ブログ 動画リワード広告とは:活用事例と10のベストプラクティス

動画リワード広告とは:活用事例と10のベストプラクティス

動画リワード広告は、ポジティブなユーザーエクスペリエンスを提供すると同時に、ユーザーエンゲージメントと継続率を効果的に向上させます。収益化プラットフォームのUnity Adsによると、62%のモバイルゲーマーが、より質の高いゲームエクスペリエンスを得るために動画リワード広告を定期的に視聴し、その71%が、他の広告フォーマットよりも動画リワード広告を選んでいます。さらに、動画リワード広告はインタースティシャル動画広告の2倍も効果的である可能性があることが分かっています。本稿では、動画リワード広告について知っておきたいポイントと、この広告フォーマットを効果的に実装するための方法を紹介します。

動画リワード広告とは

動画リワード広告とは、フルスクリーンの広告を視聴した対価として、ユーザーにリワードを付与する広告フォーマットです。たとえば、アプリ内コインを提供するモバイルゲームの場合、ユーザーがフルスクリーン広告を30秒間視聴したらコインを贈呈するような使われ方をしています。動画リワード広告の長さは15〜30秒が一般的です。動画をスキップすることはできませんが、ユーザーは通常このタイプの広告をオプトインするかどうかを選択できます。追加のライフポイントやスペシャルアイテム、レベルアップの期限延長など、ユーザーのゲームエクスペリエンスを向上させるためのさまざまなゲーム内リワードを付与することが可能です。

この広告フォーマットは、パブリッシャー、広告主、ユーザーの3者すべてにポジティブな結果をもたらします。広告主はターゲットオーディエンスに対して商品を大々的に宣伝でき、パブリッシャーは、広告収益を増加させることができます。また、ユーザーはより質の高いゲームエクスペリエンスとゲームをプレイできるようになります。

業界で広く使われている動画リワード広告は、それがもたらすユーザーエンゲージメントと継続率の向上効果には高い定評があります。例えば、ゲームアプリの90%が動画リワード広告のフォーマットを採用し、広告ネットワークのUnity Adsは、業界で「最も多くの収益をもたらす広告フォーマット」と評しています。また、OpenXによると、ユーザーの77%が、販売店からディスカウントを得るためなら30秒間の広告を視聴してもよいと答えています。動画リワード広告は高いエンゲージメント率をもたらすことで、優れたCPM(1,000回表示あたりの広告費)を実現しているのです。

動画リワード広告が効果的なのはモバイルゲームだけ?

動画リワード広告は、主にモバイルゲームと関連付けて考えられることが多いものの、ユーザーにリワードを付与する方法があれば、あらゆるアプリで実装が可能です。たとえば、音楽ストリーミングアプリの「Spotify」は、収益モデルの一環として使用しています。Spotifyの限定トライアルに登録すると、はじめは無料で音楽のダウンロードやストリーミングができますが、画面に広告が表示されます。このトライアル期間が終了すると、ユーザーは広告が断続的に流れる無料アカウントを継続するか、あるいは広告なしのSpotifyプレミアムアカウントにアップグレードするかを選択することができます。

また、言語学習アプリ「Duolingo」のようなゲーミフィケーションを取り入れたモバイルアプリでも、動画リワード広告が採用されています。このアプリユーザーは、広告を視聴することで「ハート(HP)」を増やすことができます。Duolingoの中で、HPは「繰り返しの練習と新しいレッスンのバランスをとるため」に使われますが、ユーザーが何度も間違えるとHPが減っていき、最終的には一定期間レッスンが受けられなくなる仕組みです。そのため、ユーザーはより速くレッスンを先に進めるために、動画リワード広告を視聴します。

動画リワード広告の事例

PickCrafter:収益が165%に増加

「PickCrafter」は、小規模なアプリパブリッシャー Fiveampがリリースしたモバイルゲームです。このゲームは、動画リワード広告を使用してアプリ内収益化の機会を増やし、エンゲージメントを最適化して広告収益を大幅に増加させました。IronSourceのケーススタディによると、Fiveampはイースター休暇の直前に季節限定クリエイティブで動画リワード広告を実装し、プレイヤーは1つのリワードを無料で受け取るか、広告を視聴して3つのリワードを受け取るかの選択肢が与えられました。結果として、Fiveampは収益を165%、ユーザーエンゲージメントを94%増加させることに成功しました。

