SKAdNetwork
SKAdNetworkとは
Appleは、2020年秋にリリースが予定されているiOS14より、アトリビューションと広告の効果測定において2つの新しいフレームワークを導入することを発表しました。
1つ目のフレームワークは、ユーザーの同意後、IDFAにアクセスするATT (AppTrackingTransparency) フレームワークです。
2つ目は、Appleが2018年に導入したSKAdNetworkで、iOS14のリリースに伴いバージョン2にアップグレードされます。IDFAの取得が制限されることで生じる影響を緩和させるためのAppleの試みです。
SKAdNetworkが重要な理由
SKAdNetworkは、iOS上の広告キャンペーンにおけるアトリビューションを受け取るための方法の一つです。 広告ネットワークはAppleに登録を行い、アプリ開発者は、アプリが登録されたネットワークや新しいフレームワークと互換性があることを確認することが大切です。しかし、このフレームワークは、モバイルマーケターが実施する一般的なマーケティング手法にいくつかの課題を発生させます。
SKAdNetworkを使用した場合の課題点
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現在提案されているとおり、SKAdNetworkは24時間に設定された「タイマー1」の期限後に6ビットのコンバージョンバリュー(conversion value)を送信します。イベントがアプリ内で発火するたびに、この6ビットの値はアプリ内で新しく定義される6ビットのイベントコードに変わり、有効期間がさらに24時間延長されます。このイベントのアトリビューション期間の有効期限が切れると、同じく24時間に設定された「タイマー2」のカウントダウンが開始されます。SKAdNetworkはランダムに割り当てられた0〜24時間以内に、アトリビューション元の広告ネットワークにデータをポストバックします。SKAdNetworkのシステム上、このデータは集約された後に送信されます。よって、きめ細やかなユーザーレベルでのデータは提供されません。
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イベントコードの値は2進数で構成され、常にインクリメント(増分)します。例えば、アプリ内イベント「レベル1」のイベントコードを「000001」、「レベル2」を「000010」と作成し、ユーザーがコインを購入した時のイベントコードを「000011」とします。もしコインを購入した後にユーザーが「レベル2」に到達した場合、ビットが「000011」から「000010」に変わることはありません。この問題を回避するために、個別のイベントではなく、各パスまたは可能性の組み合わせに対してビット値を割り当てる必要があります。SKAdNetworkで計測したデータとMMP(モバイルアプリ計測ツール)のSDKにより計測したアプリ内イベントを紐付けることはできません。
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SKAdNetworkのフレームワークでは、各ネットワークに対して100種類のキャンペーンしか確認することができません。Adjustはネットワークあたり平均15件ほどのキャンペーンを実施しているため、それほど大きな問題ではないと思うかもしれませんが、大半のキャンペーンには、「地域」、「デバイスの種類」、「クリエイティブ」など無数のサブレベルが存在します。例えば、5か国で10のクリエイティブを使用する施策をとった場合、SKAdNetworkではネットワークごとに2つのキャンペーンしか許容できません。デバイスのランダムなデータ遅延などと相まり、リアルタイムの意思決定を細かく実施するのはほぼ不可能だと言えます。
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データ受信が(少なくとも)24〜48時間ほど遅れることにより、アプリ開発者やマーケターは最適化をリアルタイムに実施することができなくなる可能性があります。SKAdNetworkのもうひとつの懸念点は、アドフラウドです。上記で述べたイベントのコンバーション値は未署名であるため、イベントが通常通りに発生したかどうかを確認できず、結果として不正につながる可能性があります。
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SKAdNetworkは現在ディープリンク(ディファードディープリンクまたは条件付き)をサポートしておらず、ダウンロード以外をアトリビュートしません。
Adjustでは、SKAdNetworkの使用をご希望のお客様へ実装のサポートを提供しています。詳しくは営業担当、専任アカウントマネージャーもしくはこちらまでお気軽にお問い合わせください。