の指標のバケットを作成することをおすすめします。バケットを使用したconversion valueシステムを使用すると、インストール後の最初の24時間におけるユーザーの支出額を計測する値を定義できます。例えば、ゲームやEC、デリバリー、旅行予約アプリには、ユーザーがアプリ内で使った金額を計測する平均注文額(AOV)がKPIとして一般的に使用されています。AOVを最適化する場合、複数の合計購入金額を含むバケットを使用すると効果的です。

バケットをベースにしたアプローチでは、「100〜500円」、「600〜1000円」などの範囲を設定し、それぞれのバケットに対応するconversion valueをポストバックで返すことができます。

予測型LTVモデルは、アプリ利用から1日目のユーザー行動を使用して、今後の収益を中期的に予測するものです。このような予測型モデルは、より広範なバケットやカテゴリーに使用するとさらに効果を発揮します。パフォーマンスの定義を広く設け、行動に基づいてユーザーをフィルタリングします。バケットでユーザーを「大きな価値をもたらすユーザー」と「そうでないユーザー」に分類するなどのおおまかな把握は、ユーザーの初期の行動データを使用することで可能です。

モデリングや予測、そしてSKAdNetworkの効率的な活用に必要な確定的データを取得する上で最初のステップとなるのは、オプトインするユーザー数を最大限に増やすことです。このデータがあれば、ビットマスキングまたは購入バケットを作成して、IAPを正確に計測できます。戦略をどう構築・定義するか、そしてどの(またいくつの)IAPイベントに重点を置いて計測するかがポイントです。

アプリ成長を支援するAdjustのソリューションについては、ポストiOS 14時代のグロースガイド、あるいはiOS 14.5以降のマーケティングのためのリソースセンターをご覧ください。

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