Farm Away!:1日あたりの広告コンバージョン率80%を達成

Futureplayの「Farm Away!」は、動画リワード広告でプレイヤーのエンゲージメントを大幅に増加させ、顧客生涯価値(LTV)を向上させました。Unity Adsのケーススタディは、Farm Away!がどのように1日あたりの広告コンバージョン率を80%に伸ばし、インストールあたり平均22の広告視聴数を達成したかを紹介しています。さらに、Farm Away!がこの成果を出した要因は、動画リワード広告をゲームプレイに効果的に実装したことであると考えられます。Futureplayの共同創業者兼開発責任者、ミカ・ラーコは次のようにコメントしています「エンゲージメントが非常に高まっており、米国市場においては、プレイヤー1人あたり0.15ドル/日の収益を上げています」

Earn To Die 2:エンゲージメントが25%以上増加

「Earn To Die 2」は、シドニーを拠点とするパブリッシャー Not Dopplerのカジュアルゲームです。同社は、動画リワード広告をゲーム独自のアプリ内エコノミーを補完する形で実装したいと考えました。Not DopplerはIronSourceと連携し、その広告メディエーションプラットフォームを使って収益とeCPMを最大化しました。実装された動画リワード広告システムではゲームのステージに応じて広告を表示し、「2倍のリワード」を受け取るチャンスを断続的にユーザーに示しました。結果として、Earn To Die 2のエンゲージメント率が38%増加しました。

動画リワード広告の10のベストプラクティス

1.マーケティング成功の鍵は広告配置

ゲーム内で動画リワード広告をどう実装するかによって、ユーザーエクスペリエンスが向上するか、またはその逆となるかが決まります。ベストな広告配置を決定するには、ユーザーがモバイルアプリを使用する際に最も重要視しているのは何かを考える必要があります。たとえば、モバイルゲームの重要な場面の直前に動画リワード広告を表示したら、ユーザーエクスペリエンスを損ねる可能性があります。一方で、ユーザーがレベルアップを目指している時に動画リワード広告を表示すると、ユーザーはそれを活用してゲームを先に進めることができます。ユーザーがライフポイントやゲーム内通貨を使い果たし、それ以上プレイできないタイミングだったら、動画リワード広告を受け入れてもらいやすくなります。

さらに、アプリ開発者は、ゲーム内のストアやホームスクリーンに動画リワード広告を配置することで、その可視性を最大化できます。これらのオプションに加え、ユーザーがゲーム内アイテムをゲットしたタイミングでプロンプトを送り、広告を見てさらに多くのアイテムを得るように促す方法もあります。たとえば、ユーザーがゲーム中に50枚のコインをゲットした場合、動画リワード広告を視聴すると、その倍のコインがもらえるようにする、などの使い方ができます。

2. ユーザー体験を優先する

動画リワード広告を使うことで、広告主とユーザーを同時に満足させることができます。ユーザーエクスペリエンスの質を犠牲にする必要はありません。むしろその逆で、ユーザーエクスペリエンスは最優先されるべきであり、ユーザーにアプリをより楽しんでもらえるように動画リワード広告を使う必要があります。これが成功するかどうかは、1日あたりのアクティブユーザー数(DAU)や継続率、ユーザーエンゲージメントに依存するということを念頭に入れておきましょう。ユーザーエクスペリエンスにポジティブに貢献する広告を実装することにより、その後の動画リワード広告施策でも意図した結果を得ることができます。

3. 動画リワード広告をオプトインにする

ゲーム内リワードを得るために広告を視聴したくないと考えるユーザーにも、快適なエクスペリエンスを提供する必要があります。そのため、動画リワード広告をオプトイン方式にして、ユーザーが自分の希望に合わせて広告表示を許可できるようにすると効果的です。これが広告インプレッションとコンバージョン率を向上させ、広告主にとってもポジティブな結果をもたらします。

