App Tracking Transparency(ATT)

用語集 App Tracking Transparency(ATT)

はじめに

ATTとは

App Tracking Transparency(ATT)はAppleのユーザープライバシー機能です。ATTでは、アプリでポップアップが表示され、アプリがiOSデバイスの広告識別子(IDFA)にアクセスすることと、ユーザーまたはデバイスを計測することへの許可をユーザーに求めます。「アプリ開発者はどの程度のユーザーデータをユーザーの計測やターゲティングに活用できるのか」という懸念の高まりに対応するため、Appleは2021年4月のiOS 14.5アップデートに合わせてATTをリリースしました。

App Tracking Transparency(ATT)ポップアップ

ユーザーは、自分のデータとプライバシーを守ることを最も重要視しています。プライバシー重視の考え方が強まる市場において、アプリ開発者やマーケターがATTの同意率を最大化することはiOS戦略上不可欠です。また、オプトインしたユーザーのデータから得たインサイトを可視化することで、conversion valueマッピングや予測分析などの次世代ソリューションを使用するうえでの戦略的意思決定につなげることができます。つまり、ATTのオプトイン率が高ければ高いほど、効果的なマーケティングが実現するということです。

では、ATTがモバイル広告業界にどのような影響を与えているか、そしてアプリ開発者がどのようにオプトイン率を最大化できるかについて見ていきましょう。

ATTが及ぼす重要な影響

App Tracking Transparency(ATT)の導入は、モバイル広告業界に根本的な変化をもたらしました。ATT導入前、アプリ開発者とマーケターはデフォルトでiOSのユーザーレベルデータにアクセスし、IDFAを使ってアトリビューションを行うことができました。アトリビューションと計測のために取得されるこのデータは、ユーザーの関心、ターゲット層、アプリ内行動に関する情報を入手し、ターゲティング広告の基礎を形成して、キャンペーンとチャネルのパフォーマンスを明確に把握するのに不可欠だったのです。

ところがATTでは、ポップアップが表示された際にユーザーが「トラッキングを許可」を選択しない限り、IDFAにアクセスできません。結果として、この粒度の高いデータに依存していたモバイル広告エコシステムは大きな影響を受けました。

では、ATTのオプトインはどのような仕組みになっているのでしょうか?

  • 過去のオプトアウトを継承: Appleが以前提供していた「追跡型広告を制限(LAT)」モデルでパーソナル化された広告からオプトアウトしたユーザーは、現在のATTモデルでも自動的にオプトアウトしているものとして分類されます。
  • ポップアップ拒否設定: ATTのポップアップを受け取るにはまず、ユーザープライバシー設定で「Appからのトラッキング要求を許可」をONにしておく必要があります。広告主にとって幸いなことに、この設定はデフォルトでONになっています。
  • ダブルオプトイン: ユーザーデータを使って他のアプリでの広告をサポートする場合、広告主に対して1回、パブリッシャーに対して1回、計2回のオプトインが必要です。

iOS 14以降の新たなモバイルマーケティング業界

AppleのATTは、モバイル広告エコシステムを一変させました。マーケターや広告主、開発者、アドネットワークは、iOSでの計測とアトリビューション方法を根本から見直さざるを得なくなったのです。また、ATTは、モバイル業界全体がユーザープライバシー重視の方針へ転換するうえでの第一歩となりました。例えば、AppleのiOS 14.5アップデートの直後、GoogleはAndroid 12以降のAndroidデバイスのユーザープライバシーについて同様のアプローチを発表しています。Appleの以前のLATモデルと同じく、Androidの広告ID(AAID)は、Androidユーザーが携帯電話の設定でパーソナライゼーションをオプトアウトすると、削除されるかゼロになります。

これにより、iOSの広告戦略、ユーザー獲得キャンペーン、計測において長年にわたって培われ、ほぼ自動化されてきたベストプラクティスが根底から覆されました。こうしてモバイルマーケティング業界は、オプトイン率を高め、iOSのキャンペーンを成功させるための新たな戦略やアプローチを開発することに注力するようになったのです。

そして今、この地道な取り組みが成果につながりつつあります。世界全体の平均オプトイン率は現在約26%で、ユーザーにオプトインのメリットを伝える機会が増えていることもあり、この数字は継続的に伸びています。

Apple SKAdNetworkの活用方法

ATTでオプトインを確保するのための戦略は、業界の変化に対応するための重要な第一歩であるものの、iOS 14.5以降では約3/4のユーザーがまだ計測できない状況にあります。しかし、心配はいりません。Apple独自のアトリビューションフレームワークであるSKAdNetwork(SKAN)を使用してアプリのインストールと再インストールをアトリビューションすることで、引き続きiOSでキャンペーンのスケーリングが可能です。

詳しい仕組みはこちらをご覧ください。

App Tracking Transparency

SKAdNetworkを活用するポイントは、インストール後24時間以内にどのタイミングでポストバックを送信するかと、可能な限り多くのデータポイントを用いたconversion value戦略にあります。主要なイベントが24時間以内に発生するのであれば、そのままで問題ありません。24時間を超える場合、インストール後最初の24時間以内に発生するユーザー行動とイベントを特定しましょう。これらは主要なイベントであり、その後のユーザージャーニーにおける顧客生涯価値(LTV)を示すものです。オプトインしたユーザーから取得した粒度の高いデータを使用して、これらの主要なイベントを予測しましょう。Conversion valuesとAdjustのソリューションについての詳細はこちらをご覧ください。

App Tracking Transparencyを最大限活用するためのヒント

アプリマーケターはユーザーレベルのデータがいかに多くのメリットをもたらすかを理解している一方で、ユーザーの多くはこれを知りません。ATTポップアップを表示するチャンスは1回しかないため、ユーザーのオプトインを確保するための推奨事項を参考に、透明性の高い方法でユーザーにトラッキングのメリットを伝える必要があります。

1. プリ パーミッション プロンプトでユーザーの信頼を得る: Adjustが「プリ パーミッション プロンプト」と呼ぶこの初期画面は、オプションで使用可能です。ポップアップのデザインとコピーを自由にカスタマイズできるため、オプトインすることのメリットを効果的に伝えることができます。

2. ATTポップアップの2行目のテキストをカスタマイズする: Appleが提供するATTポップアップのメッセージは既定のものですが、2行目のテキストはカスタマイズできます。ユーザーの「自分にとってのメリットは?」という問いに答える、簡潔かつ説得力のあるメッセージにしましょう。

3. 適切なタイミングで表示する: ユーザーのアプリ操作を極力邪魔しないタイミングでポップアップを表示することが重要です。アプリの価値をアピールするのに効果的なタイミングや、アプリ利用中にユーザーの満足度が最も高くなるであろうタイミングを見極めましょう。

AdjustとiOS 14.5以降のアトリビューション

業界の移行が進む中、Adjustはプライバシー重視の方針へと転換するモバイル市場に対応するための次世代ソリューションに積極的に投資しています。パートナー、クライアント、Appleとの緊密な連携によって開発されたAdjustのSKAdNetworkソリューションは、正確な並列比較レポートによりインサイトを最大化し、継続的な成長をサポートします。

Adjustはクライアントに、強力なconversion valueスキームを開発すると同時に、高いオプトイン率を達成するためのUX戦略を構築することをおすすめしています。優れたオプトイン率を確保することで、より正確で粒度の高いデータを得ることが可能になるのです。

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