コンバージョン率 は、アプリへの関心がどれだけ効率的にアクションにつながったかを計測するもので、ユーザー獲得(UA)やアプリパフォーマンスの向上において最も重要なベンチマークの1つです。ただし、アプリのカテゴリーやコンバージョンイベント(何を計測したいのか)によって、その内容は異なります。広告1000回表示あたりのインストール数(IPM)は広告インプレッションの効率性を評価する指標ですが、通常モバイルアプリマーケティングでは、コンバージョン率をIPMと組み合わせて、キャンペーンの効果を包括的に評価します。この記事では、IPM、すなわち広告1000回表示あたりのインストール数に関するAdjustの最新データについて詳しく解説します。
コンバージョン率の計測でどの指標を組み合わせた場合でも、マーケターはパフォーマンスの差異を特定して業界標準に照らして評価し、広告費用の効率性を高め、アプリインストールを最大化するための戦略を改善できます。
指標に関する最新の記事として、ここではコンバージョン率の重要性を掘り下げ、地域やカテゴリー別の傾向を分析し、アプリのパフォーマンスを最適化して競合他社をリードするための実行可能な戦略をご紹介します。
コンバージョン率とは
コンバージョン率は、アプリのダウンロードやサービスへのサインアップなど、特定のアクションを完了したユーザーの割合を測定するものです。これは、ストアにおけるアプリの存在感とユーザー獲得(UA)キャンペーンが、どれだけ効果的にユーザーを惹きつけ、行動を促したのかを評価する重要な指標の1つです。
アプリストアのパフォーマンスにおいては、コンバージョン率を次の2つのタイプに分類できます。
- ページ閲覧からのインストール率: アプリのストアページを訪れたユーザーがダウンロードに至った割合を計測します。
- インプレッションからのインストール率: ユーザーがアプリのページを訪れることなく、検索結果やその他のリスト表示から直接ダウンロードに至った割合を計測します。
前述のように、コンバージョン率を補完する一般的な指標がIPMであり、広告インプレッション1000回あたりのインストール数を計算したものです。コンバージョン率はインストールを行ったユーザーの割合を示すものですが、IPMはインストールを促進するインプレッションの効率性を評価するものです。これらの指標を組み合わせることで、アプリがどれだけユーザーを引き付け、ユーザーの興味を実際の行動へ転換しているかを包括的に見ることができます。
コンバージョン率はまた、ユーザー行動に関する重要なインサイトも提供します。これにより、価値の高いユーザーを特定し、ターゲティング戦略を改善して、投資利益率(ROI)に基づいた意思決定ができるようになります。また、アプリ内購入やユーザー登録など、ファネルの様々な段階のコンバージョン率を分析することで、ユーザー体験(UX)の問題やアプリの全体的な戦略を向上させるための機会を提供します。
コンバージョン率の計算
コンバージョン率は、特定のアクションを完了したユーザー数を、広告が表示されたすべてのオーディエンス数で割り、その結果に100を掛けて計算します。
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例えば、キャンペーンが表示された20,000人のユーザーのうち800人がアプリをダウンロードした場合、以下のようになります。
コンバージョン率 = (800 ÷ 20,000) × 100 = 4%
これは、キャンペーンのオーディエンスの4%がアクティブユーザーに変換されたことを意味します。
良好なコンバージョン率とは
AppTweakのデータによると、 2024年上半期、米国の全アプリカテゴリーの平均コンバージョン率は、App Storeが25%、Google Playが27.3%でした。
App Storeでは、ナビゲーションカテゴリーのコンバージョン率が115%と最も高く、最も低いのはボードゲームの1.2%でした。その他のパフォーマンスが高いカテゴリーには、ユーティリティやツールがあり、48.6%のコンバージョン率を達成しています。これに続くのが、ファイナンスアプリの32.8%、ヘルスケア&フィットネスアプリの30.8%です。旅行アプリのコンバージョン率は16.5%とまずまずの結果ですが、ショッピングアプリの平均は10.6%にとどまっています。
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Google Playのパフォーマンスは、自動車および乗り物カテゴリーがトップであり、コンバージョン率は70.5%に上っています。一方、ボードゲームはここでも7.3%と最も低い数値を記録しました。しかし、音楽ゲームのコンバージョン率は45%に達し、ユーティリティとツールが36.8%と続いています。ショッピングアプリのコンバージョン率は27.7%を維持していますが、ヘルスケア&フィットネスは23.2%、ファイナンスアプリは19.7%という数字でした。
地域別のIPM
2024年の広告1000回表示あたりのインストール数(IPM)を見ると、世界全体の中央値は4.27でした。トップに立つ北米は6.23と驚くべき数値を出しており、アプリインストール増加の潜在的な可能性を反映しています。これに続くのがラテンアメリカ地域(LATAM)の6.19、中東・北アフリカ地域(MENA)の6.03で、いずれもアプリ拡大のチャンスが大きいことがわかります。ヨーロッパのIPMも5.29を達成していますが、アジア太平洋地域(APAC)は4.66と、世界平均を若干上回る数字となっています。
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カテゴリー別のIPM
世界全体で最も高いIPMは、ユーティリティアプリの7.74でした。次にエンターテイメントアプリの6.94が続きますが、ヘルスケア&フィットネスアプリも5.54と堅調なパフォーマンスを見せています。モバイルゲームは安定した成長を続け、4.99のIPMを達成しました。
