デバイスID | Device ID
デバイスIDとは?
デバイスIDとは、スマートフォンやタブレットなど個々のデバイスを識別するための、匿名化された一意の文字列です。通常デバイスに保存され、インストールされたアプリを通じて取得することができます。アプリはサーバーと通信する際に、端末を識別するためにこのIDを取得します。2021年4月にiOS 14.5に導入されたAppleのApp Tracking Transparency(ATT)のアップデートなどでは、iOSにおいてデバイスIDへアクセスするためにユーザーの明示的な許可が必要となりました。
このプライバシー重視のフレームワークは、業界全体で集計ベースの計測およびプライバシーを保護したアトリビューションやキャンペーン最適化への移行を推進しています。GoogleによるAndroid向けの同様の取り組みであるプライバシーサンドボックスも、AndroidにおけるデバイスIDへの依存を大幅に減らすことが期待されています。
デバイスIDの種類
代表的なデバイスIDには、iOS向けのAppleの広告識別子(Identifier for advertisers、IDFA)と、Android向けのGoogle広告ID(Google Advertising ID、GAID) の2つがあります。これらはどちらも、広告キャンペーンやアプリインストール、アプリ内イベントとデバイスを紐付けるために使われる一意の識別子として機能します。デバイスIDは主にモバイル広告の分野で利用され、ユーザー行動に関する情報の処理、セグメントの作成、パーソナライズド広告およびアプリ体験の提供などに活用されてきました。
- iOS: IDFAは、8桁のコードに続いてハイフンと3組の4桁の英数字で構成されています。ATTの導入以降、ユーザーはこのIDをアプリ開発者や広告主と共有するかどうかをオプトイン・オプトアウトで選べるようになりました。初期設定ではオプトアウトされており、アプリ側がオプトインを得るには、ユーザーの端末にトラッキングの許可を求めるプロンプトを表示し、「トラッキングの許可」を選択してもらう必要があります。ユーザーは、iOSの設定画面の「トラッキング」セクションから、各アプリに対して個別に設定できます。さらに、「アプリからのトラッキング要求を許可」を「オフ」にすることで、そもそもトラッキング許可をリクエストするプロンプト自体を表示させないようにもできます。
- Android: GAIDは、「Android広告識別子」または「Android広告ID」とも呼ばれ、以前は「Android ID」、「Android Device ID」、「Android Advertising ID(AAID)」などとも呼ばれていました。これは、Googleが提供するAndroidデバイス向けの一意のデバイス識別子です。GAIDも同様に、最初に8文字のコードがあり、その後にハイフンと4桁の英数字が3セット続く形式で構成されています。IDFAと異なる点は、GAIDの文字はすべて小文字で構成されていることです。またGAIDは、Androidデバイスのプライバシー設定からアクセスおよびリセットすることが可能です。Android 12以降では、広告のパーソナライズをオプトアウトしたユーザーに対して、GAIDは0に設定されます。Android 14以降では、広告設定のカスタマイズやGAIDの完全な削除も可能になりました。2025年に本格展開が予定されているAndroidのプライバシーサンドボックスも、広告主がGAIDを使用する必要性はさらに低下する見込みです。
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デバイスIDが重要な理由
デバイスIDは、デバイスを識別し、キャンペーンの成果を測定する最もシンプルかつ効果的な手段です。ユーザー行動や興味関心、ユーザージャーニーを詳細に把握できるため、よりパーソナライズされた広告配信が可能になるだけでなく、コホートの構築やセグメント分け、そして高度な予測分析にも役立ちます。
パブリッシャーがデバイスIDにアクセスできる場合、そのデバイスが広告を閲覧したかどうか、アプリをインストールしたか、アプリをどのように利用したかまで確認できます。これにより、どの広告グループ、クリエイティブ、チャネル、パートナーが最も価値の高いユーザーをもたらしているのかを可視化できます。次世代の計測ツールやソリューションでは、集計データを用いてキャンペーンインサイトを得ることも可能ですが、デバイスIDによって得られる詳細なデータは、これらのテクノロジーが行うモデリングや予測の精度を大きく高める効果があります。収集できるファーストパーティデータが多ければ多いほど、分析・最適化戦略全体の精度が向上するのです。
