ブログ メタゲームの要素を取り入れたコアゲーム収益化戦略

メタゲームの要素を取り入れたコアゲーム収益化戦略

モバイルアプリで収益化戦略を一つの手段に依存することは、投資の世界における「卵は一つのカゴに盛るな」という格言に通じます。「卵を複数のカゴに分けて盛っておくと、カゴを一つ落として中にある卵が割れても、他のカゴの卵は無事で、ヒヨコに成長する」という意味の諺です。つまり、消費者の嗜好が急速に変化して技術の進歩が盛んなアプリ業界において収益化方法が一つである場合、大きなリスクを伴います。このリスクへの解決策として収益化戦略を多様化させて複数の収益源を確保しながら、同時にユーザーのエンゲージメントや継続率も大幅に強化できるのがメタゲーム要素です。

メタゲームとは

メタゲームは「メタレイヤー」とも呼ばれ、ゲームのコア機能を超えた要素やアクティビティを指し、プレイヤーのエクスペリエンス全体に大きく貢献します。プレイヤーの時間の大部分を占める要素ではありませんが、ゲームの世界における深みや豊かさを高めることができます。

下記のように、メタゲームにはさまざまなアクティビティがあります。

  • キャラクターのカスタマイズ
  • リソースの作成や管理
  • リーダーボードへの参加
  • コミュニティチャレンジ

ゲームの進行に直接影響を与える主なゲームプレイとは異なり、メタゲームはさらなるエンゲージメントを加える補助的なエクスペリエンス(体験)を提供します。例えば、ソーシャルインタラクション(社会的相互作用)や実績収集システム、プレイヤーがゲームのストーリー展開やゲームをプレイするという目的を超えてゲームの世界を探求することを促すようなインタラクティブな機能などです。ハイブリッドカジュアルゲームの台頭(英語)により、この要素はますます一般的になってきています。

モバイルゲームにメタゲームを織り込むことで、プレイヤーのエクスペリエンスと収益モデルの両方に変革をもたらすことができます。

メタゲームを収益化の源泉として活用する方法

アバターのカスタマイズや特別なレベルのロック解除、プレイヤー全員でクリアを目指すコミュニティチャレンジへの参加など、メタゲームの要素それぞれに収益を生み出す可能性があります。

アプリ内購入(IAP)によるメタゲーム

レアなアイテムを収集したりキャラクターをカスタマイズしたり、個人スペースを作成するなど、メタゲームがプレイヤーにアクティビティへの参加を促すことに活用されます。例えば、ゲームの進行をスピードアップさせるためにメタゲームを通してキャラクター用の特別なスキン(コスチューム)やアイテムなどを購入するなどです。プレイヤーが仮想アイテムや仮想通貨を購入してアクティビティを行うことで、メタゲームがプレイヤーのエクスペリエンスを向上させて、IAPによって収益化されます。

モバイルアプリ『Dreamdale』におけるアプリ内パーソナライゼーション収益化のメタゲーム例:

シーズンパスによるメタゲーム

多くのゲームでは、プレイヤーがパスを購入することで特定の期間に限定コンテンツやミッション、報酬にアクセスすることができるというシーズンパスが、メタゲーム内の構造として導入されています。

モバイルアプリ『猫とスープ』におけるメタゲーム収益化例:

広告によるメタゲーム

メタゲームによるエクスペリエンスの中で広告を表示することで、プレイヤーに直接課金させることなく収益を生み出すことができます。例えば、プレイヤーは広告を閲覧するとゲーム内で使える通貨やアイテムを受け取れるといった方法を活用して、ゲームでのエクスペリエンスをメタゲームによって強化することができます。

モバイルアプリ『猫とスープ』における広告収益化のメタゲーム例:

ユーザー生成コンテンツ(UGC)によるメタゲーム

カスタムレベル(ユーザーが作成したレベルやステージ)やコスチュームなど、ゲームユーザーのコミュニティによるコンテンツ制作や共有を促して、プレイヤーからの課金を通してクリエイターと収益を共有することで収益化に繋げることができます。このアプローチはメタゲームを多様化するだけでなく、コミュニティの強いエンゲージメントを育むことができます(英語)

モバイルアプリ『Roblox』におけるユーザー生成コンテンツ(UGC)による収益化のメタゲーム例:

イベントやコラボレーションによるメタゲーム

イベント開催やブランドとのコラボレーションなどによって、メタゲームにオリジナルコンテンツを期間限定で導入することができます。限定アイテムを提供することでプレイヤーに課金を促すことができるでしょう。

モバイルアプリ『Merge Dragons!』と『リック・アンド・モーティ』のコラボレーションによるメタゲーム例:

メタゲームを収益化させるために考慮すべき留意事項

メタゲームを収益化に活用することは多くの機会を生み出す一方、プレイヤーの信頼や満足度を維持するには倫理的に誘導することが重要です。

透明性:プレーヤーが購入するものや、それがもたらす価値を明確にしましょう。ルートボックスや仮想のガチャガチャ(クレーンゲーム)から特定のアイテムを受け取る上でプレイヤーに誤解を与えたり、隠れたコストを発生させてはいけません。

公平性:収益化戦略が、非課金プレイヤーにとって不利な障壁を作ったり、ゲームがペイツーウィン(課金するほど有利になるゲーム)というシナリオにならないようにしましょう。ゲームの競争力を維持しながら誰もが楽しめるアプリにするにはバランスが大事です。

価値:収益化の取り組みを通して真の価値を提供しましょう。ゲームを進めるためにお金を費やさなくてはならないというようなプレッシャーをプレイヤーに感じさせるのではなく、課金を通してユーザー体験が向上して有意義なものになると感じてもらいましょう。

きちんと配慮しながらメタゲームの要素を収益化戦略に取り入れることで、開発者はプレイヤーに付加価値を提供して、新たな収益源を開拓することができます。これらの取り組みを持続可能かつコミュニティに肯定的に受け入れてもらうには、プレイヤーのエクスペリエンスや倫理的な慣行を優先することが何よりも大切です。

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