ブログ AdobeとAdjustが共同調査:フィンテックとモバイルファイナンスの動向

AdobeとAdjustが共同調査:フィンテックとモバイルファイナンスの動向

2020年、アプリの利用パターンと習慣は劇的に変化し、全アプリカテゴリーにおけるインストール数とセッション数がこれまでにないほど増加しました。その中でも大きく成長したフィンテックは、2021年もその勢いはとどまるところを知りません。

Adjustの「モバイルアプリトレンド 2021」レポートによると、アプリのインストール数は2019年から2020年にかけて51%増加し、2021年の現時点でさらに23%増加していることがわかりました。セッション数は2019年から2020年にかけて85%アップし、2021年もすでに49%増と成長を続けています。AdobeのDigital Trends 2021年版レポートでも同様のデータが報告されています。新型コロナウイルス流行の拡大後、調査対象者の54%のデジタルおよびモバイルの訪問数が大幅に増加したと回答しています。

2020年中旬においては、バンキングアプリの全ダウンロード数の25%をデジタルバンクが占め(2017年はわずか1%)、平均的なユーザーは、年間2.5のファイナンスアプリをインストールしていることが分かりました。モバイル決済市場の世界的規模は2027年までに8兆9,400億米ドルに拡大し、この予測期間のCAGR(年平均成長率)は2 9%になることが見込まれています。これは、決済アプリの普及が急速に広まる世界中の市場に反映されており、中国では81%の普及率を記録しています。それに続くのがインド(37.6%)と日本(25.4%)で、フランスやドイツなど、以前はモバイル決済に消極的だった国々も20%前後となっています。

クリストファー・ヤン(Christopher Young)氏

「コロナ禍を経て金融サービス業界が注目しているのは、より有意義なデジタルエクスペリエンスを作り出し、顧客を経済的な安定へと導くことです。モバイルが顧客とのコミュニケーションの主要チャネルとなる中、単なるお金の管理から、よりスマートなファイナンスの意思決定をサポートすることへ、モバイルエクスペリエンスを変えていく必要があります」

では、フィンテック業界のアプリはどのような対応をとっているのでしょうか?また従来のファイナンスセクターは、デジタルファーストの企業やネオバンクといかに競合を図っているのでしょうか?

Adobeの調査によると、調査対象者(50%が回答)が挙げた最も重要な戦略とは、新たなデジタルサービスを開始し、デジタルによる顧客エンゲージメントに注力することでした。さらに、回答者の48%が、顧客に関するより詳細なインサイトを得て、日々変化する顧客のニーズを理解することの重要性を指摘しています。新たなデジタルプロダクトやサービスを効果的に展開するには、顧客がアプリに求めることや、アプリ内行動を高いレベルで把握することが求められます。ユーザーをセグメント化して、アプリとの関わり方を分析することがアプリの成功に欠かせないと言えるでしょう。

Adjustをはじめとするモバイル計測プラットフォームは、クライアントやアプリ開発者がUAパフォーマンスを理解するのに必要なインサイトを提供し、専門知識とテクノロジーで価値あるユーザージャーニーの構築をサポートします。たとえば、「モバイルアプリトレンド 2021」レポートでは、フィンテックアプリのユーザーは一定の時間をアプリ内で過ごしていることが分かりました。当レポートの調査では、ユーザーの滞在時間は、0日目(アプリを初回起動した日)が3分間、1日目は5分間、30日目でも3分間を記録しました。これは、ユーザーがアプリを継続的に利用しており、顧客生涯価値(LTV)が高い傾向にあることを示しています。継続率を維持する鍵となるタイミングは1日目です。

全体のセッションごとの平均アプリ滞在時間でも同様の傾向が見られます。2019年、バンキングアプリのセッションあたりの滞在時間は4.95分でしたが、2020年には5.5分に増加しました。2021年の現時点までは、昨年と比較し5.2分とわずかに下がったものの、2019年の平均をはるかに上回っています。日別のアクティブユーザーあたりのセッション数は2020年を通して増加し、第3四半期の30日目は1日あたりのセッションが1.7と最も多くなりました(第1四半期は1.6)。

