ブログ アプリマーケターなら必ず知っておきたいモバイルアプリKPI

アプリマーケターなら必ず知っておきたいモバイルアプリKPI

主要業績評価指標(KPI)は、その名のとおり、モバイルアプリのパフォーマンスを評価し、アプリを最適化するために必要不可欠な指標です。アプリで計測できるKPIは何十種類もありますが、KPIはカテゴリーやビジネスのタイプにより異なります。

顧客獲得コスト(CAC)から継続率まで、一部のKPIは汎用的なものですが、各アプリにおける個々のKPIの重要性はアプリの目標、競合他社のベンチマーク、その他の個別要因によって異なります。ここからは、各カテゴリーのアプリにとって最も重要なモバイルアプリKPIをそれぞれ見ていきましょう。

フィンテックアプリのKPI

フィンテックアプリのユーザーは一般的にロイヤリティが高く、継続率が長期に渡って高いことで知られています。よって、フィンテックアプリのKPIリストの上位に継続率が入っていないことは、不思議に思われるかもしれません。アプリユーザーは、ソーシャルメディアアプリをチェックするようにバンキングやスマホ決済アプリをチェックするわけではなく、やるべきことがある場合にだけアプリを開きます。自社のフィンテックアプリのパフォーマンスを把握するには、以下のKPIのモニタリングを検討してください。

  • 顧客獲得コスト(CAC)— 1人の顧客の獲得にかかる費用を理解することは、マーケティング予算の決定から、各ユーザーの価値の把握まで、ほぼすべてのマーケティング活動の基盤となります。
  • 最初のトランザクションまでの平均時間 — どのアプリにおいてもユーザーにアクションを起こしてもらうことが大切ですが、フィンテックアプリにとっては特に重要です。銀行振込の設定や、株式の購入、あるいはオンラインバンキングを行うことが目的であっても、ユーザーがこうした操作を完了するのにかかる時間を知ることでプロセスを最適化し、その時間を短縮することができます。
  • 月間アクティブユーザー数(MAU)— MAUは、1日目から7日目までの継続率に重点を置くというよりも、フィンテックユーザーの満足度やエンゲージメントの高さを示す指標として優れているかもしれません。ユーザーは、預金や送金、あるいは新製品の申し込みのためにアプリに戻ってきていますか?

仮想通貨アプリのKPI

デジタル通貨の購入や取り引きに使われる仮想通貨アプリとフィンテックアプリには、多くの共通点があります。ユーザーにとって信頼は最も重要な要素ですが、暗号通貨は「価格が大きく変動しやすい」ことから、アプリ内のユーザーエンゲージメントが高い傾向にあります。

  • 最初のトランザクションまでの平均時間 — ユーザーには、単に暗号通貨アプリをインストールしてもらうだけでなく、実際に通貨を売買してもらうことが大切です。エンゲージメントの高いユーザーは離脱する可能性が低く、最初のトランザクションまでの時間を短縮することで、獲得したユーザーを維持することができます。初回の通貨取り引きを無料で提供してみてはいかがでしょうか。
  • 離脱率 フィンテックユーザーはロイヤリティが高い傾向にありますが、暗号通貨は注目度が高く、競争が激しい市場です。離脱率が平均よりも高い場合は、ユーザーがアプリを開いてくれるようにユーザージャーニーを微調整したり、パーソナライズ化したオファーを提供すると効果的です。
  • 月間アクティブユーザー数(MAU) フィンテックユーザーのエンゲージメントはあまり高くないかもしれませんが、暗号通貨アプリのユーザーはよりアクティブな傾向があります。ユーザーの楽しみのひとつは、購入や取り引きをすることです。MAUを計測することで、ユーザー数の増減傾向や、ロイヤルユーザーがどの程度アクティブなのかを知ることができます。こうした情報があれば、ユーザー獲得や継続率を高める戦略にどれだけの時間を割くべきかを把握できます。

EコマースアプリのKPI

Eコマースアプリの成功の鍵は、満足してくれるリピート顧客の存在であり、その顧客に資金力があることが望ましいと言えます。 では、顧客の満足度を確認するために、どのようなKPIを計測しますか?

  • 顧客生涯価値(LTV) ユーザーの顧客生涯価値(LTV)はどのくらいですか?この質問に答えることで、価値の高いユーザーが誰なのか、どんな共通点があるのか、どうすればそのようなユーザーをより多く見つけられるのかを理解できます。
  • ユーザーあたりのセッション数 — 顧客に喜んでもらい、何度も店に足を運んでもらいたいというのが、小売業者にとっての願いです。デジタルでの来店に相当するのがセッション数で、ユーザーがウィンドウショッピングをするだけの場合でも、何かを探している場合でも、顧客が定期的にアプリに戻ってくることが大切です。もし定期的に戻らない場合は、プッシュ通知戦略ディープリンクを含む)を実施することでアプリ利用を促しましょう。このような戦略は、長期的にどれだけのユーザーを維持できたかを示す継続率の向上にも役立ちます。
  • コンバージョン率 コンバージョンの定義はアプリごとに異なりますが、Eコマースビジネスのアプリでは、単純なインストールだけでなく、最初の購入までを視野に入れています。他のEコマースアプリに比べてコンバージョン率が低い場合は、売上を伸ばす方法を考えてみましょう。買い物を途中で止めたことに関するプッシュ通知やメールは、戦略的に実施される割引キャンペーンやセールに関する通知と同様に有効です。
  • CAC — 顧客獲得コストはLTVと密接に関係しており、この指標を最適化することは、広告費用回収率(ROAS)を最大化するための鍵となります。

