ブログ iOS14と互換性がある粒度の細かいアトリビューション

iOS14と互換性がある粒度の細かいアトリビューション

当ブログは2020年7月29日にアップデートされました。iOS14後のお客様とパートナー様へのAdjustのサポートや、デバイス上のソリューション、アトリビューションハッシュについての詳細を追加しました。

Adjust Webサイトに前回投稿したこの記事でご説明したように、Adjustでは、iOS14で導入される新ルールに基づき、正確で粒度の細かいアトリビューションを提供するオプションを幅広く調査してきました。

Adjustは3つの異なるメソッドでお客様とパートナー様をサポートします。

  • AppTrackingTransparencyフレームワークを用いた、オプトインによる確定的なアトリビューション
  • 複数の確定的ではないシグナルを基にして、確率的に計測
  • 追加のデータセットとしてのSKAdNetwork

Adjustのアトリビューションソリューションは、ユーザーがオプトインしない場合でもAppleのガイドラインに完全に準拠します。しかし、アトリビューションに関わらず、サプライサイドとデマンドサイドの両方でアプリの競合優位を持続するために、AppleがWWDC2020で発表したAppTrackingTransparencyフレームワークを活用したユーザー同意のフローをアプリに実装することを推奨します。

この記事では、Adjustが提案するソリューション「アトリビューションハッシュ(Attribution Hash)」についての調査内容を解説します。以下について皆様と協議を行い、デバイスアトリビューションについてのご意見やアドバイスをお伺いできれば幸いです。この長期目標は、Appleのガイドラインを尊重し、かつ業界にも有益なデバイス上でのソリューションをAppleが認証することです。

私たちは、AppleがデバイスIDを管理する唯一の当事者であるべきだと考えており、iOS14でのプライバシー定義に従ってデバイス上でのアトリビューションのためのAPIを提供し、このソリューションが進化することを望んでいます。

このエコシステムに関わる企業に必要なステップを以下にご紹介します。

サプライサイド

まずは広告のインベントリを提供するパブリッシャーの場合を説明します。これに含まれるのは、広告やアドネットワークを利用して収益を生み出すソーシャルメディアやゲームアプリなどです。

もしアプリユーザー自身がiOS14のもとIDFAを共有することを自主的に判断しなければならないなら、消費者にその価値や利点をどう示すかは、アプリパブリッシャーにかかっています。Appleは、ユーザーにこの価値をどう伝えるかについては制限を設けていないため、アプリパブリッシャーにとって新たなチャンスとも言えます。

たとえば、広告をサポートする無料版アプリと、広告表示が無い有料版アプリを、ユーザーに選択してもらうことができます。

ソーシャルメディアアプリなら、ユーザーがアプリの全機能を利用する条件として、広告の表示やIDFAのアクセス許可を利用規約の一部にすることができます。

最終的には、需要があれば供給側はイノベーションを推し進めます。アプリの価値がわかるパブリッシャーはより多くのユーザー同意を取得し、より価値のあるインベントリの恩恵を受けるでしょう。

Adjustは、この基本的な経済原理がサプライサイドを推進していくのではないかと考えています。

デマンドサイド

iOS14でIDFAベースのアトリビューションを提供する最大の課題は、アプリの初回起動時に、広告主のアプリをインストールするデバイスのIDFAが必要になることです。

ユーザー許可をこれほど早いタイミングで取得するロジカルな手段はありません。特に、広告を表示しないアプリや、サブスクリプションやアプリ内購入でマネタイズしないアプリの場合はなおさらです。

これは重要な課題で、業界の一部がこれを「IDFAの死」と宣言した理由の1つでもあります。

しかし、AppleはAppTrackingTransparencyというフレームワークで、1つの重要な例外を述べています。

それでは、ユーザーまたはデバイスを識別できるデータをデバイスから送信せずに、インストールやリエンゲージメントをどのようにアトリビュートしますか?

そこで私たちが考案した解決策は「アトリビューションハッシュ」です。

アトリビューションハッシュの技術的詳細

このアイデアはいたってシンプルです。はじめに、アプリの初回起動時に、広告主のアプリがIDFAとIDFVを読み取ります。

次に、IDFAとIDFVのSHA256(Secure Hash)値を算出します。Adjustはそれを「アトリビューションハッシュ」と命名しました。

例えば、IDFAが 236A005B-700F-4889-B9CE-999EAB2B605D 、IDFVが C305F2DB-56FC-404F-B6C1-BC52E0B680D8とすると、アトリビューションハッシュはa5a884a5dd3758ae7f0d333f56933df76d4a609a77e54ecc5db51ac8651fb5658となります。

このハッシュにはどのような特徴があるでしょうか?

