ブログ Adjust Automate:デバイスレベルのデータとSKAdNetworkデ...

Adjust Automate:デバイスレベルのデータとSKAdNetworkデータを並べて比較できるレポートを活用する方法

キャンペーンの成果を正しく判断するには計測データが欠かせませんが、そんな中、iOS 14.5以降のリリースとSKAdNetworkへの対応がマーケターにとって大きな課題となり、マーケティング戦略やそのプロセスを混乱させました。マーケターと開発者は、AppTrackingTransparency(ATT)にオプトインしたユーザーのデータとiOSキャンペーンのSKAdNetwork集計データを上手く組み合わせたアプローチへと方向転換し、このトレンドがiOSにおけるアトリビューションの新たな現実となりました。

とはいえ、どちらのデータセットにも独自のメリットとデメリットがあります。デバイスレベルのデータを使用すると、詳細できめ細かいレポートを作成でき、収益が発生しそうなポイントをマッピングしたユーザーコホートを構築できます。しかし、それにはユーザーのトラッキングへの同意が必要になり、結果としてデータは不完全で部分的に不正確になってしまうケースが多くあります。ハイレベルのSKAdNetworkデータは、パートナーあたりの集計値を見ると比較的正確なものの、きめ細かいパフォーマンスに関する十分な情報は得られません。この雑多さにより、マーケターは日々の意思決定の基となるデータポイントを決定することに頭を悩ませており、統一され簡素化されたレポートに対する需要が高まっています。

しかしながら、複数の問題が、デバイスレベルのMMPデータとSKAdNetworkの集計データをまとめる作業を複雑かつ信頼性の低いものにしています。これが、AdjustがAutomateで両方のデータを並べて比較することをおすすめする理由です。

MMPデータとSKAdNetworkデータをまとめる際の問題

  1. 重複排除: SKAdNetworkのインストールデータをATTにオプトインしたユーザーのインストールデータと組み合わせることを検討する前に、両方のデータセットでアトリビュートされるソースの内の1つからインストールを取得する「重複排除」を行う必要があります。SKAdNetworkのデータセットは集計データであり、デバイスレベルのデータとは異なるため、デバイスレベルのアトリビュートされたインストールを、アトリビュートされなかったインストールから分けるディメンションを使用することで重複排除が行えます。これは重複排除の初期のコンセプトであり、conversion valueの少なくとも1ビットを使用します。しかし、この方法だけではATTレベルのデータとSKAdNetworkデータを組み合わせる施策を考えるにあたって、その他の問題を解決することはできません。
  2. インストール日の無作為化: SKAdNetworkのインストールデータから受け取るインストール日は常に無作為化されており、明確に識別できません。つまり、SKAdNetworkのインストールは、受信される前の0〜48時間のどのタイミングにおいても有効であり、データセットからそれらを削除する作業が複雑になることを意味します。
  3. Google関連のインストール: Googleから送信されるSKAdNetworkインストールのインストール日はさらに複雑です。Googleはモデリングのレベルを適用することで、関連する広告インタラクション(クリックまたはインプレッション)が発生した日を特定し、それをインストールに紐付けようとします。世界有数のAPI連携パートナーであるGoogleはほとんどのチャネルミックスに含まれているため、データのまとめ作業に及ぼす影響は非常に大きくなります。
  4. アトリビューションメソッド: SKAdNetworkとデバイスレベルのアトリビューションの仕組みは異なります。また、複数のチャネルを横断したディストリビューションにも大きな差がある可能性が高いと言えます。上記のように重複排除を行った場合でも、データ集計時に一部のチャネルで重複が発生することが予想されるのはこのためです。たとえば、マルチタッチマーケティングにおいてFacebookにアトリビュートされるデバイスレベルのインストールの一部が、SKAdNetworkによってTwitterにアトリビュートされる場合があります。
  5. Conversion valueレベルでの無作為化: SKAdNetworkには、nullになるように設定された特定のconversion valueがあります。インストールがアトリビュートされているかどうかに関する情報はconversion value自体にパッケージ化されているため、conversion valueがnullの場合、インストールがアトリビュートされているかどうかが識別できなくなります。null値の分布は、必ずしもすべてのconversion valueで線形であるとは限らず、キャンペーンIDあたりのインストール数によって異なります。つまり、null値と、conversion valueのあるインストールの割合を単純に推定することはできません。すべてのSKAdNetworkインストールで最大40%のnull値が発生する可能性が大いにあります。このしきい値を超えるのに十分なインストールレベルを達成し、処理するのに十分なデータセットを用意するには、比較的多くのキャンペーン費用が必要です。多くのマーケターはプライバシーポリシーの変更を取り巻く課題にすでに取り組んでいることから、高いインストールのしきい値に達することが予想されない限り、予算を複数のキャンペーンに分割することはおすすめできません。重複排除に大きな影響を及ぼす可能性があるためで、これはデバイスレベルのデータとSKAdNetworkのデータをまとめる際に注意しなければならない大事な点です。
  6. 国・地域別の違い: 複数の国や言語を対象にマーケティングを行うマーケターにとって、コストとパフォーマンスは市場ごとに大きく異なる可能性があるため、国や地域別の違いを理解することが大変重要です。SKAdNetworkのインストールの場合、通常、利用できる国情報はありません。データセットを組み合わせ、その後国別に分類するとデータが非常に非効率的かつ不正確になる可能性があるのはこのためです。
  7. パフォーマンスの不正確さ: 上記で説明したインストール数に関する不正確さだけでなく、データをまとめる際に加える追加のインストールのパフォーマンスが把握できないという問題もあります。外挿に基づいて、かつ上記の問題を無視することで、チャネルあたりの有効な合計費用におおよそ到達できる可能性がありますが、マーケターが通常意思決定を行うキャンペーンレベルになるとすぐに、多かれ少なかれ使用できなくなります。キャンペーンレベルまで掘り下げたレポートの7日目や30日目の収益など、関連するパフォーマンス指標も不正確になります。