フードデリバリーアプリのKPI

フードデリバリーアプリの利用傾向を予測するのは困難です。Adjustの調査によれば、フードデリバリーアプリの継続率は平均12.5%であり、30日目には、この数字は4%にまで低下しています。一方、世界的なコンサルティング会社であるMcKinsey & Companyによると、「一度登録した顧客の内、80%は他のプラットフォームに移ることはない、あるいはめったに移らない」という結果が出ています。幸いなことに、フードデリバリーアプリではユーザーの意図や関心が強く、10回の検索のうち8回は購入に至っています。これは、お腹を空かせて食事の宅配を探している人は購入に至る傾向が強いためで、当然のこととも言えるでしょう。リエンゲージメントキャンペーンは、タイミングよく割引を実施することで継続率の向上に役立ちますが、アプリを深く理解してユーザージャーニーを最適化するのに役立つ指標は他にもあります。

  • アプリ応答なし(ANR)— 最も避けたいのは、「お腹をすかせた」顧客が反応しないアプリにイライラして、別のアプリに移ってしまうことです。アプリのANR率が高い場合は、早急に対処する必要があります。
  • 離脱率 — オンボーディングが完了する前に、ユーザーが離脱していませんか?それとも、注文した後にアプリの使用を止めるだけでしょうか?ユーザーがいつ、どこでアプリを終了しているのかを知ることで、ユーザージャーニーの詳細や最適化すべき箇所がわかります。
  • 継続率 — フードデリバリーアプリの継続率やエンゲージメント率が低いからといって、改善できないわけではありません。ユーザーがお気に入りの食べ物を求めてアプリへと戻ってくるように、または空腹になりがちな時間帯に再訪を促すようにオファーをパーソナライズ化すると、エンゲージメントを向上させることができます。プッシュ通知や位置情報のオプトインを確保できれば、こうした戦略を最大限に活用することができます。

ヘルス&ウェルネスアプリのKPI

コロナ感染症の世界的流行で、ヘルス&ウェルネスアプリのダウンロード数が急増しました。このカテゴリーにはPelotonからCalmまでさまざまな種類のアプリが含まれますが、こうしたアプリにはいくつかの共通点があります。ヘルス&ウェルネスアプリを成功に導くには、ユーザーにアプリを使う習慣を身につけてもらうことが大切です。開発者は、ユーザーのエンゲージメントの高さを示すKPIや、収益に直結する「ユーザーがプレミアム機能に課金」する意思を示すKPIに細心の注意を払う必要があります。

  • 継続率 — 目的がユーザーに瞑想をしてもらうことであれ、マラソンのトレーニングをしてもらうことであれ、継続率は重要です。ユーザーがどのくらいの頻度でアプリに戻ってきているのか、どのような機能やメッセージが一番気に入っているのかに特に注意を払い、継続的に利用してもらえるようにします。
  • 離脱率 — 離脱は継続の裏返しです。一定期間にユーザーを何人失っているでしょうか?自社アプリのノーマルな状態を理解することは重要です。離脱率が変動する時期もあるかもしれません。例えば、熱心なユーザーが年明けに登録したとしても、目標を諦めた時点で離脱する可能性があります。こうした事情を知っていれば、物事を冷静に判断することができます。
  • セッションごとの平均アプリ滞在時間 — ヘルス&ウェルネスアプリでは、ユーザーのエンゲージメント時間を延ばすことも重要です。ユーザーが長時間のランニングを記録している場合でも、バーチャルコーチとのやり取りに時間をかけている場合でも、ユーザーがアプリに長く滞在するほどユーザーの満足度が高くなります。

モバイルゲームアプリのKPI

ゲームアプリにはヘルス&ウェルネスアプリと多くの共通点があります。広告のパブリッシャーは、ユーザーが定期的にエンゲージメントすることを期待しています。ユーザーによっては、1日に1回以上、あるいは数時間に渡ってゲームをプレイしてくれることもあります。ゲームカテゴリーのどのセグメントで事業を展開しているかにもよりますが、ユーザーが定期的にプレイしてくれるかどうかは、収益化戦略にとって非常に重要な要素となります。

  • エンゲージメント&継続率 — この2つの指標は密接に関係しており、無料の広告付きゲームアプリの成功には欠かせません。ユーザーがアプリをアンインストールしないようにするだけでなく、定期的にプレイしたり、広告に関心を持ったりするきっかけを作りたいものです。ユーザーに毎日アプリを開いてもらうには、1日分のリワードやチャレンジの付与が効果的です。
  • LTV — たとえ無料のアプリであっても、ユーザーにはLTVがあります。広告とのエンゲージメント、アプリ内購入、購読など、どのような形で価値を生み出すかにかかわらず、LTVを計算することで、UA戦略を改善し、ROASを最大化することができます。
  • インストール単価(CPI)— 1回のインストールにかかるコストはいくらでしょうか?これはすべてのアプリにとって重要なことですが、「1日目の継続率が35%を超えている場合、モバイルゲームでは成功したと見なされる」場合に特に当てはまります。獲得ユーザーの半数以上が離脱してしまうのであれば、獲得するためのコストをできるだけ低く抑えることが重要です。

適切な指標があれば、どんなアプリでも広告費用を最適化し、より良いユーザージャーニーを構築し、全体的なユーザー体験を向上させることができます。KPIとベンチマークの詳細については、モバイルアプリトレンド2021:アプリパフォーマンスのグローバルベンチマークをご覧ください。

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