デバイスIDの主な活用例
デバイスIDは、モバイルデバイスの識別およびトラッキング / 計測に使用され、パーソナライズド広告やユーザー行動分析、コホート作成を可能にします。アプリインストールやアプリ内でのアクションを特定の広告キャンペーンに正確に紐付けることで、マーケティング戦略の最適化やROIの改善につながります。デバイスIDをユーザーのアクションおよびチャネルと照合することで、ユーザーがどのタイミングでコンバージョンし、いつ離脱したのかなど、明確なユーザージャーニーを描き出すことができます。
具体的に、デバイスIDは以下のような用途に使用されます。
- アプリをインストールするきっかけとなった広告に紐付ける(アトリビューション): どの広告やキャンペーンがインストールやダウンロードにつながったかを特定。
- アプリ内イベントを計測: ショッピングアプリの「購入」やゲームアプリの「ステージクリア」など、アプリ内のユーザー行動を可視化。
- パーソナライズド広告: ユーザーの行動や嗜好に基づいて広告を最適化。
- ユーザーセグメンテーション: 行動、地域、その他の基準に基づいてユーザーをグループ化。
- 不正検出: 不正行為の特定と防止。
デバイスIDはどのように機能するの?
デバイスIDは、端末のオペレーティングシステムによって生成され、ユーザーの同意が得られた場合に、アプリインストール時、つまりダウンロード後の初回起動時にアプリからアクセスできます。これは匿名の識別子として機能し、個人情報を開示することなく、アプリがサーバーと通信したり、ユーザーの行動を計測したり、パーソナライズされたコンテンツを提供したりするのに使用されます。アプリインストール後、デバイスIDが利用可能な場合はアトリビューションを実行することができ、過去および将来のアクティビティに関連付けられます。
特定の広告キャンペーンにイベントを紐付けるには、モバイル計測パートナー(MMP)のSDKが2つのデータポイントを照合する必要があります。アトリビューションは、イベントがアトリビューション期間内で発生した場合にのみに計上されます。
使用端末のデバイスIDを確認する方法
ユーザープライバシーに関する枠組みや規制が絶えず進化している中、多くのユーザーはデバイスIDの存在を知らなかったり、自分のデバイスIDの確認方法がわからなかったり、iPhoneやAndroidでどう確認するのかを知りたいと思っています。Androidでは、デバイスIDの確認やリセット、アクセス制限などが可能です。iOSでもIDFAの設定を確認し、管理することができます。
- iOSの場合:「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「トラッキング」から、どのアプリがIDFAにアクセスできるかをオン / オフで切り替えられます。また、「アプリからのトラッキング要求を許可」をオフにすることも可能です。
- Androidの場合:「設定」(またはGoogle設定)>「プライバシーとセキュリティ」>「プライバシー」>「広告」からGAIDを確認・リセットし、パーソナライズ設定の管理やカスタマイズができます。
プライバシー時代におけるデバイスIDとアトリビューション
アトリビューションにおいてデバイスIDにアクセスすること、あるいはそれに依存する割合は、年々減少しています。モバイル広告業界がプライバシー重視の計測へと移行する中で、マーケティングチームは新しいアトリビューションおよびキャンペーン最適化の手法に適応する必要があります。デバイスIDに完全に依存せずとも、戦略的かつスケーラブルな成長を可能にするツールやフレームワークを活用することが、これからの持続可能な道と言えるでしょう。とはいえ、同意の獲得を最大化することは依然として重要です。なぜなら、デバイスIDから得られる詳細データが多いほど、全体的な分析と最適化の精度が高まるからです。
集計データやインクリメンタリティ分析、予測分析、MMM(マーケティングミックスモデリング)といった手法への移行は不可欠ですが、従来のアトリビューションやユーザー同意に基づくデバイスレベルのデータは、これらの次世代ソリューションや、それを支える機械学習アルゴリズムにとって極めて貴重な情報源となります。
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