Adjust AutomateでデバイスレベルのデータとSkadNetworkを並べて比較

アプリのビジネスモデル、キャンペーンあたりのインストール数、広告費用、チャネルを横断したディストリビューション、キャンペーンの合計数、および初回インストール後24時間以内に発生するユーザー行動を特定する機能など、個々の状況に応じて、どのデータソースが最も信頼できるか、両方のデータソースのどの指標が相関する可能性があるかを判断するのはマーケターと開発者の責任です。相関関係をすぐに確認できない場合、これはデータをさらに掘り下げるきっかけになります。

Adjustでは、現在存在するすべての制限を考慮した結果、Automateのレポートを使用して両データを並べて比較することをおすすめしています。SKAdNetwork関連の各種KPI(コンバージョン、収益、イベント)を使用して、SKAdNetworkキャンペーンの包括的なレポートを作成し、テンプレートを活用して、Adjustアトリビューションデータと並べて情報を表示できます。これにより、両方のソースのiOSキャンペーンデータを、管理しやすい表形式のレポートで比較できます。

データの正確さを確保するための最善の方法は、データセットを分けておくことです。しかし、たとえ選択した戦略が、重複排除とATTレベルデータ、そしてSKAdNetworkデータをまとめることであっても問題はありません。100%の透明性を提供するための取り組みの一環として、Adjustではクライアントが重複排除作業を制御できるようにしています。SDKアトリビューションのリアルタイムコールバックを使用すると、conversion valueの設定で活用できる識別可能なイベントをトリガーできます。詳細につきましては、Adjustの担当者までお問い合わせください。

Adjustは現在、アトリビューションデータの高い正確性を確保しつつ、より完全な全体像がわかるレポートを作成する方法を探っています。それが可能になる日まで、上記の問題を回避し、レポートとデータセットをクリーンな状態に保つために、Automateのレポート機能を引き続き使用し両データを並べて比較することをおすすめします。iOS 14.5+に関する詳細については、参考資料をご覧ください。

Adjustニュースレターに登録して、最新情報をいち早くご確認ください!