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旅行アプリのIPMは3.27と中程度の数字でした。ショッピングアプリは2.25ですが、競争の激しい状況の中でも堅調な様子が伺えます。それに続くのがソーシャルアプリの2.11ですが、さらにファイナンスアプリは1.21、フード&ドリンクアプリは1.64と、それぞれ最も低いIPMを記録しました。
地域とカテゴリー別のIPM
北米は、ほとんどのカテゴリーで高いIPMを示しており、エンターテイメントアプリは18.99、次点のユーティリティアプリは12.42と驚異的な数字を達成しています。LATAMのIPMも非常に好調で、特にユーティリティアプリ(10.48)とゲームアプリ(6.49)は、高いユーザーエンゲージメントを反映しています。
ヨーロッパの結果は堅調で、ユーティリティアプリのIPMは10.50、エンターテイメントアプリは10.67に達しています。MENAのIPMは、ユーティリティアプリ(8.72)やゲームアプリ(6.63)の競争力が高く、APACはユーティリティアプリが7.04と高いものの、ゲームアプリは4.97になるなど、結果は混在しています。
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どの地域でも、IPMが最も低いのはファイナンスアプリで、MENAは1.06、APACは1.14となっています。ソーシャルアプリのパフォーマンスは世界全体では中程度ですが、トップの北米は5.22、LATAMは3.95と数字の良い地域もあります。
クリック率(CTR)データとIPMのベンチマークを組み合わせれば、キャンペーンのパフォーマンスに関する詳細なインサイトが導き出されます。IPMとクリック率の双方が高い場合、ターゲティングが効果的で、クリエイティブが魅力的だと考えられます。一方で、クリック率が高いのにIPMが低い場合は、アプリストアが最適化されていないか、オーディエンスとの乖離が発生しているなどの問題があります。クリック率ベンチマークの詳細については、指標に関する過去のブログ記事をご覧ください。
コンバージョン率を向上させるには
アプリのコンバージョン率を高めるには、戦略的かつ多面的なアプローチが必要です。以下に、有意義な改善を行うための戦略ご紹介します。
キャンペーンをパーソナライズしてユーザーとの関連性を高める
ダイナミック広告を活用するカスタマイズされたキャンペーンとリアルタイムの調整によって、より良い結果を実現します。予測分析と機械学習を使用して、ユーザー行動や場所、タイムゾーン、デバイスの種類などに基づいて広告を適応させることで、オーディエンスに響く、ユーザーへの関連性の高い魅力的なクリエイティブを作成します。
ユーザージャーニーの最適化
インストールから購入までユーザージャーニーのすべての段階をモニタリングして、ユーザーが離脱するポイントを特定し、戦略を改善します。オンボーディングを効率化し、時間のかかるチュートリアルや過度な認証リクエストを削減します。最初のセッションで価値を示すことに注力し、チュートリアルやウィッシュリストへの追加など、マイクロコンバージョンに注力することで、期待する最終アクションへとユーザーを誘導します。
見た目とインパクトを重視したアプリストア表示の最適化
アプリストアのアセットにはアイコン、スクリーンショット、動画、説明文などがあり、ストア内の看板として機能しています。即座に注目を集める、視覚的に魅力的なものにしてください。スクリーンショットや動画を利用して、独自のセールスポイントをアピールしましょう。アプリの価値が高いことを示すキーワードをタイトルやサブタイトル、説明文に組み込むことで、アプリがユーザーの目に止まりやすくなります。シーズンごとのトレンド、休日や行事、新機能発表に合わせてアセットを定期的に更新し、ユーザーのアプリへの関心を維持します。
ABテストの実施
アプリのアイコンや説明文、スクリーンショット、行動喚起(CTA)、ワークフローなどのテストを繰り返し行い、オーディエンスからの共感を得られるようにブラッシュアップを継続します。AdjustのAudiencesでは、効果的にユーザーを分類し、データに基づいたインサイトを確認できます。この反復アプローチはエンゲージメントを改善し、コンバージョンを高めるのに効果的です。
アプリの有無に関わらず一貫したユーザー体験を提供
広告クリエイティブとアプリストアの内容に一貫性があることは、ユーザーの信頼を勝ち取り、シームレスなユーザージャーニーを実現するための鍵となります。Adjustのディープリンクソリューション、TrueLinkでは、新規ユーザー向けの特別プロモーションであっても、アプリをカートに入れたユーザーがストアに戻ってきた場合でも、遅延や障害のない一貫したユーザー体験を提供し、関連性が高いアプリ内コンテンツにユーザーを直接誘導します。
ファネル中間でのユーザーの再エンゲージ
どれだけ良くできたキャンペーンでも、途中で脱落するユーザーはいるものです。ターゲットを絞ったプッシュ通知でユーザーに再度エンゲージし、購入や登録などの未完了のアクションを終えるように促します。アプリ内共有オプションと連携して、シームレスな方法でユーザーが友人にアプリを紹介できるようにすれば、オーガニックユーザーの流入による成長が促進されます。
長期的な利益を生む継続率に焦点を当てる
コンバージョンは最初のステップに過ぎません。持続的な成長を後押しするのは継続率です。iOS、Android、Webアプリ間でユーザーの進捗状況と購入データを同期させることで、複数のデバイスやプラットフォームを横断するスムーズなユーザー体験が提供されます。ヒートマップツールやセッションリプレイツールを使えば、問題点を特定して対処できます。ターゲットを絞ったリエンゲージメントキャンペーンを実施して、ユーザーの離脱率を減らし、何度もアプリに戻ってくるようにユーザーを促しましょう。
ソーシャルメディアで信頼性を証明
アプリストアのページやアプリ内のユーザー体験を、ユーザーの声、ケーススタディ、好意的なレビューなどで目立たせることで、信頼性を高め、コンバージョンを促進します。「推奨」バッジや安全な支払いアイコン、業界認証マークなどを活用することで、潜在的なユーザーに信頼性を提示します。
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