まずは、ハッシュについておさらいしましょう。ハッシュは特定のインプットに対して常に同じアウトプットを生成しますが、アウトプットした値を元の入力値に復元することが不可能な一方向性関数です。参考に、ハッシュ化 (hashing) の定義と動作について説明するこの動画をご覧ください。

AdjustのハッシュはIDFVのように動作します。アプリが同じアプリパブリッシャーのものでない限り、同じデバイス上の2つの異なるアプリケーション間でこの値が同一になることはありません。

ということは、異なるアプリ間でリターゲティングをしたり、ユーザーのプロファイルをビルドしたりすることができません。また、ちょうどIDFVのように、ハッシュはユーザー識別子あるいはデバイス識別子と異なることもわかります。

それではここで、MMP SDKがこのハッシュとIDFVを受け取り、MMPのバックエンドに送信するとします。

ユーザー識別子あるいはデバイス識別子はデバイスを離れず、また、IDFAはハッシュを算出する目的で、ローカルでのみ使用されます。

このハッシュを使用してアトリビュートするため、MMPはサプライサイドから受け取った全てのIDFAを調べ、このアプリアクティビティを促した可能性のある広告エンゲージメントを探します。ポイントは、これらの全てのIDFAは広告を表示するアプリで収集され、ユーザーの同意を得てMMPに送信されていることです。

次に、MMPは、受信したIDFAとIDFVの中で一致する可能性があるIDのSHA256ハッシュ値を全て算出します。これらのハッシュのうち1つがデバイスのアトリビューションハッシュと同じなら、それらは完全に一致したと判断できます。今日のアトリビューション計測でIDFAをマッチングさせるのとほぼ同じ要領で、アトリビューションが可能になります。

このソリューションのすばらしさは、IDFVとアトリビューションハッシュを組み合わせたとしても、IDFAそのものを知らない限り復元が不可能なことです。ユーザーが承認したIDFAを受け取っていない限り、アトリビューションハッシュでは何もできません。

その性質が限られているため、アトリビューションハッシュはMMPの内部でのみ使用されます。

まとめ

サプライサイドにIDFAのアクセスが許可されたら、Adjustはデマンドサイドのアプリのローカルで算出されたIDFAとIDFVのハッシュをアトリビューションに使用することを提案します。これにより、IDFAをデバイスから転送するためにユーザーから許可を得る必要がなく、ユーザー同意に関わるデマンドサイドの問題が解決されます。

このアトリビューションハッシュには複数の利点があります。

  • プライバシー: デバイスIDまたはユーザーIDがデバイスから送信されることはありません。また、IDFAはAppleの新しい規制に準拠し、ユーザーの同意を得た上で取得されます。
  • 透明性: 技術的な実装を担当する業界の関係者にとって、このソリューションは理解しやすく、コミュニケーションも取りやすい特徴があります。
  • 精度: 純粋なIDFAでマッチングをした場合と同じレベルの正確さを提供できます。場合によっては、LATに替わるものとしてそのレベルはさらに高いと言えるかもしれません。広告主のアプリでIDFAを読み取る場合は常に機能します。
  • セキュリティ:ハッシュのインプットの半分を知っていても、IDFAを解読することは不可能です。
  • シンプルさ: このソリューションのためにMMP SDKが必要とする変更は、ほんの少しで済みます。MMPは大量のリソースを投資することなく、このタイプのマッチングにバックエンドを適応させることができるはずです。

他に考えられるデバイス上での計測のシナリオはこちらです。

  • AndroidのGoogleリファラーに類似したもの:ユーザーがサプライサイドの計測のみをオプトインした場合はサプライサイドの同意が必要となるかもしれませんが、デマンドサイドのアプリは、AdjustのSDKが読めるインストールが発生した際にデリゲートコールバックを受信します。データはクリックID(例:内部Adjustのリファレンスタグ)、キャンペーンの情報、ソースアプリのIDFVなどが考えられます。
  • デバイス上でIDを一致させる:IDFAがSDKからAdjustのサーバーに送信される代わりに、サーバーはエンゲージメントにより受信した全てのIDFAを、集約されたデータポイントであるクリックトラッカーとともにSDKへ送信します。SDKはIDFAを一致させ、トラッカーだけを返します。
  • Appleがアトリビューションハッシュを生成:AdjustのSDKはIDFAを読まず、ハッシュとsaltだけをAppleから受信します。

重要なのは、デバイス上のアトリビューションのためのソリューションが多く存在し、その調査や研究を実施できることです。今後、これらがSKAdNetworkの一部として利用できるようになるかもしれません。

Adjustは引き続きAppleやアプリ開発者、マーケティングパートナーと緊密に連携し、ユーザープライバシーを尊重する業界のソリューションの構築に取り組んでまいります。

このソリューションにご興味のある方やご意見、ご質問がございましたら、お気軽にsupport@adjust.comへお問い合わせください。

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