4. 最も効果のあるインセンティブがどれかをテストする

動画リワード広告の成功を左右するもう1つの要因として、ユーザーに付与するリワードがあります。そのため、さまざまなインセンティブをテストし、最も効果が高く、アプリの収益化につながるものはどれかを確認することが重要です。その際、広告ごとにリワードのタイプと配信数を変えてテストをしてみましょう。また、それぞれの広告配置に適切なのはどのリワードかを考える必要があります。たとえば、ユーザーのライフポイントが激減したタイミングであれば、パワーアップやコイン獲得よりも、追加のライフポイントが欲しいと考えるでしょう。

5. 動画リワード広告でアプリ購入を促進する

動画リワード広告を実装することで、アプリ内購入を促すことができます。広告を見なければ課金しなかったであろうユーザーにより優れたエクスペリエンスをアピールし、課金を促進するのです。IronSourceによると、動画広告を見てリワードを受け取ったユーザーがアプリ内購入をする確立は、そうでないユーザーに比べて6倍も高くなっています。Marketing Diveの調査では、動画リワード広告を視聴した後のユーザーのアプリ内課金額は、4倍近くになることが分かりました。この理由から、アプリ内購入で得られるメリットをユーザーにアピールする形で、動画リワード広告を使用することが重要だと言えます。

6. ユーザーにサプライズのリワードを贈る

ユーザーが動画リワード広告を視聴した後に、サプライズのリワードを贈るのも有効な方法です。たとえば、動画を見たユーザーにいくつかの宝箱を表示し、そのいずれかを選んでもらいます。こうすることでユーザーはドキドキ感を楽しめ、価値の高いリワードが出た時により大きな満足感が得られます。ユーザーが特定のリワードを狙っている場合、それが出るまでいくつも広告を見るという可能性もあります。

7. ユーザーのセグメント化

ユーザーの行動に基づいて、さまざまなオーディエンスグループにセグメント化することが不可欠です。動画リワード広告の場合、ユーザーがどのくらいの頻度でアプリを利用しているかがポイントになります。アプリを頻繁に利用しているユーザーは、特別なリワードがなくてもゲームをプレイし続けるため、価値が低めのリワードを付与するのが妥当でしょう。また、すでに購入したアイテムの効果を高めるリワードを付与することで、より多くのアプリ内購入につなげられる可能性があります。アプリを利用する頻度が低いユーザーには、価値の高いリワードを付与することでプレイ頻度を増やし、アプリ内購入のきっかけを作ることが期待できます。

8. 広告フィルターを使う

ユーザーの関心に基づいた広告のみを表示することで、ユーザーエクスペリエンスを向上できます。言語学習アプリを例に考えてみましょう。このアプリのオーディエンスに対しては、旅行や観光に関する広告がより効果的だと予測されます。ユーザーに表示する広告のタイプをフィルタリングして、ユーザーのアプリ滞在時間を有意義なものにしましょう。

9. メディエーションを利用して複数のアドネットワークを使用する

AdMob Mediateなどのメディエーションツールを使うと、複数のネットワークを経由する広告ソースを1か所で管理し、収益を最大化することができます。この「Ad Network Optimization(アドネットワーク最適化)」機能は、最新のeCPMに基づいて自動的に広告を配信します。つまり、AdMobネットワークかサードパーティの広告かにかかわらず、最も高い入札額の広告が最初に表示されます。

10. ゲーム内にヒントを設置する

モバイルゲームに効果的なリワード施策として、ユーザーが一定期間プレイしたもののレベルが上っていない場合、レベルアップのヒントをリワードとして提供するプロンプトを送信できます。アプリのタイプに合わせて、ユーザーエクスペリエンスの全体にこのヒントを設置するかどうかを検討するのも良いでしょう。

このガイドが役に立ったら、動画広告を使ったモバイルゲームのマーケティング戦略と広告フォーマットを解説する記事や、ユーザー獲得のインサイトとベストプラクティスも併せてご覧ください。

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