重要度が高まるiOS 14.5以降の継続率と顧客ロイヤリティ
ユーザーの継続率は、アプリの成功を左右する重要な要因です。例えば、ECで新規顧客を獲得するには、既存顧客と比較して5倍から25倍のコストが発生するというデータもあります。iOS 14ではユーザー獲得に関するデータ共有のアップデートがあり、Eメールトラッキングに関する変更も今後予定されていることから、継続率の重要性と競合他社との争いがより激しくなるでしょう。アプリ、Web、メールといったオムニチャネルの存在に注力しているブランドでは、プライバシーに関する変更により一貫したカスタマーエクスペリエンスの提供がより難しくなる可能性があります。
ロイヤリティが重要な理由
Adjustのアプリトレンドレポートのデータによると、ECアプリの継続率は基準となる市場に比べて比較的高く、7日目で13%、30日目で8%となっています。しかし、2020年第4四半期のECアプリのeCPIの世界の中央値は1.56ドルで、より発展したEC市場では価格が高くなっていることを考えると、その投資に対するリターンを得ることが非常に重要であることがわかります。EC以外の市場でも、ロイヤリティは顧客を維持するための重要なツールです。顧客継続率が5%上がるだけでも、利益を25~95%増やすことができるのです。初期導入コストを確実に回収するためには、ロイヤリティに注力する必要があります。
しかし、顧客志向のアプリ開発者は、ここでiOS 14がもたらす課題に直面し始めます。チャネルを評価するための確定的なデータが少なく、製品に関心のあるユーザーを見つけるためのターゲティングがあまり正確でないため、良質でコンバージョン率の高いユーザーを見つけるための初期コストが増加しています。これに加えて、関連性の高いパーソナライズされた広告を提供する能力が低下しています。
パーソナライゼーションは現代の商取引における強力なツールであり、91%の消費者は、パーソナライズされたオファーやレコメンデーションを提供するブランドで買い物をする可能性が高くなっています。しかし、ユーザーのオプトインを確保できなければ、パーソナライゼーションは難しくなります。ロイヤリティプログラムやインセンティブは、顧客のゼロパーティデータを確実に利用し、プライバシーの問題を回避するための手段となります。
ゼロパーティデータ
Forrester社は、「ゼロパーティデータ」という用語を作り出し、「顧客が意図的かつ積極的にブランドと共有するデータであり、プリファレンスセンターのデータ、購入意思、個人的なコンテクスト、ブランドにどのように認識されたいかなどが含まれる」 と定義しています。
ロイヤリティプログラムにオプトインしたり、インセンティブを獲得できるアンケートに回答したり、あるいは特定のユーザー行動に対してターゲットを絞った割引を提供することで、顧客が積極的にデータ共有にオプトインするデータバンクを構築できます。ゼロパーティデータは、ユーザーが意図的に提供するデータであることから信頼性が高く、ユーザーが連絡を希望していることを確認できます。また、ゼロパーティデータを提供しているユーザーはデータがさらにカスタマイズされることを望んでいるため、コンバージョンに至る関連性の高いコンテンツを提供できるようサポートしてくれる存在になります。
iOS 15ではトラッキングピクセルを使用できなくなるため、Eメールマーケターにとってはこの点が特に重要です。平均的なメールリストの約60%は非アクティブまたは配信不能であり、開封率を確認する方法がなければ、離脱したユーザーを除外する方法がありません。登録時にEメールでの確認用リンクを追加するなど、最初の承認のタイミングにダブルオプトインを設定することで、少なくとも初期の段階で関心を寄せてくれるユーザーを確実に獲得できます。また、クーポンや割引を提供することで、ユーザーがオプトインする確率を高めることができます。
顧客について学ぶ
ロイヤリティ戦略で継続率を高める方法は、ゲーム以外のアプリでゲーミフィケーション戦略を採用したり、航空業界で多く見られるロイヤリティ階層やボーナスをゲームアプリに取り入れるなど、他のカテゴリーにも効果が期待できます。特にカジノアプリは、継続率を高めるためのロイヤリティ戦術に長けています。
IDFAは、オムニチャネルのための信頼できる識別子としてはほとんど姿を消しつつありますが、マーケターは今でもIDFVやファーストパーティのその他の識別子にアクセスできます。IDFVは、企業がファーストパーティのユーザーデータにアクセスするための識別子を提供し、自社が所有するアプリ内のオーディエンスを把握する機会をもたらします。
アナリティクスツールやCRM、モバイル効果測定を提供するAdjustなどは、ツール固有のIDを使用してユーザーを識別し、イベントを送信して行動と顧客を紐付けます。どのようなイベントでもロイヤリティ特典のトリガーとなる可能性があるため、ロイヤリティ戦略の一環として、どの行動にインセンティブを与えるかを決定することが必要です。
ロイヤリティプログラムは、特定の行動によって何が得られるのかを顧客に直感的に説明できるというメリットがあります。行動を起こすことで成果が明確に提示され、多くの場合は、金銭的な報酬額が設定されています。ユーザーはロイヤリティ制度の恩恵を受けるために進んでアカウントを作成しており、優遇された環境におけるパーソナライゼーションのメリットについてもはっきりと認識しています。
プライバシーへの関心がますます高まる中、ゼロパーティとファーストパーティのデータを組み合わせてカスタマーエクスペリエンスを向上させる方法を見つけることは、データをリスクにさらすことなく、今日の消費者が慣れ親しんでいるレベルのパーソナライゼーションを確実に提供する最も効果的な方法です。
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