ユーザー獲得と継続率のバランス

Adobeの調査レポートでは、回答者は最優先事項として顧客獲得(34%)を挙げ、マーケティングの優先事項を達成するために最も投資すべき分野は「インサイトとアナリティクス機能のさらなる充実」(49%)であることが分かりました。Adjustは、フィンテックアプリのユーザー獲得(UA)戦略を構築するにあたり、LTVの高いユーザーを可能な限り取り込み、継続率を最大化して離脱を最小限に防ぐようにしています。

「モバイルアプリトレンド 2021」レポートは、フィンテックアプリのユーザーは継続率が比較的高いことを示しています。7日目には18%のユーザーがアプリに戻ってきており、30日目も12%と、同じ日の全カテゴリー平均(それぞれ15%と8%)を上回っています。インサイトとアナリティクスをさらに充実させ、最も価値の高いユーザーを獲得するために重要なのが計測とアトリビューションです。たとえば、Adjust’s Automateを使用すると、自動的に更新されるダイナミック(動的)オーディエンスが瞬時に作成できます。

ユーザー獲得による成長拡大を目指す上でもう1つ注目したいのが、開発者が連携しているパートナーのアプリあたりの数です。フィンテックはこの数が比較的少ない傾向にあり、全カテゴリーの平均が5のところ、フィンテックの連携パートナー数はわずか3に留まっています。このことからも、新たなソースからさらに多くのユーザーを獲得できる可能性が大いにあることが分かります。

金融サービスにおけるモバイルファーストの考え方

フィンテックが勢いを増す今、従来の金融サービス企業はネオバンクとの競合を図っています。そのためには、モバイルファーストの考え方を構築して、顧客のニーズに応えつつ市場優位性を維持しなければなりません。例えば、Adobe Experience CloudのクライアントでもあるHAYは、最近サービスを開始したオーストラリアのフィンテック企業です。同企業は、金融サービスへのアクセスのしやすさと柔軟性を提供することで、ユーザーの暮らしをより良いものにするという目標を掲げています。HAYは100%モバイルファーストで、ユーザーが自分のお金をより自由に管理し、経済状況を詳しく把握できるようにするためのサービスを提供しています。オンライン口座を開き、デジタルウォレットに入金する一連のプロセスに必要なのはたった5分だけです。この完全にデジタルなエクスペリエンスを作り上げる上で鍵となったのが、マイクロサービスアーキテクチャとAPIによる迅速なイノベーションを可能にする、同社のクラウドネイティブなプラットフォームでした。

これは、複雑で何層にも重なったシステムの上に構築され、はるかに運用コストの高い、機敏性に欠ける従来のバンキングプラットフォームとは本質的に異なるものです。金融サービスがこの業界で引き続き成長を目指すのであれば、こうしたビジネスモデルをモニタリングし、競合するための対策を講じる必要があります。ユーザーのニーズやアプリに期待すること、アプリ内行動を理解することで、情報に基づいた意思決定を行い、この先の道を切り拓くためのデータ主導の戦略を構築することができます。口座維持費の無料化や、手数料無料の国際送金、即時決済、そしてお金の管理に関してユーザーに多くの情報を提供するインターフェイスや充実した機能を備えたアプリが、今後は一般的になっていくでしょう。

クリストファー・ヤン(Christopher Young)氏

「Adobeは、多様なデジタルおよび従来のチャネルを提供する大手金融機関と連携しています。業界ではデジタルファーストに移行することが議論されてきましたが、デジタルだけに重点を置けばいいというわけではありません。実際、これらの金融機関が競合を迫られているのはモバイルオンリーの新興企業です。業界はモバイルエクスペリエンスをより重視しなければならなくなると同時に、単なる金融取引に留まらない進化したサービスが求められているのです 」

マーケターと開発者は、AdobeとAdjustのレポートから明らかになった業界標準と期待値を照らし合わせてフィンテックアプリをベンチマークすることで、自らの戦略とUA・継続率へのアプローチをより深く理解および構築して、適切に改善をすすめることが可能になります。

オンボーディングからユーザージャーニー、UX面から得られるデータポイントやインサイトは、ユーザーをセグメント化し、ユーザーのニーズやペインポイント、そして離脱するタイミングの全体像を把握するのに役だちます。イノベーションを常に追求し、より良いユーザーエクスペリエンスを提供するフィンテックは、世界の市場でロックダウンが解除される時に最も大きな成功を収めるでしょう。

併せて、Adjustの「モバイルアプリトレンド 2021」と、Adobeの調査レポート「Digital Trends 2021年版」をご覧ください。

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